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Youtube 病気辞典
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執筆獣医師:齋藤厚子先生
[記事公開日]  [最終更新日]
[ 目次 ]

猫の「足がむくんでいる」症状とは

脚が太く、水っぽく膨らみます。

猫の脚は病気やケガによってむくむことがあります。
むくみは血液中の水分が血管外に漏れ出た状態で、血液やリンパの流れが滞ったり、血液中に水分を保持するタンパク質が低下することによって起こります。

脚がむくむと左右の脚の太さに左右差が見られ、皮膚が水分を多く含んで膨らみ、指で強く圧迫すると指の跡がついて凹みます。
猫自身は違和感を感じてむくんだ脚を頻繁に舐めたり、歩くのを嫌がる、脚を引きずって歩くなどといった行動の変化を示します。

猫の「足がむくんでいる」症状の考えられる病気(原因)とは

心臓病によって起こります。

心臓病や心筋症があると全身の血液の流れが滞り、脚のむくみや腹水、胸水、肺水腫などを起こします。
全身のむくみや腹水が溜まる場合は、静脈系にうっ血が生じる「右心不全」を起こしている場合が考えられます。
猫ではあまり多くはありませんが、犬糸状虫が心臓に寄生しているケースもあります。

また、肥大型心筋症などでは拡張した左心房の中に血栓が形成されやすく、その血栓が血流にのって全身に流れ込むと、多くは後ろ脚の付け根付近にある血管の分岐部で閉塞して「動脈血栓塞栓症」を起こします。
動脈血栓塞栓症では急激に血流が遮断されるために脚は麻痺し、時間の経過とともに徐々にむくみ、治療が行われないままでいると脚の壊死や命の危険があります。

腎臓病や他の内臓疾患でもむくみが起こることがあります。

腎臓病もむくみの原因になることがあります。
多くの慢性腎臓病ではむしろ脱水が見られますが、腎盂腎炎や糸球体腎炎を起こしている場合は水分やナトリウムが過剰に貯留してしまい、むくみが起こります。
タンパク喪失性腎症などでは血液中のたんぱく質が尿中に排出されてしまい、血中のタンパク質が低下することによってむくみを起こします。

他には、腸や肝臓の疾患などで血液中のタンパク質が低下していると、血管内から水分が漏れ出してむくみが生じることがあります。

足の付け根を圧迫する腫瘤などの存在や、四肢の外傷によっても起こります。

前肢や後肢の付け根付近には脚に向かう血管の分岐部やリンパ節が存在します。
この部分に大きなしこりができたり、リンパ節が腫瘍や何らかの炎症によって大きく腫れると、血管やリンパ管を圧迫することによって血液の流れが悪くなり、脚がむくむことがあります。

多く見られるのは、リンパ腫によるリンパ節の腫れや乳腺腫瘍の存在、あるいは様々な腫瘍のリンパ節転移などです。


外傷によって四肢に炎症が起こると、その部分より先端側がむくんだように腫れることがあります。
外に出る猫では猫同士のケンカによる咬傷や、交通事故などによる骨折などが割とよく起こります。
また、四肢に輪ゴムなど圧迫物が存在していてむくんでいることもあります。

猫の「足がむくんでいる」症状の好発品種について

好発する品種はありません。

好発品種は特にありません。

猫の「足がむくんでいる」症状の予防方法について

定期検診を受けるようにしましょう。

心臓病や肝臓病・腎臓病は初期にはあまり症状が出ないことも多い病気ですが、ワクチン接種時などに心音をチェックしてもらったり、定期的な健康診断で血液検査やレントゲン検査を受けていれば早期発見も可能です。

悪化する前に治療を開始できれば命に関わる状態を回避することができますので、特に心臓病の好発品種や7歳以上のシニア期に突入した猫では定期的に健康診断を受けることをお勧めします。

猫の「足がむくんでいる」症状の治療方法について

心臓病には内服での治療を行います。

心不全や心筋症の場合は心臓の状態を検査し、ACE阻害剤や利尿剤、状況に応じてカルシウム拮抗薬、強心剤やβ遮断薬というお薬などを投薬します。

動脈血栓塞栓症の場合には痛みによる興奮を抑えるために鎮痛剤や鎮静剤を投与しながら、注射による血栓溶解療法、抗凝固療法、抗血小板療法を行います。
手術による血栓の摘出という選択肢もありますが、麻酔のリスクが高く、あまり実施されません。

腫瘍に対しては手術や抗がん剤治療を行います。

腫瘍によって足にむくみが生じている場合には、腫瘍を外科的に切除するか、腫瘍の種類によっては抗がん剤などによる治療を行います。

また、腫瘍に対する炎症反応を抑える目的でステロイドなどの消炎剤を使用すると一過性に腫瘍周囲の炎症が落ち着き、むくみが改善する場合があります。
しかし、根本的な治療を行わなければいずれまた同様の症状が現れます。

内臓疾患や外傷に対しては十分な検査とそれに準じた治療が必要です。

血液中のタンパク質が低下するような疾患の場合は、原因となっている基礎疾患を十分に検査して治療することが重要です。

腎臓病では食事療法や血管拡張薬、腸炎では食事療法やステロイド治療または免疫抑制剤、肝機能不全では肝保護剤などが投薬されます。

腸炎などでタンパクがあまりにも低下している場合には血漿輸血や代用血漿剤の点滴などを検討します。


外傷によって起こったむくみは、外傷に対する治療を行うことで解消します。
骨折の場合は多くは手術が必要ですが、咬傷やなど切り傷などの皮膚の外傷では、抗生物質と必要に応じて消炎剤の投薬、傷の保護、外用薬の使用などによって治療可能です。

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