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監修: 葛野 宗 獣医師
[記事公開日]  [最終更新日]
[ 目次 ]

犬の角膜炎とは

黒目の部分に炎症が発生します。

角膜とは、眼球の表面を覆う透明な膜であり、いわゆる黒目に当たる部分です。角膜は、光を通し網膜に届ける役割、外界からのホコリや細菌などから眼球を保護する役割、などを担っています。この角膜で炎症が起こっている状態のことを角膜炎と呼びます。

犬の角膜炎の症状とは

角膜炎

角膜炎になると、眼の違和感や痛みにより、眼をしばしばしたり、前肢で眼をこすろうとすることがあります。同時に、涙や眼脂が増える、白目が赤くなる、黒目に血管が伸びてくる、黒目が白く濁ってくる、といった症状が見られます。角膜炎が重症化すると、角膜に穴が開く角膜潰瘍が引き起こされます。

慢性表在性角膜炎

原因ははっきりとはわかっていませんが、遺伝性、自己免疫性疾患と考えられています。両眼に発生する慢性、進行性の炎症性角膜疾患です。角膜炎に加えて、角膜全体に血管新生、肉芽増生、色素沈着を生じます。重症例では視覚障害をもたらすことがあります。発症時の年齢が若いほど、症状の進行が速く、重症化することが多いとされています。

犬の角膜炎の原因とは

物理的な刺激、病源体の感染、アレルギー反応、栄養性のいくつかの原因に大別されます。

枝などが眼球に当たってしまったり、咬傷などの外傷が原因となり角膜炎が引き起こされることがあります。他に物理的な刺激が原因となる角膜炎では、さかさまつげや砂などの異物が原因になることがあります。まぶたにできた腫瘍などが原因となる場合もあります。

涙腺から分泌される涙の量が十分でない状態をドライアイと呼びますが、ドライアイの場合も角膜炎を引き起こすことがあります。ドライアイになると、角膜が乾燥してしまい、眼球を保護出来なくなってしまうためです。

細菌感染、ウイルス感染、アレルギーが原因となり、角膜炎が引き起こされることもあります。

また、緑内障のように眼圧が上がってしまう疾患に続発して角膜炎が起こることもあります。このような場合、原因となる疾患の治療を並行しておこなう必要があります。

犬の角膜炎の好発品種について

全犬種で好発します。

パグ、フレンチブルドッグ、シーズーなどの短頭種は眼球を傷つけてしまうことが多く、好発犬種と言って良いでしょう。また、チワワのように眼が大きな犬種も、眼球が傷つきやすく角膜や結膜などのトラブルが多い傾向にあります。

慢性表在性角膜炎の好発犬種

ジャーマン・シェパード、グレー・ハウンドが好発犬種です。どの犬種でも起こる可能性はあり、とくにミニチュアダックスフンドやミニチュアピンシャーで見られることがあります。

犬の角膜炎の予防方法について

主に早期発見・治療をおこないます。

角膜炎では主に早期発見・治療をおこないます。眼のトラブルが多い犬種では予防的に角膜保護剤などの点眼薬でケアをおこなう場合があります。ドライアイの傾向がある場合、ドライアイ用の眼軟膏などを用いて角膜炎を予防します。

犬の角膜炎の治療方法について

角膜炎の原因や状態に応じた治療をおこないます。

角膜炎になった場合、細菌感染の防止や角膜の保護を目的とした治療薬の点眼をおこないます。重症例では、外科的な処置をおこなうことがあります。
また、眼が気になってこすってしまい悪化させたり治療を長引かせてしまうことが多いため、エリザベスカラーなどを装着してこするのを防ぎます。

慢性表在性角膜炎

免疫抑制療法や外科療法への治療の反応性は良いと言われていますが、完治することの疾患であるため、治療は生涯継続する必要があります。ステロイド剤、消炎剤、免疫抑制剤などの点眼薬を用います。重症例では点眼治療に加えて、ステロイド剤を結膜に注射する場合もあります。

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