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獣医師インタビュー vol. 016
猫の肝臓の病気について
愛猫が元気なうちから
ケアしてあげることが大切。
岩岡 獣医師
越谷どうぶつ病院 | 岩岡 獣医師
-猫の肝臓の機能が低下すると、どのような症状がみられますか?
肝臓にはさまざまな機能がありますが、その主なものに①代謝②解毒③胆汁の合成・排出があります。

代謝とは、胃や腸で吸収した栄養素からエネルギーを合成し体内で利用できる状態に変えることです。
猫はフードから摂取した栄養をそのまま使うことができないので、腸から吸収した栄養を一旦肝臓へ貯蔵します。その後必要に応じて貯蔵した栄養を分解しエネルギーとして利用できる状態に変換します。

肝臓の機能が低下すると、この代謝機能がうまく働かないため食欲や元気が無くなり徐々に痩せてしまいます。

肝臓は体に入ってきた有害物質や代謝の過程で産生された老廃物を分解し、尿や胆汁中に排出する働きを持ちます。
特に食物に含まれるタンパク質から合成されるアンモニアは、通常肝臓により分解され尿中に排出されますが、肝機能が低下していると分解することができず、痙攣などの神経症状を示すことがあります。

胆汁は肝臓で合成される消化酵素であり、腸管に排出されることによって食物中の脂肪やタンパク質の分解に利用されます。
肝臓の機能が低下し胆汁の合成や排出がうまくいかなくなると嘔吐や下痢、体の粘膜や尿が濃い黄色になる黄疸という症状が出ます。

そのほかにも肝臓が悪くなると以下のような症状が認められる場合があります。

・お腹が膨れる(腹水の貯留)
・多飲多尿
・黒色便(止血異常)
・歯茎の色が薄い(貧血)
-猫の肝臓の病気で多いのはどんな病気ですか?
猫の肝臓の病気では「胆管炎」と「肝リピドーシス」という病気が多く見られます。

「胆管炎」とは肝臓で合成した胆汁を、排出する経路である胆管に炎症が起こる病気です。肝臓や腸管、膵臓にも炎症が波及することが多く、重症化すると命に関わります。さらに食欲の低下から「肝リピドーシス」も併発することがあります。

「肝リピドーシス」は肝臓の細胞内に脂肪が蓄積し、肝臓内で胆汁の鬱滞と肝機能の障害を起こす病気です。特に猫は食欲不振により肝臓に脂肪が蓄積しやすい体質であるため、他の病気と併発してみられることがあります。

これらの病気は食欲不振や元気消失、体重減少から始まり、次第に下痢や嘔吐、黄疸なども認められるようになります。
治療は長期的になることが多く、入院下での点滴、抗生物質、ステロイド剤の投与、肝臓の薬やサプリメントの投薬などが一般的です。
脂肪の蓄積を止めるには継続的に食餌を取らせる必要があるために経鼻カテーテルや経食道、胃瘻チューブを設置する場合もあります。
退院後も自宅での看護が必要となるケースが多く、チューブからの食餌、投薬、定期的な通院が必要です。
-予防に大切なことはなんでしょうか?
これらの病気を予防するには、太らせないことが重要です。また食欲が低下した時は、早めに動物病院へ受診しましょう。また健康診断を定期的に受けることもおすすめです。

体調に全く問題のない猫の健康診断で、肝臓の項目がやや上昇しているケースに時々遭遇します。肝臓の病気は、肝臓の組織を部分的に切除して検査する肝生検を行わなければ診断がつかないものが多くあります。それゆえ血液検査で肝臓の異常が指摘されても最終的な診断までは至らないケースも少なくありません。そのようなケースでは、私は肝臓をケアするような治療を選択肢の一つとして提案します。

肝臓はある程度再生が可能な臓器であるため、その再生を助けるような栄養素を猫に摂取させます。肝臓の細胞を助ける栄養素には以下のものがあります。
肝臓エキス(肝臓加水分解物)、プラセンタ(豚由来)、天然酵母(SAMe含有)、ウコン抽出物、BCAA(ロイシン、バリン、イソロイシン)、マリアアザミエキス(シリマリン)、亜鉛、オルニチンの8種です。
-では猫の肝臓のために、必要な栄養素についてそれぞれ解説をお願いします。まずは肝臓エキスについて教えてください、
肝臓エキス(肝臓加水分解物) とは、肝臓に消化酵素を加えて消化吸収しやすいように分解し、アミノ酸やペプチドの状態にしたものです。
昔から肝臓の健康維持にはレバーを食べることが良いとされてきましたが、加水分解物はあらかじめ細かく分解してあるので、消化・吸収がよく、効率的にその成分を摂取することができます。
肝臓エキス(肝臓加水分解物)は、必須アミノ酸やオリゴペプチド、核酸前駆物質などを含んでいます。これらの成分は傷害を受けた肝臓の酵素活性の正常化や、タンパク合成の促進、肝血流量増加作用などによって肝臓の細胞を保護・活性化や、再生を高める作用のサポート効果が期待できますね。

特に、細胞が作られる時に必要な核酸前駆物質を含んでいるため、細胞の生まれ変わりを効率よくサポートしてくれます。
また、肝臓の組織中で総脂肪や中性脂肪、さらにはコレステロール、コラーゲン量の増加を抑制する作用も持っています。脂肪肝や肝硬変、肝臓組織の壊死を阻止する作用もあるんですよ。慢性の肝疾患時の肝機能回復にも、そして健康促進にも役立つ成分です。
-プラセンタとはどのようなものですか?
プラセンタとは、哺乳動物の胎盤のことです。
胎盤にはアミノ酸、タンパク質、糖質、ビタミン類、核酸、ペプチド、脂肪酸、ムコ多糖類、ミネラル、酵素など胎児を育てるために必要など栄養素が豊富に含まれています。これらの成分は、体のさまざまな代謝に働きかけ、血液やホルモンを正常な状態に保つほか、肌の新陳代謝も高めてくれます。

また、グロースファクター(成長因子)を含み、細胞を活性化させます。また細胞分裂を促す働きもありますね。昔から美容や健康維持、そして健康促進のために使用されてきました。

肝臓はさまざまな物質の代謝や解毒を行うので、酸素消費量が多いという特徴があります。そのため活性酸素ができやすい臓器といえます。活性酸素は、酸化ダメージによって、炎症などを誘発して、肝機能に悪い影響を及ぼしてしまいます。

活性酸素が過剰に発生することを抑制するのが、プラセンタです。余分な活性酸素を除去する作用も持っています。これらのことから、プラセンタは肝細胞に十分な栄養を供給しつつ、再生を促して肝機能を高めてくれると期待できます。

活性酸素を抑制することで肝臓の炎症を抑えてくれる働きが期待できるとして、医療現場でも肝臓病治療薬として使用されています。
また、アレルギー疾患や自己免疫疾患の治療補助、疲労回復、健康維持、美容を目的として使用されることもある成分です。
-ウコン抽出物はどういった成分ですか?
ウコンは生薬です。昔から、中国やインドで黄疸に効くと用いられてきました。
ウコンにはビタミンAやミネラル、タンパク質が大量に含まれています。またクルクミンと呼ばれる活性成分が含まれるのが特徴です。クルクミンには、肝臓の解毒機能を高める作用と胆汁の分泌を促す作用があります。このことによって、肝臓の機能を高めることができると考えられています。
しかし、クルクミンは水には溶けにくい脂溶性という性質があります。そのまま摂取しても体には吸収されにくいんです。だから効率よく体に吸収させるためには、ウコンからその成分を抽出して与えることが理想的です。
ウコンには肝臓の保護作用のほかにも、胃腸機能の増強や、心臓血管系の増強、そして抗炎症作用や免疫力の向上が期待できます。さらには血流をよくする作用、脳機能の活性化など、本当にさまざまなサポートが知られています。
また、肝臓で産生される胆汁は、コレステロールから作られる胆汁酸を含むため、クルクミンによって胆汁分泌が促進されると、多くのコレステロールが消費され、結果としてコレステロール値低下のサポートも期待できます。
-BCAA(ロイシン、バリン、イソロイシン)についてお願いします
BCAAとは分岐鎖アミノ酸と呼ばれます。「バリン」「ロイシン」「イソロイシン」という3つの必須アミノ酸の総称です。
肝臓はさまざまな物質の代謝や解毒を担っています。そのため、日々酸化ダメージなどにより傷害を受けています。肝臓はもともと高い再生能力をありますが、傷害をうけた肝臓の回復には、メインの構成成分であるタンパク質やアミノ酸を補給してあげることが大切ですね。

アミノ酸にはAAA(芳香族アミノ酸)とBCAAがありますが、AAAは肝臓で代謝されるのに対し、BCAAは筋肉で代謝されるという違いがあります。
肝臓に負担をかけないBCAAを補給して、そして回復をサポートすることは本当に理にかなっていると言えますね。

肝臓で行われるタンパク合成については、材料となるアミノ酸のバランス、これが非常に重要なんですよ。

肝機能が低下すると、BCAA以外のアミノ酸は肝臓で代謝されないため血中濃度が増加します。BCAAは筋肉で代謝されるため、血中濃度が低下してしまうんです。

そうなってしまいますとアミノ酸のバランスが崩れて、最も低いアミノ酸のレベルでしかタンパクの代謝が行えないことになります。そして低タンパク血症や凝固蛋白の合成異常などが引き起こされます。

肝機能の低下によって、解毒できなくなったアンモニアが筋肉で代謝されるようになると、そこでまたBCAAが消費されることになります。そうなるとアミノ酸の不均衡がますます悪化してしまいます。

BCAAを補給することは、肝臓に負担をかけずにアンモニア代謝をサポートすることになります。そしてタンパク質代謝を全体的に底上げすることで、肝機能を効率よくサポートして、低タンパク血症・血液凝固異常のケアが期待できます。
-マリアアザミエキス(シリマリン)とはなんでしょう

シリマリンとは、キク科の植物、「マリアアザミ」の種子に含まれる成分のことです。
昔からヨーロッパでは肝臓や膵臓のケアに良いとされており、長年研究され、そして使われてきました。

臨床データも多くて、消化不良や肝機能障害に対して実績のある成分なんですよ。
シリマリンには抗酸化・抗炎症作用、肝臓の再生促進、線維化抑制、抗腫瘍作用、肝保護作用など、実に幅広く報告されています。そのため、人間では肝炎や肝硬変などの病気治療にも用いられています。
シリマリンは体内で合成される抗酸化物質グルタチオンの生成を促すことで、活性酸素の働きを抑えて、抗酸化作用の働きがあります。肝臓の細胞を修復して、さらに抗炎症作用も期待できるんです。そして肝臓細胞自体の損傷も防ぐということに繋がります。
-亜鉛はどんな成分ですか?

亜鉛というのは、体の老廃物であるアンモニアの代謝に関わる補酵素として働きます。大変重要な成分です。
亜鉛を適度に摂取することは、肝臓の健康維持に役立ちます。亜鉛は通常、食物から小腸で吸収されます。そして、アルブミンというタンパク質と結合して肝臓に運ばれます。

しかし、慢性肝疾患や肝硬変になると、肝臓でのタンパク合成がうまくできないため、低アルブミン血症になってしまうことがあります。
アルブミンと結合できなかった亜鉛は尿中に排泄されてしまい、血中の亜鉛濃度が低下します。アンモニアの解毒代謝が低下してしまうため、肝性脳症を引き起こしてしまうことがあります。

それを解決するためには、タンパクの元となるBCAAと亜鉛を補給することが必要なんです。
亜鉛不足というのは、実は味覚障害にも関与しています。食欲不振が起こると食べ物からの吸収が難しいこともあって、サプリメントで補給することで回復が早まることをサポートします。

テリア系の犬種では銅が肝臓にたまり肝炎を引き起こしてしまう、「銅蓄積性肝障害」が起こりやすいとされています。
亜鉛は銅の吸収を妨げる働きがあるため、亜鉛を含むサプリメントを与えることで、その予防サポートも期待できます。
-オルニチンはどのような働きがありますか?

オルニチンというのは、シジミなどに含まれる遊離アミノ酸のひとつです。疲労回復のサポートが期待できることがあるとよく知られています。それには肝臓に対する働きが大きく関係しているんです。

肝臓には「オルニチン回路」という代謝経路があるんですが、これはオルニチンを介して、アンモニアを無毒な尿素に解毒するという経路なんです。
アンモニアは体がエネルギーを生み出す際に作られる老廃物の一つです。アンモニアが体内に過剰に発生してしまうと、細胞内でのエネルギー生産を妨げます。そして、全身の疲労を感じやすくなります。

つまり、肝障害 などでアンモニアの解毒能力が低下してしまうと、肝臓自体の機能もさらに低下するんですよね。代謝や体のエネルギーを合成する機能にも、悪影響を及ぼしてしまいます。

そこでオルニチンを摂取すると、オルニチン回路が潤滑に回ります。肝臓でアンモニアなどの有害物質の解毒が促されて、肝機能へのサポートが期待され、肝臓だけでなく全身の疲労回復作用も促進されるんです。

オルニチンには、筋肉や骨を作る働きのほかに、皮膚の調子を整える成長ホルモンを分泌させる働きもあります。さらには細胞の生まれ変わり、つまり新陳代謝を活発にする作用があることも知られています。
-先生が、「毎日良肝 肝臓エキス&プラセンタ」を推薦する理由は何ですか?

「毎日良肝 肝臓エキス&プラセンタ」は上記の8種類の成分すべてを含み、その含有量がすべて表記されています。一方、国が指定する残留農薬の指標をクリアした食材から品質と安全性が確保された徹底した生産工程でサプリメントを生産していることがわかります。
サプリメントの選択は有効な成分が明記されており、有害なものが含まれていないものを選択すべきです。そういった点からも、「毎日良肝 肝臓エキス&プラセンタ」はおすすめできるサプリメントだと考えます。
-飼い主さんへのメッセージをお願いします
肝臓は特に沈黙の臓器といわれるほど初期では症状が出にくく、さらに猫では血液中に放出された肝酵素の消失が早いため、血液検査で異常を検出しにくい特徴があります。それゆえ愛猫が元気なうちからケアしてあげることが大切であり、結果的に病気によるストレスや入院・通院・治療のストレスを回避できるかもしれません。オーナー様と愛猫の穏やかな日々が長く続きますようこれからも健康管理にご配慮ください。
獣医師越谷どうぶつ病院
岩岡 獣医師
※以上の記事は、獣医師個人の感想であり効果・効能を示すものではありません。
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