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Youtube 病気辞典
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執筆獣医師:齋藤厚子先生
[記事公開日]  [最終更新日]
[ 目次 ]

猫の「トイレの失敗」症状とは

トイレ以外の場所で排泄してしまいます。

猫は一所で排泄をする習性を持っている動物ですので、トイレで排泄を行うことを覚えることができる動物です。
しかし、トイレを覚えているにもかかわらず、トイレを失敗してしまうことがあります。

その原因は病気が原因で起こるものから、病気以外のことが要因となっていることがあり、それによって失敗の仕方にも違いがあることがあります。
以下にその一例をあげてみます。

・頻尿がありトイレまで間に合わない
・トイレに入っているがはみ出して排尿してしまう
・トイレの近くあるいはトイレに体の一部が入った状態で外に排尿してしまう
・いつも決まった場所(トイレ以外)で排尿する
・壁や家具に向かっておしっこをかける

どのような状況でトイレを失敗しているか、また尿の量や臭いの変化などは、原因を探る上で重要な手掛かりとなります。

猫のおしっこは独特な臭いがするため、トイレの失敗をされると非常に困りますね。
特にベッドやソファーなど布製の家具に臭いがついてしまうと洗うこともできないため、ついつい猫を怒ってしまうこともあるかもしれません。
しかし、その行為には何らかの理由が存在します。
怒るのではなくなぜ失敗してしまうのかを突き止め、治療が必要な場合はできるだけ早く治療してあげましょう。

猫の「トイレの失敗」症状の考えられる病気(原因)とは

病気が原因で起こっていることがあります。

体に何らかの異常が起こることによってトイレまで我慢できずに排尿してしまうことがあります。
その代表的なものは以下のような疾患です。

・尿路疾患(膀胱炎、尿石症、尿路結石)
・糖尿病
・腎臓病
・甲状腺機能亢進症
・副腎皮質機能亢進症
・子宮蓄膿症
・けいれん発作 など

猫は下部尿路疾患が起こりやすい動物です。
膀胱炎や尿路結石などの症状の一つである頻尿によって、トイレまで我慢できずに排尿してしまうことがあります。
この場合、一回の排尿量が少なかったり、頻繁に何度も排尿姿勢をとる、尿が赤い、陰部を気にして舐めるなどといった症状も見られることがあります。

また、尿量が異常に多くなる内科疾患によって排尿の失敗が起こることもあります。
代表的なものとしては、中高齢の猫で多い慢性腎臓病や甲状腺機能亢進症、糖尿病、副腎皮質機能亢進症、未避妊の雌猫では子宮蓄膿症などが挙げられます。
これらの疾患では薄い尿を大量にすることが多く、同時に飲水量も非常に多くなります。

また、トイレの失敗とは少し意味合いが違いますが、けいれん発作などを起こした場合に失禁してしまうこともあります。
飼い主さんの在宅中に見ている前で発作症状がみられた場合にはそれが原因と分かりますが、留守中にトイレではない場所に排尿した形跡がある場合にはなかなか原因がわかりません。
てんかん発作などの既往歴がある場合や、他の神経兆候(歩き方がおかしい、性格が変わったなど)がある場合にはその可能性も考慮する必要があります。

加齢による変化によっておこるケースもあります。

猫も年を取ると筋力や関節の動きが低下したり、認知機能が低下することによってトイレを失敗してしまうことがあります。

高齢猫では関節炎などの関節疾患や四肢の筋肉が落ちることによって段差を超えることが難しくなってしまうことがあります。
その場合トイレまでは行くのですが、トイレの目の前で外に排尿してしまったり、トイレに上半身だけ入った状態で排尿するような失敗が起こってしまうことがあります。
また、四肢だけでなく膀胱や尿道の括約筋の筋力低下によっても起こることがあります。

このような場合には歩き方がぎこちない、ジャンプしなくなった、四肢の筋肉が明らかに細くなったなどといった変化も見られます。

病気以外の原因でも起こります。

病気以外に、環境や精神的な不安定からトイレの失敗が起こることがあります。

・環境要因
・マーキング
・不安感の解消

まず一つ目は環境要因によって起こるものです。
トイレが汚れている、トイレの数が足りない、トイレの設置場所に問題がある、猫砂の種類が好みに合わない、トイレが小さいなどといったことが原因となりえます。

猫は個々の性格にもよりますが比較的きれい好きな動物のため、トイレが汚れている場合にはトイレ以外の場所で排泄をしてしまうこともあります。
特に多頭飼育の場合はトイレが汚れやすく、排泄を我慢してしまったり失敗してしまうことも多くなります。
多頭飼育では猫のトイレは『猫の数+1個』用意するのが理想的とされています。

また、洗濯機の近くや人の出入りによって落ち着いて排泄できないような場所にトイレが設置されているのもあまりよくありません。
猫砂にもこだわりがあることがあるため、急に砂の種類を激変させることも控えましょう。

壁や家具、柱などに向かって尻尾をぴんと立て、少量のおしっこを吹きかけるようにしている場合はマーキング、つまり縄張りの主張のために行っている可能性が考えられます。
これは未去勢の雄でみられることが多く、新しく猫を迎えた場合などによく問題になります。
またマーキングは不安感を解消させるためにも行うことがあり、その場合はオスだけでなくメスの猫でも見られることがあります。

一度尿の臭いがついた場所では再び同じ場所で排尿やマーキングが起こってしまうことが多いため、できるだけ速やかにふき取り、消臭剤などで徹底的に臭いを消すようにしましょう。

猫の「トイレの失敗」症状の好発品種について

好発する品種はありません。

下部尿路疾患や腎臓病はどんな猫にも起こる可能性があり、品種によってトイレの失敗が起こりやすい傾向などは特にありません。

猫の「トイレの失敗」症状の予防方法について

食事内容によって予防できる可能性があります。

下部尿路疾患や慢性腎臓病などは、体質やライフステージに合わせた食事を選ぶことによって発症をある程度予防することができます。

定期的に健康診断を受け、尿の性質が尿石症になりやすい場合には尿石症に対応した食事に変更することも検討すると良いでしょう。

また、腎臓病に関しても尿検査や血液検査で早期発見が可能です。
明らかな症状が現れる前から食事管理に気を付けることで、進行を効果的に抑制することが期待できます。

マーキングは去勢手術で予防できます。

オス猫のマーキングは、その行為を覚える前に去勢手術を行うと高い確率で予防することが可能です。
去勢手術は生後6か月頃から可能ですので、将来的に繁殖を望まないのであれば手術を検討すると良いでしょう。

トイレ環境を整えましょう。

猫トイレは落ち着いて排泄できる場所に設置してあげましょう。
また猫の数に応じて猫トイレの数を増やし、トイレ掃除もこまめに行い清潔な状態を保ちましょう。

猫の「トイレの失敗」症状の治療方法について

下部尿路疾患の場合は尿検査に基づいて治療を行います。

猫に多い下部尿路疾患では尿検査を行い、感染の有無や結晶・結石の有無に応じた治療を行います。

基本的には水分摂取を十分に行い、尿を積極的に作らせて尿路を尿で洗い流すような治療と消炎剤による治療を行いますが、細菌感染がある場合には抗生物質の投与、尿石症が原因の場合には食事療法や必要に応じて膀胱の洗浄などを行います。
食事療法で溶解できない結石が原因の場合には結石を摘出する手術が必要になる場合もあります。

一度良くなっても再発することが多いため、食事療法はできれば継続して行っていきます。

また、尿路にできた腫瘍が原因の場合もあります。
その場合、腫瘍の種類やできている場所によって投薬治療や外科切除などを検討します。

その他の内科疾患にはそれぞれ対応した治療を行います。

慢性腎臓病では水分補給、食事療法、腎臓を保護するお薬の投薬などを行い、進行を抑制する治療を行うとともに、吐き気や下痢、貧血がある場合にはそれぞれに対する投薬治療を行います。

糖尿病では食事療法、必要に応じてインスリンの注射を行い、血糖値をコントロールする治療を行います。

甲状腺機能亢進症や副腎皮質機能亢進症は主に投薬治療を行いますが、甲状腺や副腎の悪性腫瘍の場合には腫瘍を切除する治療を行う場合があります。

子宮蓄膿症の場合には、膿のたまった子宮を摘出する手術を行うことが根本的な治療になります。

高齢猫には個々に応じた対応が必要です。

高齢になってトイレの段差が越えられない、トイレに歩いて行けなくなってしまった場合には、それぞれのケースに応じた対策が必要です。

猫がトイレに向かおうとする場合で、段差が越えられない場合には、トイレの枠が低いものに変更したり、アクセスしやすいように緩くスロープを付けてあげましょう。

それでもトイレに到着した段階でトイレの外に排尿してしまう場合があります。
その場合にはトイレの周りに大き目のペットシーツを敷きつめ、外でしてしまってもいいようにしておきましょう。
このような方法は「排泄をトイレでしたい」という猫の意思を尊重してあげる対応ですが、このような対応が難しい場合、猫自身が嫌がらなければオムツをするという方法もあります。

また、明らかに歩くことが難しくなっている場合でオムツを嫌がる場合には、寝床でしてもいいようにベッドにもペットシーツを敷いておく、寝床のすぐ近くにトイレを設置してあげるなどといった対処を考えてあげましょう。

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