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TOP > 猫の病気辞典 > 猫の「血尿がでた・尿に異常」症状
Youtube 病気辞典
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執筆獣医師:齋藤厚子先生
[記事公開日]  [最終更新日]
[ 目次 ]

猫の「血尿がでた・尿に異常」症状とは

尿の色だけでなく排尿状態に変化が現れます。

尿は健康状態を表す重要なバロメーターの一つです。
尿を作る腎臓の状態の他、全身の状態、尿が通過する尿路の異常などを反映してその色や成分が変化します。
健康な尿は薄い黄色で、膀胱内にある程度の量が貯まってから、1日に2~3回排泄されます。

尿は腎臓で作られます。
血液中の老廃物が腎臓で漉しとられ、必要な水分を再吸収して濃縮された状態で腎盂という部分に集められ、尿管を通り、膀胱に一度貯留され、尿道を通って排泄されます。
この経路のどこかに出血を起こす病変が存在すると血尿が出ます。
血尿は尿全体が赤い場合もあれば、尿に血の塊が混ざっている状態の場合もあります。

出血の原因によっては以下のような症状を伴っていることがあります。
・頻尿
・排尿痛(排尿時に鳴く)
・尿の臭いがきつくなる
・一回排尿量が少ない
・尿が出にくい
・吐き気、嘔吐
・元気消失
・食欲不振

また、同様に赤く見える尿の中には、『血色素尿』と呼ばれるものもあります。
これは血液中の赤血球が大量に破壊され、赤血球内に含まれるヘモグロビンが体内で処理しきれずに尿中に現れた状態の尿です。

いわゆる血尿は血液の成分(赤血球)が尿の中に確認できますが、血色素尿では血球は確認できず、色素だけが尿に出ているために赤色から赤茶褐色の尿になっている状態で、尿自体は濁りがなく透き通っており、他の膀胱炎様の症状(頻尿や排尿痛、1回排尿量の減少など)は見られません。
しかし、血色素尿が出ている時は体の中では重篤な変化が起こっていることが多く、貧血によってふらふらしたり、粘膜の色が白っぽい、元気がない、嘔吐などがみられることもあります。

猫の「血尿がでた・尿に異常」症状の考えられる病気(原因)とは

感染症や結石などの尿路疾患によって起こります。

猫は尿路結石(腎結石・尿管結石・膀胱結石)や結晶尿による膀胱炎・排尿障害などを割とよく起こします。

尿路で起こった炎症によって粘膜表面からの出血が起こったり、結石の存在によって物理的な刺激を受けることによって血尿が出ます。
結石がなくても、本来無菌であるはずの尿路に感染がおこると、重度の膀胱炎や尿道炎、中には腎臓の炎症を起こして血尿がみられる場合もあります。

結石や感染の見られない膀胱炎も猫では比較的よく起こり、原因が特定できない膀胱炎を『特発性膀胱炎』と呼びます。
特発性膀胱炎はストレスが発症に関与していると考えられています。

他には腎臓や膀胱付近を強打するような外力が加わった場合(交通事故や高所からの転落など)には、臓器内で出血が起こることにより血尿がみられることもあります。

腫瘍性疾患によって尿路の出血が起こります。

腎臓や膀胱に腫瘍が形成されると、腫瘍からの出血や正常な組織に炎症反応が起こることによって血尿がみられることがあります。

溶血性疾患によって血色素尿がみられます。

血色素尿は赤血球が大量に壊されるような病気によって起こります。

多いのは自己免疫性溶血性貧血などの場合で、免疫の異常によって赤血球が猫自身の免疫細胞に攻撃され壊されてしまう病気です。
他にはタマネギなどの中毒性物質を摂取した場合や、赤血球に寄生する寄生体(ヘモプラズマ)が存在する場合などにも溶血が起こり、血色素尿が出ることがあります。

猫の「血尿がでた・尿に異常」症状の好発品種について

全猫種で好発します。

どんな猫でも血尿が起こる可能性があります。

猫の「血尿がでた・尿に異常」症状の予防方法について

尿路疾患の予防には水分摂取と食事管理が重要です。

猫は水分摂取量が減ると尿が濃くなり、尿石症や膀胱炎を起こしやすくなります。
特に寒くなり始めの秋口から冬にかけては尿路疾患が急増します。

水をこまめに汲み替え、水に好みがある(ぬるま湯が好き、流水を飲みたいなど)場合にはそれに対応した対策を取り、飲水量が極端に減らないように気を付けましょう。
食事にウェットフードを混ぜるのも水分摂取量を増やす一つの方法です。

また一度尿石症を発症したことのある猫は再発のリスクが高くなります。
食事を尿石症対応食などに変更して、尿石症を予防しましょう。

中毒物質の誤食に気を付けましょう。

猫がタマネギ単独を直接食べてしまうことはあまりありませんが、タマネギを調理して含む食べ物や、同様の中毒性植物であるニラなどは猫草に似ており、猫が誤って食べてしまう可能性があります。
人の食べ物を猫がむやみに誤食しないように管理を徹底しましょう。

猫の「血尿がでた・尿に異常」症状の治療方法について

尿路疾患の治療を行います。

血尿がみられた場合、他にみられる症状を参考に尿検査、血液検査、レントゲン検査、超音波検査などを行い、出血の原因を探ります。

尿路感染症では抗生物質や止血剤の投与、尿石症では投薬治療や水分補給などの対症療法に加えて食事療法、必要に応じて膀胱洗浄などの処置を行い、特定の原因が見つからない特発性膀胱炎が長引く場合には対症療法として消炎剤や止血剤を投与します。

膀胱結石や腎結石の場合、必要に応じて結石を摘出する手術を行う場合がありますが、結石の種類によっては食事療法によって溶解することも可能です。

腫瘍に対しては内科治療または外科治療を行います。

腫瘍が原因の場合、手術が可能であれば手術を行います。
しかし、猫の腎臓の腫瘍ではリンパ腫の発生が多く、その場合は抗がん剤での治療が適用となります。

あまり多くはありませんが腎細胞癌など腎臓原発の腫瘍の場合は外科切除が必要です。
両側に発生している場合は両側の腎臓を切除する手術はできないため、緩和療法を行うことになります。

膀胱の腫瘍は腫瘍が膀胱内のどこに形成されているかが重要です。
膀胱の頭側であれば手術による切除が可能ですが、膀胱の尾側の場合は尿管の接合部や尿道への移行部が巻き込まれている場合もあり、切除が難しい場合もあります。
その場合には尿路を変更する手術を行うか、あるいは腫瘍にある程度の効果があるとされている消炎鎮痛剤の一種を投薬することで緩和療法を行います。

血色素尿には原因に対する対応がそれぞれ必要です。

自己免疫性疾患による溶血性疾患から血色素尿がみられる場合、免疫抑制剤やステロイドで異常が起こっている免疫を抑え込む治療が必要です。
重度の貧血を伴っている場合には輸血も考慮しなくてはなりません。

タマネギなどの中毒物質による溶血の場合、胃内に中毒性物質が残っている可能性がある場合には催吐処置を行いますが、溶血が起こっている場合にはすでにほとんど消化吸収されていることが多いため、活性炭などの吸着剤を投与して中毒物質のさらなる吸収を防ぐとともに、静脈点滴で体調を整えながら体から中毒物質が体から排除されるのを待ちます。

血液に寄生するヘモプラズマには、抗生物質を投与して治療を行います。

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