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Youtube 病気辞典
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執筆獣医師:齋藤厚子先生
[記事公開日]  [最終更新日]
[ 目次 ]

猫の「瞬膜が出ている」症状とは

内眼角に白~ピンクの膜が張った状態になります。

瞬膜とは、眼の内側の切れ込み(内眼角)の下方にある膜で、「第三眼瞼」とも呼ばれます。
瞬膜には瞬膜腺という涙を分泌する腺が存在し、眼に涙を供給し、眼の表面を覆って眼を保護をする役割を持っています。
瞬きをする時に眼の表面を瞬間的に覆いますが、眼を開けている時は内眼角と瞼の奥に隠れて見えません。
猫が眠い時などは眼が半開きになり両側の瞬膜が少し出た状態になることがありますが、眼を閉じかけの時に瞬膜が出るのは特に異常ではありません。

しかし、片方あるいは両側の瞬膜が出たまま戻らない、または瞬膜腺が本来ある場所から飛び出して赤く腫れた状態になってしまうことがあり、その場合には目や神経、体調全般に不調があることが疑われます。

原因疾患によっては、以下のような症状が同時にみられることがあります。

・目ヤニが多い
・涙目になっている
・くしゃみや鼻汁がある
・眼を気にしてこする
・眼の大きさが左右で違って見える
・瞳孔の大きさが左右で違って見える
・食欲不振
・元気がない
・脱水

感染症などによって瞬膜が炎症を起こしている時には、瞬膜や眼瞼結膜と眼球が癒着を起こしてしまい、後遺症として視覚障害が起こることもあります。

眼の問題でなく、神経的な問題が起こっているケースや全身的な体調不良のサインとして瞬膜の突出が現れることも多いため、食欲や排泄などの一般的な状態に変化がないか、よく観察するようにしましょう。

猫の「瞬膜が出ている」症状の考えられる病気(原因)とは

眼の疾患に伴って起こります。

感染症による結膜炎で瞬膜が腫れている場合や、角膜に傷がついて眼を細めている場合、あるいは瞬膜腺が本来ある位置から脱出しやすくなっているために起こるケースなどがあります。

結膜炎は猫カゼ症状を起こす感染症(猫ヘルペスウイルス、猫カリシウイルス、クラミジアなど)で頻繁にみられ、特に子猫のヘルペスウイルス感染症では眼球と瞼の結膜、瞬膜などが癒着を起こし、眼球が白い膜で覆われたようになってしまうことがあり、その後遺症として生涯視覚に障害が残ることがあります。

角膜に傷ができたり角膜炎を起こしている時は、眼に痛みが生じて眼をショボショボさせて細めているために瞬膜が出ていることがあります。

瞬膜腺は本来瞬膜の動きを支える軟骨の奥に存在するのですが、軟骨の変形や瞬膜腺の腫れ、稀に腫瘍化することによって本来の位置から変位し、内眼角から突出してしまうことがあります。
この状態をチェリーアイと呼びます。

ホルネル症候群によって瞬膜が露出します。

ホルネル症候群とは、眼球や眼の周りの組織に分布する交感神経の異常によって起こる一連の症状につけられた病態名で、以下のような症状が同時に現れるのが特徴です。
・縮瞳(瞳孔が小さくなる)
・眼球陥没(眼が奥に引っ込んだようになる)
・眼瞼下垂(瞼の開きが小さくなる)
・瞬膜の突出

多くの場合は片側の眼だけに症状がみられ、原因としては
・脳、脊髄の異常(脳炎、外傷による損傷、腫瘍、梗塞など)
・耳の異常(中耳炎、内耳炎、鼻咽頭ポリープ、腫瘍など)
・その他(腕神経叢の損傷、頚部や前縦隔の腫瘍、眼球後方の腫瘍・損傷など)
などが挙げられます。

これらの鑑別のためには眼科、耳、神経の検査を一通り行い、必要に応じてCTやMRIなどで画像診断を行います。

体調不良に伴って瞬膜が出ている場合もあります。

体調が悪く嗜眠傾向の場合や脱水状態に陥った時、急激に痩せた時にも瞬膜が出たままになることがあります。

猫の「瞬膜が出ている」症状の好発品種について

以下の猫種で好発がみられます。

これらの品種ではチェリーアイの発症に遺伝的な要因が関与している可能性があります。

猫の「瞬膜が出ている」症状の予防方法について

感染症を予防しましょう。

ウイルスや細菌の感染による結膜炎を予防するためには、予防接種をしっかり受けることと、室内飼育を徹底して感染している猫との接触を断つことが有効です。
室内飼育を徹底することで、外で交通事故などに遭う危険性や猫同士のケンカの機会も減らすこともできます。

猫の「瞬膜が出ている」症状の治療方法について

点眼薬で治療します。

結膜炎や角膜炎、角膜の傷などは軽度であれば点眼薬で治療します。
感染症による場合は抗生物質やインターフェロンなどに加え、消炎剤、角膜保護剤を点眼します。

重度の炎症や細菌感染を伴う場合には内服薬を併用して治療します。

チェリーアイは整復が必要です。

瞬膜腺が脱出している場合は、点眼麻酔下でとび出した瞬膜腺を元の位置に押し込んで戻す処置が必要です。

しかし、何度戻しても再発してしまう場合には、全身麻酔をかけて瞬膜腺が飛び出しにくいように瞬膜に埋めこんで縫合したり、糸でけん引して固定するような手術を行います。

ホルネル症候群の場合は原因疾患の治療を行います。

ホルネル症候群の場合は、原因疾患がどこにあるかによって治療方法は全く異なります。
まずはしっかりと検査を受け、原因がどこにあるのかを調べることが治療への第一歩です。
しかし、中には原因が特定できない場合もあり、その場合には経過観察を行うことになります。

経過観察だけで症状が改善するケースもあるようですが、その場合は元に戻るまでに数か月かかるケースもあります。

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