獣医師インタビュー vol. 013
犬の皮膚の病気について
皮膚の健康を
保つように心がけましょう。
保つように心がけましょう。
経堂どうぶつ病院 | 元風呂 晃 獣医師
-暖かくなると犬は皮膚病が増えると聞きました
わんちゃんがかかる病気はたくさんありますが、暖かい季節になって増える病気として最も一般的なものは皮膚病です。脱毛している、痒がっている、湿疹が出来ているなど、皮膚病の症状は飼い主様が目で見て異常が分かる症状なので他の疾患に比べ飼い主様が気づいて来院されることが多くなっています。
-犬の皮膚の役割を教えてください
他の臓器もそうですが、皮膚も多彩な機能と構造を持っており部位によってそれぞれ役割があります。皮膚の一般的な機能としては以下のものが挙げられます。
・バリア機能:外部からの微生物の侵入や物理的刺激などを防ぐ、内部からの水分などの流出を防ぐ
・可動性/形態の保持
・体温調整
・内部環境の反映
・免疫調節機能
・感覚器(触覚、痛覚、痒覚、温覚、冷覚)
-バリア機能が低下するとどうなるのでしょうか
皮膚のバリア機能の主役を担っているのは表皮と呼ばれる一番表面の部分で、この表皮の95%は角化細胞と呼ばれる細胞で構成されています。角化細胞は基底層、有棘層、顆粒層、角層の4層構造を形成しており、最下層の基底層で分裂し成熟に伴い上の層へ移動し約3週間でターンオーバーというサイクルを繰り返しています。このサイクルがうまくいかなくなったり、必要な栄養素が足りなくなったりすると皮膚のバリア機能が低下し、細菌感染や真菌感染を起こします。
-犬のアレルギー性皮膚炎について教えてください
わんちゃんで多いアレルギー性皮膚炎は特定の原因(アレルゲン)に過剰に免疫が反応して炎症反応を起こしてしまう病態です。炎症反応により皮膚のバリア機能が機能しなくなると細菌感染や真菌感染などの二次感染を引き起こし症状が悪化してしまいます。
また、主に環境アレルゲン(ハウスダストなど)に対するIgE(免疫グロブリン)の産生異常/皮膚バリア機能の低下を主体とした遺伝的素因が関与するアレルギー性皮膚疾患であるアトピー性皮膚炎は、皮膚疾患を繰り返すわんちゃんの根本原因になっていることがあります。
-犬のアトピー性皮膚炎の診断方法はあるのですか?
わんちゃんのアトピー性皮膚炎の診断は、特徴的な臨床症状だけで診断することは難しく今までの病歴や治療歴、他の疾患を除外して診断していきます。
特徴的な臨床症状としては以下の8つの基準が挙げられ5つ以上該当するようであればアトピー性皮膚炎としての治療を検討することが推奨されています。
1.初めての症状が3歳以下
2.室内飼育
3.グルココルチコイド製剤により痒みが改善する
4.痒みの出現が皮疹よりも先に出現する
5.肢端部(特に前肢)に病変が認められる
6.外耳炎がある
7.耳介辺縁に症状が認められない
8.腰部・背部に症状がない
また、最近ではアトピー性皮膚炎のわんちゃんでは、皮膚の保湿とバリア機能に貢献しているセラミド含有量が少ないことが示唆されており、皮膚に対する保湿の重要性が注目されています。
-ウィズペティの「毎日美肌 PS-B1&ローヤルゼリー」について先生のご意見をお聞かせください
「毎日美肌 PS-B1&ローヤルゼリー」には主成分として、PS‐B1・ローヤルゼリー・核酸(RNA・DNA)・月見草エキス・パイナップルエキス末セラミド・ビオチン・d-α-トコフェロール・鹿角霊芝粉末β-グルカンを含んでいます。PS-B1(乳酸菌生産物質)は、21種の菌を大豆菌で発酵させた発酵代謝産物で、摂取することで「IgG」の抗体が上昇することが分かっており、白血球の働きを助けたり、ウイルスや細菌が出す毒素と結合して無毒化することで、免疫アップにつながりアレルギー抑制が期待できます。本来、健康な腸で善玉菌によって作られる発酵代謝産物を直接摂取する事で、胃酸の影響を受けることなく効率よく腸内と血中に乳酸菌の発酵代謝産物を届けることができます。
-アトピー性皮膚炎の犬に与えるのはどうでしょうか
アトピー性皮膚炎やアレルギー体質のわんちゃんの場合でも、体調の良し悪しに影響されずに乳酸菌生産物質を浸透させることができ、免疫状態が正常化すると、免疫の過剰反応によってお
こるアトピー性皮膚炎や花粉症などのアレルギー症状が緩和することが期待できます。
また、ローヤルゼリーが含まれている点もよいですね。ローヤルゼリー(デセン酸9%配合)は女王バチだけが作れる、栄養豊富な働きバチの体を動かす源です。健康に不可欠な必須アミノ酸のすべてを含む21種の各種ビタミンやミネラル、アミノ酸などが豊富に含まれています。
またローヤルゼリーにしか含まれない特有成分「デセン酸(脂肪酸の一種)」を9%配合しており、皮膚のバリア機能と保湿機能が期待できます。アトピー性皮膚炎は、皮膚のバリア機能が低下してアレルギー性の炎症を引き起こす為、ローヤルゼリーを摂取する事で健康な皮膚と輝く毛並みを維持します。
-毎日美肌 PS-B1&ローヤルゼリーには他にも皮膚に期待できる成分はありますか?
月見草油が配合されていますが、月見草油は月見草の種子を低温で圧搾することで抽出され、γ-リノレン酸とリノール酸が豊富に含まれています。
γ-リノレン酸は皮膚機能の維持に必要な成分といわれており、皮膚細胞の防御機能を増大させて保護膜のように皮膚を守る作用があるとされています。不足すると皮膚の水分調節機能が正常に働かず、乾燥することで皮膚の免疫機能が低下、炎症反応やアトピー性皮膚炎を発症しやすくなってしまいます。アトピー性皮膚炎のわんちゃんではこのγ-リノレン酸が不足しており、月見草に含まれるγ-リノレン酸を摂取することで治療効果が期待されています。また、同じく豊富に含まれるリノール酸は保湿作用に優れており、皮膚を乾燥から守ってくれる作用があります。
-アトピー性皮膚炎に対するセラミドの必要性を教えてください。
セラミドは細胞間脂質という成分の一つで、皮膚の最も表層にある角質層の細胞と細胞の間に存在し、外部刺激から皮膚を守る大切な役割を担っています。セラミドの重要な役割はバリア機能であり、角質層で細胞と細胞をしっかりとつなぎとめることで皮膚表面から水や異物が侵入するのを防ぎます。細菌やダニやホコリなどの外部刺激から皮膚を守ることで、アレルギーなどの発生を抑えてくれます。
また、セラミドは皮膚の保湿にも重要な役割を果たしています。乾燥した環境下では皮膚の表面から水分が蒸発しやすくなり、乾燥による皮膚トラブルが起こりやすくなります。セラミドは優れた水分保持能力を持ち、皮膚に潤いを保持することで乾燥から皮膚を守り、皮膚の健康に大きく貢献しています。
セラミドは皮膚のターンオーバーに伴って生成されます。アトピー性皮膚炎のわんちゃんではこのセラミドがうまく生成されず、不足していることがわかってきました。そのため保湿機能が弱く、乾燥によって皮膚のバリア機能が低下し、外部からアレルゲンの侵入を許してしまうために炎症反応が起こりやすくなっているのです。このような状態を予防・治療するために、セラミドを経口補給することで体の内側から皮膚の状態を改善していく効果が期待されます。
-ビオチンやビタミン類についてはどうでしょうか
「毎日美肌 PS-B1&ローヤルゼリー」にはビオチン、ビタミンEの一種である、d-α-トコフェロールが含まれていますね。ビオチンは腸内で善玉菌によって合成されるビタミンB群の一種です。
炭水化物、脂質、タンパク質の代謝過程で酵素の働きを助ける補酵素として働くことでエネルギーの代謝を助け、皮膚や粘膜の健康維持をサポートする成分で、体を健康な状態に保つために不可欠な栄養素です。
ビオチンが不足すると、湿疹などの皮膚炎、結膜炎、舌炎、脱毛などが起こります。これはビオチンがアミノ酸からタンパクを合成する過程にも関わっており、タンパク合成が正常に行われなくなると、皮膚や粘膜、被毛をうまく作ることができなくなるためです。
また、ビオチンは炎症の原因となるヒスタミンという物質の働きを抑制する作用もあります。ヒスミンは様々なアレルギーやアトピー性皮膚炎などの原因となっているため、治療の一環としてもビオチンを補給することはよいですね。
ビオチンは腸内細菌によって合成されるため、腸に何らかの異常がある場合や抗生物質を投与している場合は特に食事やサプリメントでの補給が必要になります。d-α-トコフェロールはビタミンEの一種で、体内の生理活性が最も高いビタミンEです。
ビタミンEは脂溶性ビタミンで、細胞膜の脂質部分に入り込んで細胞膜を酸化から守る、強力な抗酸化作用を持ちます。この抗酸化作用は天然のトコフェロールにしかありません。酸化の起こる原因には食生活や紫外線、ストレスなどによって発生する活性酵素などが挙げられます。活性酸素は体を構成する細胞を傷つけ、皮膚などの細胞の老化を早め、時にはガンや動脈硬化など重大な疾患の原因ともなります。ビタミンEが持つ抗酸化作用はこれらを抑制することで、皮膚だけでなく体全体を健康な状態に保つ手助けをしてくれます。
また、ビタミンEは毛細血管を拡張する作用があります。全身の血流が改善することで細胞の新陳代謝が活発になり、皮膚のターンオーバーを正常化、様々な皮膚トラブルが起こるのを予防する効果が期待できます。さらにビタミンEは紫外線によるダメージから皮膚を守る働きもあります。
-βグルカンという成分は、どういったものですか?
βグルカンはキノコや酵母、大麦に含まれる天然由来の多糖類の一種で、食物繊維の仲間です。免疫力を高める効果から、ガンの抑制のサポートが期待できる成分として比較的認知度の高い成分ですが、実は皮膚の健康維持も期待できます。
βグルカンはヒアルロン酸の2倍の保湿力を持ち、コラーゲン生成に関わる細胞に作用してコラーゲン生成を増加させることで、加齢やストレスによって低下する皮膚の抵抗力を向上させることが期待されています。
また、βグルカンの免疫に対する作用は、単に免疫を強化するだけでなく、免疫過剰な場合には抑制的に働き、免疫機能のバランスを保つ働きをします。そのため、近年ではガンの治療だけでなく、アレルギー疾患やアトピー性皮膚炎に対する治療に関してもβグルカンの効能が研究され、効果を上げています。
-飼い主さんへのメッセージをお願いします
皮膚病に関しては原因により適切な治療が必要になりますが、病気によっては繰り返したり完全に治らなかったりするものもあります。そのため皮膚に良い成分を継続的に摂取することで皮膚の健康状態を保ち、出来るだけ治療が必要な状態にならないようにすることが大切です。皮膚の状態が悪い際は動物病院で原因を突き止めてしっかりと治療を行い、症状が改善した後は自宅でのケアで皮膚の健康を保つように心がけましょう。
経堂どうぶつ病院
元風呂 晃 獣医師
元風呂 晃 獣医師
※以上の記事は、獣医師個人の感想であり効果・効能を示すものではありません。