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獣医師インタビュー vol. 017
犬の体重について
命の危険にも繋がる
糖尿病や肥満。
葛野 獣医師
かどのペットクニック | 葛野 莉奈 獣医師
-命の危険にも繋がる糖尿病や肥満
どんなに健康なわんちゃんでも、きちんと定期的に気をつけていないといけないことのひとつに体重の変化があげられます。
食欲があることは良いことですが、食べ過ぎて太りすぎてしまうと「肥満」と呼ばれる状態に陥り、体に負担をかけてしまいます。
犬の糖尿病は人間と異なり、生活習慣ではなく遺伝的な問題で起こると言われていますが、肥満は糖尿病を発症する引き金となる場合があるため、より注意する必要があります。
-どんな原因で肥満になりますか?
人間が肥満になる原因とわんちゃんが肥満になる原因は少し異なります。

カロリーオーバー
わんちゃんの生活スタイルによって消費カロリーは異なりますが、摂取したカロリーが消費カロリーを上回り続けると肥満に近づきます。
運動量や代謝などによっても異なるため、年齢や生活スタイルに応じたカロリー摂取が必要です。
わんちゃんの場合、砂糖として糖質を摂取することは少ないですが、炭水化物として穀物などを多く摂ると摂取過多になる場合もあり、脂質の摂り過ぎも肥満の原因の一つになることがあります。
ダイエットを始める場合、食事の質の見直しが必要なケースもあります。

運動不足
運動不足により、消費エネルギーの減少や筋力の低下が起こり、太りやすくなることあります。
過食などで太りすぎると、運動をするにあたって動きづらかったり、関節への負荷による違和感で、より運動不足に陥り、悪循環が起こってより肥満の程度が悪化することもあります。
-肥満になるとどんなことが起こりますか?
では具体的にどんなことが起こるのでしょうか?
肥満になることはいけないと言われていますが、どんな怖いことが起こるのか、あまり具体的には知らない方もいるのではないでしょうか。
どんな弊害があるのかを知ると、すでに持っている疾患や先天的に関節の弱い子などの体質によっては、より気をつけないといけないかどうかがわかると思います。

心臓や呼吸器など内臓への負荷
肥満になることによって、血液を大きくなった体中に巡らせるためにより心臓は頑張らなければならなくなります。
心臓疾患であると、心臓への負荷を軽減させるためにもより体重をセーブさせる必要があります。
また肥満によって気管や鼻腔の周囲に脂肪がつくことによって、気道部分が圧迫され、狭くなることによって呼吸がしづらくなります。
特に暑い時期などはその呼吸のしづらさにより、熱中症に陥りやすくなったり、心疾患も持っているわんちゃんだと酸素が上手く取り込めずチアノーゼと呼ばれる状態になることがあるので注意が必要です。

関節への負荷
体が重くなると支えるために関節は負担がかかり、さらに運動した場合は動きによって、負荷のかかる関節が異なります。
例えば体重が増えてジャンプをすれば膝関節に負担がかかりますし、脊椎を守る背骨も一つ一つの椎骨という骨が連続して一つの軸になっているのですが肥満の程度が過度であればこの椎骨などへの負荷がかかって椎間板ヘルニアなどにもなりやすくなります。
お膝などがもともと悪くなりやすいトイプードルなどの犬種や、お家に迎えたときに体質としてお膝が悪いと言われてきたわんちゃんなどは肥満にならないよう気をつけなければなりません。
椎間板ヘルニアになりやすいミニチュアダックスフントや、体型的にも背骨や関節などに負担のかかりやすいシーズーやコーギー、フレンチブルドッグなども、体重管理には普段から気をつけた方が良いでしょう。
-肥満を予防するためにはどんなことに気をつけたらいいですか?
たかが太りすぎと思ってしまうことが多い肥満ですが、実は病気のきっかけにもなってしまう肥満は、予防するために日常生活から少しずつ気をつける必要があるものです。
喜ぶからといって、飼い主さんが食べるようなごはんやおやつをたくさん食べているとあっという間に肥満になってしまうかもしれません。
ではお家でどんなことを気をつけたら良いでしょうか。

食事量や内容の管理
まず食事量や質がわんちゃんに適しているか、きちんと確認をすることが必要です。
特に疾患などがない場合、市販されている一般的なドッグフードで問題ありません。
ただし、月齢や体格別にドッグフードが多様であるので、適したものを選んであげましょう。
多くのドッグフードがパッケージに体重や月齢に応じた量が記載してあるので、その指定に従った量を与えます。
体重がどんどん増えてしまっている場合、規定の量よりも少し減らしたり、低カロリーや低脂肪のドッグフードを与える必要があります。
「毎日習慣」のような脂肪吸収を抑えたり脂肪燃焼を促進するようなサプリメントを使用してみるのも選択肢の一つだと思います。

適度な運動
すでに脂肪がかなりついていて、体重も増えてしまっている場合、運動をすることで関節などに負担がかかりすぎてしまい、痛みなどを生じさせてしまったり、心臓や呼吸器に負担をかけてしまう可能性があるため、減量方法の第一選択にはなりかねる場合があります。
しかし、肥満の予防という観点で、日常的に無理のない程度の運動を習慣とすることでしっかりと筋肉をつけ、カロリーを消費してあげることが出来ます。
もし何か持病があって運動を制限されている場合は、食餌量や質の調整による体重管理を中心とするなど、かかりつけの先生と無理のない体重管理の方法を相談してみて下さい。
-犬の糖尿病とはどんな病気でしょうか?
まず日常生活を送る際に、エネルギー源として摂取した糖を分解することによりエネルギーに変えて代謝をします。
この糖の分解の際に必要なのが膵臓から分泌されるインスリンです。
インスリンの分泌が減少したり、何らかの理由によりインスリンへの抵抗性が生じて、反応が悪くなると、糖が代謝されない、いわゆる糖尿病の状態に陥り、体は他のエネルギーを確保しようとするため脂肪を分解して代謝をしますが、その際に毒素となる副産物が蓄積してしまいます。
-糖尿病になるとどんな症状が起こりますか?
糖が代謝されないというとあまりピンとこないかもしれません。
糖尿病かも?と早期に気付くためにはどんな症状に気をつけたら良いのでしょうか。

多飲多尿
多飲多尿とは大量にお水を飲み、大量の尿を排泄することを示します。
多飲多尿を示す疾患は糖尿病だけではありませんが、いつもよりも給水器やお水の入った器の減りが速い、シーツに染みたおしっこの色が薄い、などで気付くことが多いかもしれません。
暑い、興奮しやすいなど環境の変化や性格などによる違いもありますが、今までよりも増えたと感じるようであれば、何らかの体の異変の可能性が高いです。

多食
今までよりも食欲が増進する場合も、糖尿病である可能性があります。
多食を示す疾患は糖尿病だけではありませんが、異常なほどの食欲というのはもしかしたら糖尿病を含めた疾患が原因かもしれません。
些細なことですが、わんちゃんからのSOSサインかもしれません。
早期発見のためにこのような小さなことでも異変に気付けると良いですね。

体重の減少・削痩
糖尿病の早期発見のために、体重の変化にも気をつけることはとても大切です。
肥満のように太りすぎてしまうだけでなく、食べているのに体重が減っていく、触ってみると痩せてきているということも問題があります。
前述の二つと同様に体重の減少や削痩が起こることは糖尿病だけではありませんが、これらに早期に気づけると致命的な状態になる前に治療に移行できる可能性が高まります。 そしてさらに糖尿病が進行すると、前述の通り糖ではなく脂肪からの代謝を行い始めて、ケトンと呼ばれる毒素が賛成されるようになります。 ケトアシドーシスと呼ばれる、体の中の均衡が崩れることで大量の水が尿として排出され、脱水を起こすと同時に糖やケトンが体内に蓄積することにより、循環が悪くなり、体調はさらに悪化して食欲不振や元気消失などにもつながり、致命的になることが多いです。
-糖尿病と診断するためにどのような検査を行いますか?

前述のような症状に気付いたら病院を受診しましょう。
これらの症状は糖尿病特有のものとも異なるため、検査をして診断をし、治療へ移行します。
一般的には血液検査および尿検査を行い、血液検査上で高血糖が見られたり、フルクトサミンと呼ばれる一定の期間の血糖値の平均値を示すものやグリコアルブミンと呼ばれる血糖の変動を示す値を測定して高値であることを確認すること、そして尿中の糖を確認して糖尿病と診断します。
-糖尿病になったらどのような治療が必要でしょうか

糖尿病は主に何か症状が生じていたら、その症状の治療、そしてケトアシドーシスに陥らないような管理がメインとなります。
糖尿病に合わせて腎不全や感染症、白内障などは起こりやすい疾患となります。
その症状が見られたら糖尿病の治療と合わせて行う必要があるでしょう。
そしてケトアシドーシスに陥らないよう、インスリンを投与し血糖値をモニタリングしながら管理をして、安定した血糖値の変化になるよう調節します。
血糖値を安定させるために、食餌も大切なポイントになります。
食後の血糖値やインスリンが上がりすぎないようにする糖尿病用の療法食があるので、処方されることが多いでしょう。
食後の血糖値の急上昇の抑制やインスリン分泌を緩やかにすることが糖尿病の治療として大切であり、理想的な血糖値を維持できるよう、定期的に血糖値を測定しながらインスリン投与のタイミングやごはんの回数やタイミングも調整していきます。
そして安定させるために、一度安定した生活サイクルが出来たら、基本的には常に同じようなサイクルで日常を過ごす必要があります。
すでに治療をしている場合、新しくフードを変えたりサプリメントなど追加する場合は血糖値のモニタリングを再度行う必要性が生じるかもしれませんので、まずかかりつけの先生に相談してみて下さいね。
そして、肥満であることも糖尿病の場合悪化させる要因になる可能性があるので、同時進行で改善していかなければなりません。
-糖尿病とわかったらお家で飼い主さんが気をつけるべきことは?

肥満は糖尿病を悪化させたり、治療の効果を充分に発揮できなくさせてしまう可能性があります。
すでに肥満である場合は減量できるよう、食餌の見直し・改善や生活スタイルの見直しを行いましょう。
現在肥満でないわんちゃんも治療の結果、体調が良くなり、食欲の増進などで体重が増加して肥満になってしまう可能性もあります。
体重管理は、より注意しなければなりません。
また、特に避妊手術をしていない女の子はインスリン抵抗性と呼ばれるインスリンへの反応性の低下に黄体ホルモンと呼ばれる性ホルモンの関与が認められています。
血糖値のコントロールのために、麻酔の負荷に耐えられるかという体調との兼ね合いもあると思いますが、避妊手術を行うか否かと言うこともかかりつけの先生と話し合って決める必要があるかもしれません。
他にもインスリン抵抗性の要因になり得る持病の治療なども、発覚した場合は同時に行っていくなど、よりかかりつけの先生と連携をとりながら今後の方針、お家でのケアなど決めていく必要があるでしょう。
-糖尿病・ダイエットサポートサプリ「犬用・毎日習慣」の中のどのような成分に効果が期待できるでしょうか

肥満を予防するためのキーワードとなるのが、脂肪の吸収の抑制・燃焼と言うことです。
サラシアと呼ばれる成分の脂肪燃焼効果やギムネマの脂質吸収の抑制、難消化デキストリンの内臓脂肪を減らしたり高脂血症を予防などは、食餌管理や運動をした上でのダイエットのサポートとして取り入れると効果が期待できるかもしれません。
そして治療後または症状が落ち着いた後の生活の管理の上で大切になる「食後の血糖値の急上昇を防ぐ」ということですが、このサプリメント中に含まれるいくつもの糖吸収抑制効果は、処方食と合わせて安定した血糖値の変化になることを期待して、取り入れてみることも、症状が安定した後の再発防止の生活サイクルの選択肢の一つとして、考えてみてもよいと思います。
-飼い主さんへ
死に繋がる可能性もある糖尿病は、早期発見・早期治療が大切であり、病気のきっかけになり得る肥満やインスリン抵抗性の要因となり得る性ホルモンという要素を早期に除去するために健康なうちに体重管理を徹底したり、避妊手術を受けておくという予防対策も大切だと思います。
肥満に関しても同様で、太らせてからダイエットをさせるのではなく、定期的に体重を測定する習慣をつくり、体重管理を徹底して行うことは健康でいるために大切で、病気の予防という大切な役割を担います。
かわいいわんちゃんのために、食餌やサプリメント、運動や生活サイクルの見直しなど、様々な飼い主さんやわんちゃんに適した方法を取り入れながら予防や健康管理を行えると理想的ですね。
獣医師かどのペットクニック
葛野 莉奈 獣医師
※以上の記事は、獣医師個人の感想であり効果・効能を示すものではありません。
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