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Youtube 病気辞典
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執筆獣医師:齋藤厚子先生
[記事公開日]  [最終更新日]
[ 目次 ]

猫の「多飲」症状とは

水をたくさん飲むと同時に尿や全身状態にも変化が現れます。

猫がたくさん水を飲んでいるときには、何か病気が隠れていることがあります。

病気でなくても、たとえば春に比べると夏の猛暑の中では水を飲む量が多くなりますし、冬でも暖房がよく効いた部屋では乾燥するために飲水量が増えることはあります。

その様な状況でなくても、気づいたら水入れが空っぽになっていることが頻繁であったり、水を催促されることが多い場合は、一度一日の飲水量をチェックしてみましょう。

標準的な猫の一日の飲水量は、体重1kgあたり約50ml、4kgくらいの猫だと約200ml位です。(ウェットタイプのフードを食べている場合にはもう少し少なくなります。)
水入れから自然に蒸発する水分もあるため厳密な計測ではありませんが、水入れに水を入れる際に水の量を量って入れ、入れ替える際にもう一度量ることで大体どれくらい水を飲んでいるか把握できます。

病気によって飲水量が増える場合には、以下のような症状も伴っていることがありますので、少し気を付けて様子を観察しましょう。

・尿量が増える
・トイレの失敗
・薄い尿をたくさんする
・食欲が落ちる
・痩せる
・お腹だけがポッコリと膨らむ
・嘔吐
・下痢
・興奮して攻撃的になる
・夜啼きがひどい
・陰部からオリモノが出る
・ぐったりと元気がない
・口臭が強い

これらの内、どんな症状を伴っているかは原因となる病気によって異なりますが、あてはまるものがあった場合には、尿検査ができるように尿を採取してできるだけ早く病院を受診しましょう。

猫の「多飲」症状の考えられる病気(原因)とは

高齢猫は慢性腎臓病や甲状腺機能亢進症に注意です。

最近では15~20歳前後まで生きる猫も増え、猫の高齢化が進んでいますが、高齢猫が特に気を付けなければいけない病気があります。
それが慢性腎臓病と甲状腺機能亢進症です。

慢性腎臓病は正常に機能して尿を作る腎臓の細胞が徐々に減少してしまう病気で、高齢猫の内科疾患で最も多い疾患です。
正常な腎臓は血液から老廃物をこしとり、その中から必要な水分を再吸収して濃縮した尿を生成しますが、慢性腎臓病になるとそれらの機能が低下します。
その結果、水分の多い薄い尿をたくさんするようになりますが、体には排泄しきれなかった老廃物が少しずつ蓄積し、食欲不振や吐き気をおこします。

甲状腺機能亢進症は喉の前側にある甲状腺という小さなホルモン分泌器官の異常です。
甲状腺ホルモンは体の代謝を活発にするホルモンで、動物が生きていくために欠かせないホルモンですが、高齢の猫ではここに良性の腺腫などが形成され、ホルモンの分泌が過剰になってしまうことがあります。
甲状腺ホルモンが過剰になると、一見元気なように見えますが、興奮しやすくなって攻撃的になったり、大きな声で異常に鳴く、食べているのに痩せていく、脈が異常に速くなるなど様々な変化を起こし、その症状の一つとして飲水量の増加も見られます。
甲状腺ホルモンの過剰は体に大きな負担をかけるため、適切な治療が必要です。

未避妊の猫では子宮蓄膿症に注意が必要です。

子宮蓄膿症は子宮に細菌感染が起こり、子宮の中に多量の膿が貯留する病気です。
子宮の出口が緩んでいると陰部からオリモノとして排泄されるために気づくのも早くなりますが、中にはオリモノが排出されず、子宮が非常に大きく拡張して膿汁が貯留する場合もあり、発見が遅れると命にかかわる場合もあります。

その他の疾患が原因となる場合もあります。

糖尿病もまた飲水量が非常に多くなる疾患の一つです。
糖尿病は慢性膵炎などの結果、膵臓から分泌されるインスリンの量が不足するあるいはインスリンの効果が十分に発揮されないことによって起こります。
肥満傾向の猫は糖尿病の発症リスクが高い傾向があります。

糖尿病の基礎疾患ともなりうる副腎皮質機能亢進症も飲水量が増える病気の一つです。
副腎皮質機能亢進症は副腎または下垂体に腫瘍が形成されることで副腎から分泌されるコルチゾールというホルモンが過剰になる病気です。

また発生は非常に稀ですが、体の水分を調節する抗利尿ホルモンであるバソプレシンが不足することによっておこる尿崩症という病気も飲水量が非常に増加します。

これらの病気以外でも腫瘍疾患によって高カルシウム血症を起こしている場合や、肝臓疾患でも飲水量が増えることがあります。

病気以外では、他の疾患の治療として投薬されているステロイド剤、抗てんかん薬、利尿剤なども飲水量の増加を起こします、
これらのお薬を処方されている間に飲水量が非常に多いと感じた場合には、かかりつけの病院に相談しましょう。

猫の「多飲」症状の好発品種について

全猫種で好発します。

特にありません。
どんな猫にでも発症する可能性があります。

猫の「多飲」症状の予防方法について

年齢に応じた食事管理で肥満を予防しましょう。

猫に多い慢性腎臓病は、予防・治療のどちらにおいても食事管理が重要です。
シニア用のフードなどは慢性腎臓病への配慮がなされているものが多いため、猫の年齢が上がるにつれて、年齢にあった食事への変更を検討しましょう。

また肥満は様々な病気の原因となるため、毎日の食事は決められた量をきちんと量って与えるようにしましょう。

高齢猫は定期的に健康診断を受けましょう。

加齢に伴って起こりやすくなる疾患は早期発見が重要です。
特にシニア期を迎えたら定期的に尿検査や血液検査を受け、体に起こる変化をいち早く発見できるように努めましょう。

避妊手術をしていると子宮蓄膿症にはなりません。

避妊手術として子宮卵巣摘出術を行っている場合には子宮蓄膿症にはなりません。
手術には麻酔が必要ですが、若くて元気なうちに避妊手術を行う方が、病気になって全身状態が悪いときに麻酔をかけて手術を行うよりはるかに麻酔リスクは低くなりますので、出産を予定していない場合には避妊手術しておくことをお勧めします。

猫の「多飲」症状の治療方法について

慢性腎臓病や甲状腺機能亢進症にはできるだけ早期から内科治療を行います。

慢性腎臓病の治療は進行の程度によって異なります。
初期には食事療法を行い、進行に伴って血管拡張薬や活性炭などの吸着剤の投与、進行して脱水症状が重度の場合には皮下点滴や静脈点滴で水分補給を行います。

甲状腺機能亢進症では多くの場合は抗甲状腺ホルモン剤を投与しますが、状況によっては外科手術で甲状腺を切除することもあります。
甲状腺機能亢進症の治療を行うことで高血圧が改善すると、隠れていた腎臓病などが顕在化することもあるため、合わせて注意が必要です。

子宮蓄膿症の場合は子宮卵巣摘出術を行います。

子宮蓄膿症の場合は子宮卵巣摘出術を行います。
子宮蓄膿症の治療方法は子宮卵巣摘出手術です。
膿の貯留した子宮を卵巣とともに切除することが根本的な治療方法です。
手術の前後には抗生物質を投与し、感染をしっかりと抑えつつ、点滴で全身状態の回復を図ります。

どうしても子宮を温存したい場合には、ホルモン剤を投与することで子宮の出口を緩め、子宮内の膿を排出させる治療を行うこともありますが、再発率が高いためあまりお勧めできません。

その他の疾患にはそれぞれに対応した治療が必要です。

糖尿病では食事管理と必要に応じてインスリン治療、副腎皮質機能亢進症に対しては副腎皮質から分泌されるコルチゾールというホルモンの合成を抑えるお薬の投薬、尿崩症では抗利尿ホルモンの補充療法などを行います。

それぞれの治療には診断時の検査はもちろん、定期的な検診も非常に重要で、経過が良好かどうかの判断材料の一つとしても飲水量の変化に注意する必要があります。

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