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Youtube 病気辞典
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執筆獣医師:齋藤厚子先生
[記事公開日]  [最終更新日]
[ 目次 ]

猫の「瞳孔が開いている」症状とは

黒目が大きく開いた状態になります。

眼の色がついている部分を虹彩、その中心にある黒目の部分を瞳孔といいますが、猫の瞳孔はヒトや犬とは異なり、縦長の形をしています。

瞳孔は虹彩に囲まれた穴のことで、「瞳孔が大きくなる・小さくなる」という表現が使われますが、実際には虹彩が伸び縮みすることで瞳孔の大きさを調整し、周囲の環境の明るさに応じて目に入る光の量を調整しているのです。
眼はカメラと似たような構造をしており、カメラでいう絞りの部分が瞳孔ということになります。

瞳孔の大きさを変化させるのは虹彩にある瞳孔括約筋と瞳孔散大筋の働きで、その筋肉の働きを支配している交感神経・副交感神経の興奮の程度や周囲の光の強さによって、瞳孔を開いたり閉じたりします。

暗い場所にいる時や興味のあるものを見ている時、興奮状態、恐怖を感じている時などは瞳孔散大筋が優位に働き、瞳孔は開いた状態になります。
おもちゃなどで遊んでいるときには猫の黒目が真ん丸になることがありますが、そのような状態が瞳孔が開いた状態です。

逆に眩しい時には瞳孔を小さく細めて目に入る光の量を少なくします。
非常に明るい環境下では、猫の瞳孔は糸のように細くなります。

瞳孔はこのように周囲の環境や精神状態の影響によって常に変化しますが、眼や神経の働きに影響を及ぼす病気が原因で瞳孔が開いたままになることがあります。

以下のような時は何らかの疾患が疑われるため、病院で眼の検査を受けましょう。

・眼が見えていない様子(ものにぶつかることが多いなど)
・明るい環境下でも瞳孔が大きく開いたまま
・眼の奥が白く濁っている
・左右の眼で瞳孔の大きさが明らかに異なっている
・眼の奥が赤い
・虹彩の色が変わった
・白目が充血している
・眼が大きくなった

これらの眼の様子の変化の他に、食欲亢進・食欲低下や飲水量の増加、尿の状態など、全身状態にも変化が現れることがあります。

猫の「瞳孔が開いている」症状の考えられる病気(原因)とは

眼の病気によって起こります。

視覚を喪失するような眼の病気になると瞳孔が開いたままになってしまいます。
代表的なものには以下のようなものがあります。

・緑内障
・白内障
・網膜剥離
・網膜変性症

これらの病気は遺伝的に起こる場合もあれば、全身性疾患や外傷に続発して起こることもあります。
そのため、眼の検査だけでなく全身的な検査によって体に起こっている異常を見つけだし、治療することが必要です。

全身性の疾患によっておこります。

高齢の猫で発症が多い甲状腺機能亢進症では、ホルモンの影響によって興奮しやすい状態となり、常に瞳孔が開いた状態になります。
病気の特徴として目がランランとしている、というのは、瞳孔が開いている状態を指しています。
興奮によって瞳孔が開いているだけであればいいのですが、中には高血圧によって網膜の浮腫や出血が起こることもあり、その場合には網膜剥離から失明の危険があります。
しかしもともと瞳孔が開きがちな甲状腺機能亢進症ではその違いが分かりにくいため、定期的に眼の検査も受けるようにしましょう。

同じく高齢の猫で発症が多い慢性腎臓病にも、腎性高血圧による眼底出血・網膜剥離などが起こることがあり、視覚を喪失すると瞳孔が開いた状態になります。

脳の異常を反映していることがあります。

脳炎や脳腫瘍などが存在し、視覚に障害が生じたときにも瞳孔が開いたままになることがあります。

猫の「瞳孔が開いている」症状の好発品種について

以下の猫種で好発がみられます。

アビシニアンやペルシャでは遺伝性に起こる網膜変性症(進行性網膜萎縮)が確認されています。

またバーマン、ヒマラヤン、ペルシャは遺伝的に白内障を起こしやすい品種とされています。

猫の「瞳孔が開いている」症状の予防方法について

高齢期の疾患に注意しましょう。

甲状腺機能亢進症や慢性腎臓病は高齢の猫で発症しやすい疾患です。

早期発見に努め、適切な食事管理や治療によって進行を効果的に抑制できますので、定期的に健康診断を受けるようにしましょう。

猫の「瞳孔が開いている」症状の治療方法について

基礎疾患の治療を行います。

猫の緑内障は続発性緑内障がほとんどです。
視覚の回復が期待できる緑内障では、緊急的に眼圧を下げる治療として、眼圧を下げる点眼薬に加え、浸透圧利尿剤などの点滴などを行います。
それとともに原因となっている外傷や感染症、ブドウ膜炎などの炎症、水晶体の脱臼などに対して、それぞれ積極的に治療を行い、眼圧の再上昇を抑える治療を行います。
状況に応じては眼の手術が必要になることもあります。

甲状腺機能亢進症や慢性腎臓病による高血圧から網膜剥離の危険がある場合には、それぞれの疾患に対する治療を行い、血圧をコントロールする必要があります。
甲状腺機能亢進症では抗甲状腺薬、慢性腎臓病では食事管理や血管拡張剤などの投与に加え、カルシウムチャネル拮抗薬などを投与することで高血圧を治療します。

白内障の場合は、内科治療で治す方法はありません。

白内障に対しては進行を抑制しつつ、続発性のブドウ膜炎を抑える治療を継続して行っていくか、手術によって白濁した水晶体を取り除き、人工のレンズを挿入する方法がありますが、手術を選択する場合には視覚が維持されているかどうかの確認が必要です。
また術後の合併症などについてもよく理解しておく必要があります。

腫瘍や痛みを伴う緑内障の場合には眼球摘出術を検討します。

眼の腫瘍の場合は、眼球を温存して治療を行うことは非常に難しくなります。
リンパ腫に限っては抗がん剤治療も選択肢となりますが、その他の腫瘍の場合では、転移する前に眼球摘出術を行うことが根本的な治療となります。

またすでに視覚を喪失してしまった緑内障で、眼に強い疼痛がある場合も眼球摘出術が選択されることがあります。
他には眼球内に薬液を注入して眼球を萎縮させる方法や、義眼を挿入する方法などがあります。

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