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Youtube 病気辞典
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執筆獣医師:齋藤厚子先生
[記事公開日]  [最終更新日]
[ 目次 ]

猫の「失禁する」症状とは

猫自身の意思とは関係なく尿が出てしまいます。

「失禁」とは自身の意思とは関係なく尿や便が出てしまう状態をさします。

その発生状況は様々で、発作などに伴って意識を消失したり、不随意に全身の筋肉が緊張することによって起こるものもあれば、骨盤周囲に分布する神経の働きが低下することによって尿が漏れてしまう場合などがあります。

尿漏れの場合は少量ずつポタポタと出ることが多いですが、発作などに伴って失禁する場合は発生時に膀胱にたまっていた尿をすべて出してしまうことが多いため、大量の失禁となる場合が多くなります。

また生後間もなくから持続的に尿漏れがみられるケースもあり、その場合は先天的な異常を強く疑います。

猫の「失禁する」症状の考えられる病気(原因)とは

発作の発症時などに起こります。

いわゆる「発作」を起こした時には、失禁はよく認められます。

発作と一口に言っても様々な原因があり、心臓疾患に伴って不整脈などが起こる心臓発作や、脳の炎症・腫瘍性疾患、中毒性物質を摂取した際、あるいは尿毒症、肝性脳症などに伴って起こる痙攣発作、脳内の電気信号の発生異常によって起こるてんかん発作などがあります。

心臓発作の場合には一過性に全身の血流が途絶えることによって全身の筋肉が脱力した状態となり尿失禁が起こり、けいれん発作などの場合には本人の意思とは関係なく全身の筋肉が異常に収縮することによって尿や便の失禁が起こります。

骨盤付近に分布する神経の障害によって起こります。

膀胱や尿道、腸に分布する神経は背骨の中にある脊髄から枝分かれしてそれぞれの器官に分布しています。
交通事故や椎間板ヘルニアなどによって脊髄を損傷したり脊髄から分岐した末梢神経を損傷すると、膀胱の麻痺が起こり、膀胱に尿が貯留しても排尿刺激が起こらなくなってしまい、膀胱の中に大量の尿が溜まったままになってしまうことがあります。
この状態を「膀胱アトニー」といいます。

膀胱アトニーになると、排尿したいという刺激自体が起こりにくくなるために膀胱が伸展する限界まで尿が溜まり、動いた拍子や抱きかかえたとき、くしゃみや咳など腹圧がかかるような動作をしたときに少しずつ尿が漏れます。

膀胱アトニーは神経の損傷以外にも、膀胱結石や膀胱・尿道の腫瘍などによって排尿が妨げられた場合に起こることがあります。

また、加齢に伴って神経の働きが低下し、トイレに向かっている途中に筋肉が緩んでしまって尿が漏れるようなケースもあります。

先天性の異常が原因のこともあります。

先天的に腎臓から膀胱へ尿を運ぶ尿管に異常があり、尿管が膀胱ではなく膣や子宮、腸、尿道などに開口しているために尿が持続的に出てしまう「異所性尿管」というケースもあります。
この場合は生まれた直後から症状がみられるのが特徴です。

猫の「失禁する」症状の好発品種について

好発する品種はありません。

失禁に関連する病態はどんな猫にでも起こる可能性があり、品種による好発傾向は特にありません。

猫の「失禁する」症状の予防方法について

怪我による神経損傷の予防には室内飼育がある程度効果的です。

脊髄や神経を損傷するような重大な怪我は、ほとんどの場合屋外で交通事故などに伴って起こります。
そのような怪我を予防するという意味では、室内飼育を徹底することが予防策の一つになるかもしれません。

しかし、心臓病や神経疾患、てんかん、先天性の異常を予防する方法はありません。

猫の「失禁する」症状の治療方法について

原因疾患に対する治療を行います。

発作が原因となっている場合、失禁することよりも発作によって心臓や脳、全身の血流が一過性に滞ることによる臓器へのダメージの方が問題となります。

そのため、それぞれの原因疾患に対して詳しく検査を行い、治療を行うことが必要です。

心臓疾患では心臓の働きを補助するお薬や不整脈を改善するお薬の投薬を行います。

神経疾患が存在する場合には、神経の炎症を抑えるお薬や抗痙攣薬、てんかん発作の場合は抗てんかん薬の投薬などを行い、脳腫瘍などが存在する場合には外科手術が可能かどうかをよく検査したうえで治療方針を決定することになります。

腎臓病による尿毒症や肝臓疾患に伴う肝性脳症による発作が起こる場合には、点滴治療や投薬治療によって症状の改善を目指します。

膀胱アトニーの場合は神経の働きを補助するお薬で治療します。

膀胱アトニーの場合、尿道が閉塞していないことを確認したうえで、排尿筋の収縮を促すお薬の投薬を行います。

また同時に、尿が大量にたまったままになっていると膀胱が拡張したまま線維化してしまい、将来的に膀胱の収縮機能の回復は難しくなってしまうため、一日に3回以上、圧迫排尿またはカテーテルで導尿を行い、膀胱をある程度空にしてあげる処置が必要になります。

異所性尿管の場合は手術が必要です。

異所性尿管の場合、お薬の投薬などで失禁を止めることはできません。
症状を改善するためには、手術で尿管を膀胱につなぎ変えてあげる必要があります。

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