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Youtube 病気辞典
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執筆獣医師:齋藤厚子先生
[記事公開日]  [最終更新日]
[ 目次 ]

猫の「涙が出る」症状とは

目がうるうるした状態になり、目の周りの被毛が濡れた状態になります。

涙は目の周囲にある涙腺から分泌され、瞬きによって目の表面に広がり、目の汚れを洗い流したり目の表面を保護する役割を担っています。
健康な目の表面には薄い涙の層が覆っているため光沢があり、涙は全て鼻涙管という細い管を通って鼻へと流れます。

しかし、目に何らかの異常があり涙の分泌が盛んになった場合や、鼻涙管が閉塞して涙が鼻に抜けなくなった場合には、涙が瞼の縁からこぼれ落ち、目の周りの被毛が濡れた状態になります。
この状態を流涙症といいます。

涙が多く出ている時には以下のような症状を伴っていることがあります。
・眼が開かない
・眼をショボショボする
・目ヤニが出る
・目をこする
・白目が赤く充血している
・くしゃみや鼻水が出ている
・瞼が腫れている
・瞼にしこりができている

流涙症で目の周りの毛が濡れた状態になったままでいると、皮膚炎などに発展する可能性があります。
まずは原因を特定するために病院を受診しましょう。

猫の「涙が出る」症状の考えられる病気(原因)とは

目の異常によって涙が増えます。

目の表面を覆う角膜や結膜に角膜炎や角膜潰瘍、結膜炎などが起こると痛みや痒みが生じ、涙の分泌量が増えます。
これらは主にウイルス感染症や物理的な刺激(ケンカによる傷や逆さ睫毛、眼瞼内反症などにより目の周りの毛が目にあたる)、アレルギー反応などが原因で起こります。

鼻涙管やマイボーム腺の異常によって涙が落ちやすくなります。

鼻涙管が閉塞している場合、涙が鼻に流れず、瞼の縁にたまって涙が出ているように見えることがあります。
しかし鼻涙管閉塞の場合は涙の流路が滞っているだけで、実際に分泌される涙の量が増えているわけではありません。
鼻涙管の閉塞は先天的に鼻涙管の入り口が閉じている場合と、後天的に目や鼻の炎症による腫れで狭くなったり癒着が起こっている場合、目ヤニなどの分泌物が閉塞している場合などがあります。

同様に、上下の瞼の縁にあるマイボーム腺という皮脂の分泌腺の機能低下によっても涙がこぼれやすくなることがあります。
マイボーム腺から分泌される皮脂成分は目の表面に広がり、涙の層のさらに表面に油分の膜を張って涙の蒸発を防ぐとともに涙を目の上部まで行き渡らせる役割を果たしています。
マイボーム腺の機能が低下すると目の表面を覆う油膜が不足するために涙が十分に引き上げられず、目の縁からこぼれやすくなるのです。

瞼に腫瘤などができることによって涙が増えることがあります。

瞼の縁に腫瘤ができると、腫瘤による物理的な刺激や瞼がしっかり閉じないことによって、あるいは睫毛や被毛の向きが変化し目にあたることによって涙が増えることがあります。

猫の「涙が出る」症状の好発品種について

以下の猫種で好発がみられます。

鼻が低い短頭種の猫では顔の構造上、流涙症が多くみられる傾向があります。

猫の「涙が出る」症状の予防方法について

目の周りを清潔に保ちましょう。

生理的に出る目ヤニなどで目の周りが不衛生な状態でいると、瞼の炎症なども起こりやすくなります。
目ヤニはこまめにふき取り、きれいに保つようにしましょう。

予防接種を定期的に受けましょう。

結膜炎や角膜炎の原因となる感染性疾患(ヘルペスウイルス、カリシウイルス、クラミジアなど)は定期的に予防接種をすることで発症を防ぐことが可能です。

猫の「涙が出る」症状の治療方法について

点眼薬で治療します。

角膜炎や結膜炎、角膜潰瘍に対しては、消炎剤や角膜保護剤、抗生物質などの点眼薬で治療します。

また、ウイルス性疾患によってこれらの症状がみられる場合には、インターフェロンや抗ウイルス薬、サプリメントなどによる治療を合わせて行います。

目の治療中は目をこすってしまうと症状が悪化してしまうため、エリザベスカラーなどを装着して目を保護することも必要です。

目への刺激を取り除きます。

逆さ睫毛や目の周囲の毛が目に刺激を与えている場合、逆さ睫毛を抜去したり、毛を短くカットする、あるいは目に毛が入らないように瞼の形成手術を行います。
目の縁に腫瘤がある場合には腫瘤の切除を検討します。

アレルギーなどによって結膜炎をおこし涙が増加している場合には、原因となるアレルゲンをできるだけ除去します。
しかし花粉やハウスダストなどといった環境中のアレルゲンは完全に除去することは難しいため、ステロイドや抗ヒスタミン剤などの内服薬でアレルギー反応を抑える治療が必要になります。

鼻涙管やマイボーム腺の異常を治療します。

鼻涙管が閉塞している場合は、鼻涙管を洗浄し閉塞の解除を試みます。
鼻涙管の詰まりがとれると症状は改善することが多いですが、再発することも多く、何度か処置を振り返す必要があるケースも多くみられます。
生まれつき鼻涙管の形成に異常がある場合には手術によって形成することもありますが、専門的な手術となるため、眼科専門医を受診する必要があります。

マイボーム腺の機能低下が原因の場合は、温罨法でマイボーム腺の詰まりをほぐし、分泌を促すことで改善がみられます。
目を人の手の平や温めたタオルなどで温め、皮脂をやわらかくした後でそのまま瞼をマッサージし、手で20~30回ほどパチパチと瞬きをさせることで分泌を促進させます。
温罨法は目の健康を保つためにも効果的です。

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