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Youtube 病気辞典
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執筆獣医師:齋藤厚子先生
[記事公開日]  [最終更新日]
[ 目次 ]

猫の拡張型心筋症とは

心筋が伸びて、収縮力が落ちる病気です。

拡張型心筋症は、心臓が大きく拡張することによって心筋の収縮力が低下し、全身に血液をうまく送り出せなくなる病気です。

以前は肥大型心筋症に次いで猫でも多い病気とされていましたが、キャットフードにタウリンが添加されるようになってからその発生は減少しました。

拡張型心筋症が重度になると、うっ血性心不全兆候として肺水腫や胸水・腹水貯留、呼吸困難がみられるようになり、血栓症などにより後ろ足が麻痺してしまうこともあります。

初期にはあまり目立った症状を示さないため、早期発見はなかなか難しいところですが、定期的な健康診断などでも見つけることができる病気ですので、特に好発品種とされている猫では定期的に検査を受けるようにしましょう。

猫の拡張型心筋症の症状とは

うっ血性心不全症状がみられます。

初期はあまり症状を示しません。

心臓が徐々に拡大することで逆流を防止する弁がうまく閉じなくなり、逆流が起こるようになると、心雑音が聞こえるようになります。
心雑音は病院で聴診器をあててもらわなければなかなかわかりませんが、病院に行った際には必ず聴診をしてもらえると思いますので、ここで早期発見できれば幸いです。

しかし、気付かれないまま心臓がさらに拡大すると、心筋が引き延ばされることによって収縮力が落ち、血液を全身に拍出できなくなって、以下のような症状がみられます。

・活動性の低下
・食欲低下
・寝ていることが多くなった
・疲れやすい
・呼吸が速い、苦しそう
・咳をする
・開口呼吸する
・倒れる
・舌の色が青っぽい
・お腹が膨れている(腹水)
・急に後ろ足が動かなくなる(麻痺する)

重度になると全身の血液循環が悪く、強い倦怠感から寝ていることが多くなります。
肺でもうっ血が起こるため、肺水腫や胸水貯留などから呼吸困難となる場合が増え、寝ていても呼吸数が多い、開口呼吸する、舌が青い(チアノーゼ)などを頻繁に起こすようになります。

動脈血栓塞栓症は非常に危険な状態です。

また心臓内に血液がうっ滞することで血栓ができ、その血栓が流れて行って血管に詰まってしまうことがあります。(動脈血栓塞栓症)
血栓は多くの場合は後ろ足の付け根の血管が分岐する部分で詰まります。

血栓塞栓症では、血流が途絶えることによって足の麻痺がおこり冷たくなり、激痛を起こして猫はパニック状態となります。
時間が経過すると足は壊死してしまうため、緊急治療が必要ですが、治療してもその甲斐なく血流が再開しなかったり、そのまま命を落とすこともあります。

猫の拡張型心筋症の原因とは

タウリン欠乏によっておこります。

以前はタウリンの不足によって拡張型心筋症が多かったとされています。
拡張型心筋症とタウリン欠乏の関連性を報告した論文が発表されて以降、キャットフードにはタウリンが添加されるようになり、その後の猫の拡張型心筋症の発生は激減しました。

遺伝性の要因が関与している可能性があります。

特定の品種に好発傾向があるので、遺伝性の要因が関係している可能性があります。

猫の拡張型心筋症の好発品種について

以下の猫種で好発がみられます。

好発品種は上記の2種ですが、雑種猫でも発生します。

猫の拡張型心筋症の予防方法について

バランスの取れた食事管理を心がけましょう。

今では猫のごはんはキャットフードが主体ですので、あまり心配することはありませんが、ホームメイド食などの場合にはタウリン欠乏とならないように気をつけましょう。

定期的に病院で聴診をしてもらいましょう。

初期にはあまり目立った症状が出ない拡張型心筋症ですが、無症状の時期でも心雑音が発生していることが多くあります。
ワクチン接種などで病院を受診した際には必ず聴診してもらい、早期発見につなげましょう。

猫の拡張型心筋症の治療方法について

進行抑制のために内服薬で治療します。

拡張型心筋症と診断された場合には、心臓の負荷を減らすお薬や、強心作用のあるお薬、不整脈を改善するお薬、肺水腫を改善するお薬などで心臓にかかる負担を減らし、進行を抑制する治療をおこないます。

どのお薬をどれくらいの頻度で服用するかは、心臓の精密検査を受け、心臓の動きや不整脈の有無、うっ血の程度などを総合的に評価してから提案されますが、初めからたくさんの種類のお薬を飲むことはあまりありません。
心臓のお薬は全身の循環に作用するため、血圧が大きく変動することを防ぐために、少しずつ投薬を始めます。

無症状の場合、どの段階になったら投薬を始めるのが良いかはまだ議論の余地がありますが、症状が出始めている場合にはできるだけ早く治療開始することが推奨されます。

基本的には一度飲み始めた心臓薬は生涯続けることとなり、お薬の種類や量は進行に伴って徐々に増えていくことになりますが、肺水腫などで呼吸困難を起こし、苦しい思いをさせないために、継続して飲ませましょう。

肺水腫を起こして呼吸困難となった場合には集中治療が必要です。

心不全から肺水腫や胸水貯留を起こし、呼吸困難となった場合には緊急治療が必要です。
すぐに病院へ連れていきましょう。

呼吸困難時にはまず酸素室に入り、呼吸を整えながら利尿剤で肺水腫を治療します。
胸水が貯留している場合には胸腔に針を刺して胸水を抜去することも必要です。

状態が安定するまでは点滴などで心筋保護作用のあるお薬や心臓の収縮を助けるお薬を投与し、酸素室から出て内服治療が可能となったら退院できます。

心臓のお薬や利尿剤をすでに飲んでいるのに肺水腫を繰り返す場合、予後はあまり良くありません。

動脈血栓塞栓症を発症した場合は命の危険があります。

動脈血栓塞栓症も命に関わる緊急事態です。
血栓が詰まることによって激痛が生じるため、猫はパニック状態になってしまいます。
そのままだと心臓にかかる負荷が大きいため、鎮痛剤で痛みを抑えるとともに、血栓を溶かす治療を行います。

血栓を溶かすためには、血栓溶解剤というお薬をできるだけ早い段階で投与しなくてはなりません。
発症から時間が経ちすぎていると、血流が途絶えた部分の壊死が始まり、壊死した組織から漏れ出した成分が体の循環に乗って致命的になる場合があります。
また、血栓溶解剤を使用しても血流が再開しない場合もあり、断脚を余儀なくされることもありますが、心臓の状態が悪く麻酔がかけられないことが多いため、多くはそのまま死亡してしまいます。

血栓症になってからの救命率は低いため、抗血栓薬であらかじめ予防することが重要です。

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