犬の「左右の眼の色が違う」症状とは
何らかの異常が考えられます。
左右の眼の色が違う場合、何らかの異常が発生している可能性があります。
片眼の奥が白くなっている場合は、水晶体の混濁した状態である白内障が考えられます。
片眼の表面が白くなっている場合は、角膜炎や角膜潰瘍が治癒した後に見られることがあります。このような場合は、とくに問題ありません。
片眼の奥が緑がかって見える場合は、眼房水が増え散瞳した状態である緑内障が考えられます。
犬の「左右の眼の色が違う」症状の考えられる病気(原因)とは
白内障
白内障は眼球内の水晶体蛋白質が不可逆性の変化を受けて、不透明化することによって起こります。その原因は加齢、遺伝、外傷性、代謝性など多岐にわたります。
白内障はステージによって、初発白内障、未熟白内障、成熟白内障、過熱白内障に分類されます。
初発白内障とは、水晶体全体の1割程度に混濁がある状態です。詳細な検査を行わないと診断することはできません。視覚への影響はありません。
未熟白内障とは、水晶体の混濁が広がっている状態です。100%の混濁ではなく、視覚がある状態です。
成熟白内障とは、水晶体が完全に混濁し、視覚が失われている状態です。一見して水晶体が混濁しているのを容易に確認できます。
過熱白内障とは、水晶体の蛋白質が変性し、可溶化して水晶体が縮んでいる状態です。一般的にぶどう膜炎を続発している状態です。
緑内障
緑内障とは、何らかの原因によって眼圧が上昇することで、眼の痛みや視覚障害を引き起こす疾患です。
緑内障は、原因によって原発性緑内障、続発性緑内障、先天性緑内障に区別されます。犬では猫と比べて先天性緑内障の発症は少ないとされています。
原発性緑内障は、眼球内の異常やその他の全身性疾患は一切認められず、最終的には両眼に発症します。根本に遺伝が関与していると考えられています。
続発性緑内障は、眼球内の問題や全身性疾患に関連した眼内の変化(炎症、出血、腫瘍、水晶体脱臼など)により、眼房水の排出に障害が起こることで発症します。
緑内障になると強結膜の充血、角膜浮腫、散瞳が見られます。散瞳している状態で、眼球内の眼房水がたまっている状態ですと、眼が緑がかってしまいます。
犬の「左右の眼の色が違う」症状の好発品種について
好発する品種はありません。
アメリカンコッカースパニエル、イタリアングレイハウンド、ジャックラッセルテリア、柴犬、チワワ、トイプードル、ビションフリーゼ、ボストンテリア、ミニチュアダックスフント、ヨークシャーテリアなどが白内障の好発犬種とされています。
アメリカンコッカースパニエル、シーズー、柴犬、ビーグルなどが緑内障の好発犬種とされています。
犬の「左右の眼の色が違う」症状の予防方法について
早期発見・早期治療が重要です。
遺伝性疾患、特発性疾患が多いため予防は難しいと言えます。早期発見・早期治療が重要です。
外傷性の白内障、緑内障に関しては、眼に傷を付けないよう注意する必要があります。
犬の「左右の眼の色が違う」症状の治療方法について
白内障
初発白内障から未熟白内障の段階では、定期的な検査をおこない、視覚の有無について経過観察をおこないます。若齢では進行が早いことが多いので2週間~1か月間隔で検査をすることが望ましいとされています。
また、国内に動物用医薬品として犬で認可されている老齢性白内障の進行予防薬を点眼することがあります。
成熟白内障以降では、続発緑内障や網膜剥離を防ぐために、積極的な抗炎症療法をおこないます。
視覚の維持や回復のため、白内障に続発する症状を抑えるため、外科手術が選択される場合があります。
白内障の手術は事前にその犬と眼が手術適応であるかどうかを評価する必要があります。大人しく眼科検査に協力的なあること、頻回の点眼処置が可能であること、ぶどう膜炎を併発していないこと、水晶体に脱臼が見られないこと、眼圧が正常値内であること、網膜剥離がないこと、などに注意して評価をおこないます。
白内障手術では、水晶体の内容物を超音波で乳化して吸引します。そして人工の犬用眼内レンズを挿入します。専門施設での手術結果は良好であると言えます。
緑内障
高眼圧が24~72時間持続すると視覚が戻らないと言われているため、急性期には緊急療法をおこなう必要があります。
点眼や注射によって眼圧を下降させます。
眼圧が下降した場合は、点眼治療を継続します。
眼圧が下降しなかった場合は、視覚保持のために毛様体光凝固術と隅角バルブ移植術を実施することが推奨されています。既に視覚を失っている場合は、義眼、毛様体破壊術、眼球摘出術などがおこなわれます。