獣医師インタビュー vol. 012
猫の心臓の病気について
猫の健康寿命を少しでも
長くすることに目を向けてもらう。
長くすることに目を向けてもらう。
経堂どうぶつ病院 | 元風呂 晃 獣医師
平成30年の犬猫飼育頭数調査によると犬の飼育頭数は引き続き減少傾向となっていますが猫の飼育頭数は前年度と変わらない状態を維持しています。また、最近では「地域猫」や「保護猫」といった言葉を様々なところで耳にする機会が増え、以前よりも猫に関する世間の関心が増えてきています。猫の平均寿命は犬の14.29歳よりも約1歳長い15.32歳となっており病院に来院する猫も以前に比べ高齢な子が多い印象があります。
犬猫の平均寿命の増加に伴いさまざまな疾患が診断されるようになり、それとともに疾患に対する新たな治療も日々進歩してきています。しかし猫は病気を
隠すもしくは我慢する傾向があり、疾患が進行し症状が顕著になって初めて病院に来院することが多いのは現在も変わらない状況です。近年は「猫にやさしい動物病院=キャットフレンドリークリニック」という動物病院も増え始め、猫が来院しやすい動物病院環境作りにも力を入れ始めており、少しでも猫の病気を早期発見・早期治療する仕組みを獣医業界でも模索している状態です。
また、猫の高齢化、診断技術の向上に伴い腎臓病、腫瘍性疾患の診断率も増加傾向にあり、これらが猫に多い疾患の上位を占めています。また、腎臓病、腫瘍性疾患についで多い疾患として心臓病があげられます。
犬猫の平均寿命の増加に伴いさまざまな疾患が診断されるようになり、それとともに疾患に対する新たな治療も日々進歩してきています。しかし猫は病気を
隠すもしくは我慢する傾向があり、疾患が進行し症状が顕著になって初めて病院に来院することが多いのは現在も変わらない状況です。近年は「猫にやさしい動物病院=キャットフレンドリークリニック」という動物病院も増え始め、猫が来院しやすい動物病院環境作りにも力を入れ始めており、少しでも猫の病気を早期発見・早期治療する仕組みを獣医業界でも模索している状態です。
また、猫の高齢化、診断技術の向上に伴い腎臓病、腫瘍性疾患の診断率も増加傾向にあり、これらが猫に多い疾患の上位を占めています。また、腎臓病、腫瘍性疾患についで多い疾患として心臓病があげられます。
-猫の心臓病とはどのような病気なのでしょうか。
心臓病は犬猫どちらでも見られますが犬と猫で発生が多い病気に違いがあります。人と同じように犬猫の心臓も4つの部屋に分けられていて血液は常に一方向に流れるようになっています。その流れを保つためにそれぞれの部屋の間には「弁膜」と呼ばれる構造があり血液の逆流を防いでいますが犬の場合はこの弁膜の構造に異常が起こる弁膜症という病気が多い傾向にあります。
一方、猫の場合は犬と同様に弁膜症も見られますが心臓の筋肉に異常が起こる「心筋症」という疾患が多い傾向があります。心臓は全身に血液を送るポンプ機能を担っており、その血液には酸素やホルモン、栄養などが含まれ、それを全身に送り出し循環させるのが心臓の役割です。全身に血液を送り出すには心臓が拡張した後しっかり収縮する必要があるため心臓は筋肉の塊のような構造になっています。
-猫の心筋症とは具体的にどのような症状がでるのでしょうか。
心筋症という病気は心臓の筋肉の疾患で、うまく収縮あるいは拡張できなくなったり不整脈が出たりします。特に猫で多い心筋症は「肥大型心筋症」という病気で、心臓の4つの部屋の中の左心室という部屋の周りの筋肉が肥大してしまいます。周りの筋肉が肥大すると心臓自体が大きくなりますが筋肉は内側にも肥大するため心室の部屋自体も狭くなってしまいます。全身に血液を送り出すには収縮も大切ですがしっかりと拡張して血液を心臓内に充満させる必要があるため拡張できないことで血液循環がうまく行えず、それを補うために心拍数増加や血圧上昇、さらなる心臓の肥大などが現れます。
また、肥大型心筋症では心臓の筋肉が肥大することで各部屋を分けている弁膜にずれが生じ二次的に血液の逆流が多く起こります。多く経験するのは心臓の左側の左心房と左心室という部屋を分けている僧帽弁という弁膜にずれが生じることで血液の逆流が生じ左心房が拡大してしまう状態です。左心房が拡大すると左心房の中で血液の塊(血栓)が作られやすくなり、この血栓が血管を通って心臓から排出され他の血管に詰まってしまうことで「血栓塞栓症」という病態に移行してしまいます。血栓塞栓症は猫の肥大型心筋症の合併症として多く見られる病態で血栓が詰まった場所によって症状が異なります。ほとんどは「突然後ろ脚が動かなくなった」という症状で来院されますが、その場合には両後肢に向かう血管の分岐部に血栓が詰まり血流を阻害しています。他にも腎臓に向かう血管に詰まった場合は急性腎不全に、脳に向かう血管に詰まった場合は脳梗塞になるなどが報告されています。
また、肥大型心筋症では心臓の筋肉が肥大することで各部屋を分けている弁膜にずれが生じ二次的に血液の逆流が多く起こります。多く経験するのは心臓の左側の左心房と左心室という部屋を分けている僧帽弁という弁膜にずれが生じることで血液の逆流が生じ左心房が拡大してしまう状態です。左心房が拡大すると左心房の中で血液の塊(血栓)が作られやすくなり、この血栓が血管を通って心臓から排出され他の血管に詰まってしまうことで「血栓塞栓症」という病態に移行してしまいます。血栓塞栓症は猫の肥大型心筋症の合併症として多く見られる病態で血栓が詰まった場所によって症状が異なります。ほとんどは「突然後ろ脚が動かなくなった」という症状で来院されますが、その場合には両後肢に向かう血管の分岐部に血栓が詰まり血流を阻害しています。他にも腎臓に向かう血管に詰まった場合は急性腎不全に、脳に向かう血管に詰まった場合は脳梗塞になるなどが報告されています。
-突然後ろ脚が動かくなると聞くと関節の病気かと思われがちですが、心筋症の症状で急性腎不全や脳梗塞になると聞くととても怖いですね。病院で心筋症と診断された場合にどのようなケアが必要か教えて下さい。
心筋症と診断された場合は外科治療ではなくお薬による内科治療が必要になります。お薬の種類や量は心臓病の状態によって変わりますが基本的には生涯お薬を飲み続ける必要があります。ただし、心筋症は完治するものではなく徐々に進行する病気であるため内科治療は進行を少しでも遅らせるという治療となります。また、肥大型心筋症と血栓塞栓症を合併した場合には残念ながら多くの猫が亡くなってしまうのが現状です。そのため早期に心臓の異常を発見し治療の必要性があれば治療を開始して血栓塞栓症にならないようにすることが重要です。
自分が飼っている猫が心臓病かどうかを見た目で判断することは難しいため最終的には動物病院で獣医師の診察を受けなければわかりません。ただし、一緒に生活している中で以下のような症状を示すことがあれば心臓病の可能性を疑う必要があります。
・遊んでいてもすぐに疲れる
・食欲低下
・呼吸が早い(寝ているときも)
・咳をする
・散歩や運動を嫌がる
・お腹が膨れてくる
・舌の色が青いまたは白っぽい
・開口呼吸している
症状の中には加齢に伴って起こっていると思われがちなものもあり、また心筋症の初期段階では症状を示すことはほとんどないため他の疾患で診察した際に偶然発見されることも多くあります。また、弁膜症と異なり心筋症の初期では心雑音が聴取されないことが多いためさらに発見を難しくしています。そのため心臓病を早期に発見するためには定期的に心臓の検査を実施して心臓病の兆候がないかどうかを確認することが大切です。
心臓病に関しては異常があればすぐにお薬を飲むというわけではなく病態が進行した場合はお薬を飲む必要があります。ただどれくらいの速さで病態が進行するかは個体差があるので対応としてはこまめに検査をするかお薬ではなく予防的にサプリメントを飲むなどが挙げられます。
「猫用・毎日健心 コエンザイムQ10&フランス海岸松」は、心臓病をサポートするペットサプリメントで、優れた抗酸化作用と心臓の活動に必要なエネルギーを作る「還元型コエンザイムQ10」、毛細血管を活性酵素からまもり心臓の血管を丈夫にする「フランス海岸松」、更に心臓の活動に欠かせない「L-カルニチン」「L-シトルリン」「タウリン抽出」を配合しています。また、血栓溶解作用の「ルンブルクス(ミミズ乾燥粉末》」と、強い抗酸化作用によってこの活性酵素を除去し高血圧を予防する「ゴマエキス」も配合されています。
「コエンザイムQ10」は体内のあらゆる細胞の生命活動に重要な補酵素で、エネルギーを必要とする心臓の筋肉や、骨格筋、肝臓や腎臓に多く存在するといわれています。特に心臓は体内で最もエネルギーを消費するためコエンザイムQ10は心臓には欠かせない成分です。
「フランス海岸松」はフランス南西部の大西洋沿岸だけに生育する松の樹皮から抽出される天然由来の抗酸化成分として働くプロアントシアニジンや豊富なフラボノイドを含んでいます。プロアントシアニジンの抗酸化作用はビタミンEの50倍、ビタミンCの20倍ともいわれ、毛細血管を活性酸素(身体が錆びる原因)の攻撃から守り、心臓の血管を丈夫にして血液の循環をサポートします。
「L-カルニチン」は、心臓の活動と脂肪燃焼に欠かせない栄養素で、脂肪が燃焼する際に生まれたエネルギーで心臓が元気に活動することができます。L-カルニチンが不足してしまうと、燃焼されずに残った脂肪が蓄積されて、肥満になり心臓に負担をかけます。L-カルニチンは年齢とともに体内でつくられる量が減少し、シニア期にはいると成猫期の半数ほどに減るため積極的にL-カルニチンを摂取する必要があります。
「L-シトルリン」はアミノ酸の一種で、体内でL-アルギニンという必須アミノ酸に変化し、血管を拡張し血流を促進する働きが期待できます。人間同様にシニア期になると、血管がしなやかさを失い硬くなり心臓の機能低下や運動能力も低下を引き起こします。また、しなやかで柔らかい血管を保つために必要な一酸化窒素を放出する働きで、血管が拡張され高血圧の予防も期待できます。
「ゴマエキス末(セサミン)」には、強い抗酸化作用によってこの活性酵素を除去する働きが期待できます。抗酸化作用の中ででも、ゴマエキス末(セサミン)は脂溶性の為、脂質でできている細胞膜を通過しきちんと肝臓にまで届くので活性酵素を確実に除去することができます。活性酵素が除去された心臓は血圧が下がり、低い圧力で血液を循環させることが出来るため、血液の流れがスムーズになり心臓の負担を和らげます。
「タウリン」はアミノ酸の一種で、心臓の筋肉(心筋)に多く存在し、心臓の重要な仕事である「血液を送り出す働き」という役割に大きく貢献しています。タウリンが不足すると血液中の毒素(悪玉コレステロール)が増えていき、心筋の収縮力が低下し十分な血液が送り出せなくなる「拡張型心筋症」を発症しやすくなると考えられています。特に、猫は体内でタウリンを合成することができないため、食事やサプリメントなどで補わなければいけない為、猫の必須アミノ酸となっています。
「ルンブルクス(ミミズ乾燥粉末)」は「ミミズ酵素(ルンブロキナーゼ)」とも言われ、ミミズの持つ自己消化能力による「血栓溶解作用」で血栓を溶かす働きが期待できます。また、ルンブルクスには体内で血管が傷ついたりした際には、血液中の成分を集めて修復する働きもあります。前述したように心筋症は進行すると循環不全だけでなく血液の塊である血栓が出来やすくなり血栓塞栓症を引き起こすことが多くあるので血栓が出来にくい状態を作ることは重要です。
自分が飼っている猫が心臓病かどうかを見た目で判断することは難しいため最終的には動物病院で獣医師の診察を受けなければわかりません。ただし、一緒に生活している中で以下のような症状を示すことがあれば心臓病の可能性を疑う必要があります。
・遊んでいてもすぐに疲れる
・食欲低下
・呼吸が早い(寝ているときも)
・咳をする
・散歩や運動を嫌がる
・お腹が膨れてくる
・舌の色が青いまたは白っぽい
・開口呼吸している
症状の中には加齢に伴って起こっていると思われがちなものもあり、また心筋症の初期段階では症状を示すことはほとんどないため他の疾患で診察した際に偶然発見されることも多くあります。また、弁膜症と異なり心筋症の初期では心雑音が聴取されないことが多いためさらに発見を難しくしています。そのため心臓病を早期に発見するためには定期的に心臓の検査を実施して心臓病の兆候がないかどうかを確認することが大切です。
心臓病に関しては異常があればすぐにお薬を飲むというわけではなく病態が進行した場合はお薬を飲む必要があります。ただどれくらいの速さで病態が進行するかは個体差があるので対応としてはこまめに検査をするかお薬ではなく予防的にサプリメントを飲むなどが挙げられます。
「猫用・毎日健心 コエンザイムQ10&フランス海岸松」は、心臓病をサポートするペットサプリメントで、優れた抗酸化作用と心臓の活動に必要なエネルギーを作る「還元型コエンザイムQ10」、毛細血管を活性酵素からまもり心臓の血管を丈夫にする「フランス海岸松」、更に心臓の活動に欠かせない「L-カルニチン」「L-シトルリン」「タウリン抽出」を配合しています。また、血栓溶解作用の「ルンブルクス(ミミズ乾燥粉末》」と、強い抗酸化作用によってこの活性酵素を除去し高血圧を予防する「ゴマエキス」も配合されています。
「コエンザイムQ10」は体内のあらゆる細胞の生命活動に重要な補酵素で、エネルギーを必要とする心臓の筋肉や、骨格筋、肝臓や腎臓に多く存在するといわれています。特に心臓は体内で最もエネルギーを消費するためコエンザイムQ10は心臓には欠かせない成分です。
「フランス海岸松」はフランス南西部の大西洋沿岸だけに生育する松の樹皮から抽出される天然由来の抗酸化成分として働くプロアントシアニジンや豊富なフラボノイドを含んでいます。プロアントシアニジンの抗酸化作用はビタミンEの50倍、ビタミンCの20倍ともいわれ、毛細血管を活性酸素(身体が錆びる原因)の攻撃から守り、心臓の血管を丈夫にして血液の循環をサポートします。
「L-カルニチン」は、心臓の活動と脂肪燃焼に欠かせない栄養素で、脂肪が燃焼する際に生まれたエネルギーで心臓が元気に活動することができます。L-カルニチンが不足してしまうと、燃焼されずに残った脂肪が蓄積されて、肥満になり心臓に負担をかけます。L-カルニチンは年齢とともに体内でつくられる量が減少し、シニア期にはいると成猫期の半数ほどに減るため積極的にL-カルニチンを摂取する必要があります。
「L-シトルリン」はアミノ酸の一種で、体内でL-アルギニンという必須アミノ酸に変化し、血管を拡張し血流を促進する働きが期待できます。人間同様にシニア期になると、血管がしなやかさを失い硬くなり心臓の機能低下や運動能力も低下を引き起こします。また、しなやかで柔らかい血管を保つために必要な一酸化窒素を放出する働きで、血管が拡張され高血圧の予防も期待できます。
「ゴマエキス末(セサミン)」には、強い抗酸化作用によってこの活性酵素を除去する働きが期待できます。抗酸化作用の中ででも、ゴマエキス末(セサミン)は脂溶性の為、脂質でできている細胞膜を通過しきちんと肝臓にまで届くので活性酵素を確実に除去することができます。活性酵素が除去された心臓は血圧が下がり、低い圧力で血液を循環させることが出来るため、血液の流れがスムーズになり心臓の負担を和らげます。
「タウリン」はアミノ酸の一種で、心臓の筋肉(心筋)に多く存在し、心臓の重要な仕事である「血液を送り出す働き」という役割に大きく貢献しています。タウリンが不足すると血液中の毒素(悪玉コレステロール)が増えていき、心筋の収縮力が低下し十分な血液が送り出せなくなる「拡張型心筋症」を発症しやすくなると考えられています。特に、猫は体内でタウリンを合成することができないため、食事やサプリメントなどで補わなければいけない為、猫の必須アミノ酸となっています。
「ルンブルクス(ミミズ乾燥粉末)」は「ミミズ酵素(ルンブロキナーゼ)」とも言われ、ミミズの持つ自己消化能力による「血栓溶解作用」で血栓を溶かす働きが期待できます。また、ルンブルクスには体内で血管が傷ついたりした際には、血液中の成分を集めて修復する働きもあります。前述したように心筋症は進行すると循環不全だけでなく血液の塊である血栓が出来やすくなり血栓塞栓症を引き起こすことが多くあるので血栓が出来にくい状態を作ることは重要です。
-ありがとうございます。最後に、愛猫家の皆様へ向けてのメッセージをお願いいたします。
病院に来院して定期的に健康診断をすることは大切ですが飼い主様の事情や猫の性格などにより来院が難しい方も多くいらっしゃいます。お薬は診断がついていなければ始めることはできませんが「何かできることはないだろうか?」と考えていらっしゃる方にはサプリメントは一つの手段だと思います。病院での診察に代わるものではありませんが心臓や血管を丈夫に保つことで家族の一員である猫の健康寿命を少しでも長くすることに目を向けてもらうことは大切なことだと思います。
経堂どうぶつ病院
元風呂 晃 獣医師
元風呂 晃 獣医師
※以上の記事は、獣医師個人の感想であり効果・効能を示すものではありません。