猫の「興奮しやすい」症状とは
興奮しやすく、攻撃的になることがあります。
猫は夜になると家の中を走り回ったり、排便後にハイになって走り回ることがよく見られますが、そのような行動は猫の本能によるもので特に問題はありません。
しかし、病気が原因で猫の性格が急に変わったり、興奮しやすく攻撃的になったりすることもあります。
高齢の猫で見られる甲状腺機能亢進症や脳腫瘍、または激怒症候群と呼ばれる状態になった時などに症状の一つとしてこのような変化が起こります。
これらの病気では、興奮しやすいという以外に以下のような症状が見られることもあります。
〈甲状腺機能亢進症〉
・食べているのに痩せる
・水を飲む量が増える
・大きな声で執拗に鳴く
・嘔吐、下痢
・瞳孔が開いたままになる
〈脳腫瘍〉
・歩行異常(まっすぐ歩けない、歩行困難、立てないなど)
・神経症状(けいれん発作、意識がもうろうとする、目が見えていないなど)
・トイレの失敗
・食欲の変化(食欲亢進または食欲低下)
・昏睡状態
〈激怒症候群〉
・きっかけや威嚇行動がなく突然攻撃してくる
・人や物に対して激しく怒る
・眠りの浅いときに発症することが多く、しばらくすると元に戻る
猫はもともと気まぐれな性格のため、急に激しく遊びだしたと思ったら直後に飽きて興味を失うこともあり、病的な興奮なのかどうか判断がつきにくいことも多いと思いますが、それまでになかったような変わった行動が頻繁に見られる場合は一度病院に相談してみましょう。
猫の「興奮しやすい」症状の考えられる病気(原因)とは
甲状腺機能亢進症は加齢や腫瘍の形成によって起こります。
甲状腺機能亢進症は10歳以上の高齢の猫に多くみられる内分泌疾患で、甲状腺機能亢進症と診断される猫の中には、甲状腺に明らかな腫瘤が形成されていることもあります。
ほとんどは良性腫瘍ですが、まれに悪性腫瘍のことがあります。
高齢の猫での発症がほとんどですので、加齢性変化がホルモンの分泌過剰や腫瘍の形成に関与していると考えられます。
髄膜腫などの脳腫瘍が発生していることがあります。
猫の脳には稀に髄膜腫などの腫瘍や、リンパ腫、他の腫瘍の転移病巣が形成されることがあります。
脳に腫瘍が形成されると、腫瘍によって正常な脳組織が圧迫されることにより神経症状などが現れ、その発生部位によっては性格が変化したり攻撃的になることがあります。
これらの腫瘍がなぜできるのかはよくわかっていません。
激怒症候群の発生原因はよくわかっていません。
激怒症候群とは、突発性攻撃行動とも呼ばれ、猫では近年になって新たに認識されるようになった病気です。
それまでおとなしかった猫が前触れなく突然攻撃的になる疾患で、急に攻撃をしてきたかと思えばしばらくすると元に戻り、そのような症状を不定期に繰り返します。
原因はよくわかっていませんが、てんかん発作と関連があるのではないかと考えられています。
猫の「興奮しやすい」症状の好発品種について
好発する品種はありません。
好発品種は特にありません。
猫の「興奮しやすい」症状の予防方法について
予防方法はありません。
これらの疾患を予防できる効果的な方法は残念ながらありません。
早期発見につなげるために、異常な行動が見られたら動画などを撮影し、かかりつけの病院に一度相談してみましょう。
猫の「興奮しやすい」症状の治療方法について
甲状腺ホルモンを抑えるお薬を投薬します。
甲状腺機能亢進症の治療は、主に抗甲状腺薬というお薬を飲ませる方法で行います。
悪性腫瘍が疑われる場合には積極的に手術で甲状腺の切除を行う必要がありますが、多くの猫は高齢で発症し、甲状腺ホルモンが過剰になっている影響で心臓に負担がかかっていることが多いため、良性の腫瘍の可能性が高い場合には麻酔リスクの問題から内科治療が選択されることが多くなります。
脳腫瘍に対しては外科治療・抗がん剤・放射線療法などを行います。
脳腫瘍の場合は、診断・治療に先立って麻酔をかけた状態でMRI検査などが必要となります。
その結果、手術による切除が可能な部位であれば手術を検討します。
手術が難しい場合には放射線療法や抗がん剤による治療を組み合わせた治療を行います。
また、必要に応じて脳の炎症やむくみを抑える治療、脳圧を下げる治療、神経症状を抑える治療として、ステロイドや浸透圧利尿剤、抗てんかん薬などが使用されます。
激怒症候群にはてんかん治療に準じた治療が行われます。
激怒症候群は診断が難しい疾患です。
猫が攻撃してくる場合には原因が隠れていることが多く、大きな物音に驚いたり、慣れない環境におびえて攻撃的になる(病院に行った時など)、知らない人や他の動物に遭遇する、あるいはしつこく撫でられた場合にも噛むことがあります。
そのような状況がなく、また威嚇行動もないままに突然攻撃してくるのが激怒症候群の特徴です。
他の疾患の可能性が除外され、発症のパターンなどから激怒症候群が疑われる場合には、てんかんの検査を行い、てんかんと診断された場合には抗てんかん薬で治療を行います。
この病気は一度発症したら完治することはないといわれています。
治療を継続しながら、上手に付き合っていく方法を探っていくことになります。