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獣医師インタビュー vol. 023
犬と猫の腎臓の病気について
泌尿器系はひとつなぎの器官であり、
どこにも関連性があります。
箱崎 文彦 獣医師
箱崎動物病院 | 箱崎 文彦 獣医師
箱崎 文彦 獣医師 箱崎動物病院 院長
日本獣医生命科学大学卒業
-ワンちゃんネコちゃんの腎臓病について、先生はどのように考えていらっしゃいますか。
獣医学の発展と家族の意識の向上によってワンちゃんネコちゃんの健康寿命は延びてきたと実感しています。ですが長生きしていると、体のいろいろな箇所では加齢に伴い機能が低下してくるのも事実で、内臓でいえば肝臓・胆嚢、腎臓は特に注意が必要です。健康な子でも10歳を過ぎれば健診で「内臓機能低下の兆候」が見つかることはしばしばあるように思います。
腎機能低下、腎臓病もその1つです。

腎臓の主な役割
・体内の老廃物をおしっことして捨てる
・電解質・pHの調節
 →ナトリウム、カルシウム、リンなどを一定に保つ
・血圧の調節
・赤血球をつくるホルモン(エリスロポイエチン)の調節
・ビタミンDの活性化
 →骨をつくるために重要な役割

腎臓病の兆候は普段の生活において見つけることは難しいです。
目に見える症状としては、
 ・最近食欲が落ちてきたかもしれない
 ・体重が減っている
 ・飲水量が増えている
 ・おしっこの量が増えた、色味もいつも薄いような気がする
などが挙げられます。


上に挙げたような自覚症状で来院されて、調べてみたらかなり腎臓病が進行した状態となっていることも少なくはありません。 最近の研究から検査において“SDMA(対称性ジメチルアルギニン)”という、早期の腎機能低下を知らせるマーカーが発見されました。これまでよりも早期に発見・予測し対策することができるようになってきたのは臨床的にはとても画期的であると感じています。
-日常ではどのような点に気を付ければいいのでしょうか。
血液検査、尿検査を含めた定期検診を受けていただくことは腎臓病の早期発見となります。
若いころ、もしくは健康な状態で血液検査などによる健康診断を受けていただくことが重要だと思います。内臓機能を示す数値は食事や運動、ストレスなどで日々変動しています。であるからこそ体質としての傾向を把握しておくことで、万が一体調がすぐれないときの検査結果と比較することが可能となり診断がスムーズに進みます。
-検査ではどのような内容が調べられるのでしょうか
主に血液検査と尿検査です。血液検査:クレアチニン(ろ過機能の評価)、BUN(血中尿素窒素=老廃物の貯留の程度)、SDMA
-腎臓病についての栄養管理についてはどのような点で気を付ければよいのでしょうか
腎臓病は薬などでは完治させられず、少しずつ進行していくものですので、十分な栄養を摂りつつ、いかに腎臓への負荷を抑えて残りの腎機能を温存していくかということがポイントになります。
栄養として必要なもの・・・カロリー、タンパク質
摂取量の調整が必要なもの・・・タンパク質、リン、ナトリウム
腎機能の低下によって余分なリンが捨てられなくなり、過剰に体にたまったリンが血管壁の石灰化を促進し慢性腎臓病を悪化させる重要な原因となることが知られています。
さらに進行してくると、食欲不振によるエネルギー摂取量の不足から筋肉のタンパク異化(タンパク質を分解して活動に必要なエネルギーに変えようとする反応)が進むことで著しく消耗し痩せてしまいます。
-症状が少しずつ進行してしまう腎臓病ですが、医療的にはどのような対応ができるのでしょうか
治療の考え方としては、点滴処置により血液中の老廃物や毒素をなるべく排泄させることと脱水の改善がベースとなり、状態によっては貧血や食欲減退、吐き気に対する投薬処置などが必要となります。
なにより大切なのは食事療法です。腎臓病は腎機能の低下により余分なリンが捨てられなくなり、体内に蓄積した過剰なリンが腎臓において血管の石灰沈着を起こして慢性腎臓病を悪化させてしまいます。実際にリン制限がされた処方食を食べることで生存期間の延長に大きく寄与することがわかっています。
-「腎活」ということでほかにも腎臓に関連したことで日ごろから注意が必要な疾患はありますか?
泌尿器というところから考えると、左右の腎臓から伸びた尿管は膀胱へ集合します。その膀胱で起こりやすい疾患といえば膀胱炎や結石だと思います。結石はまれに尿管や尿道に詰まってしまうことで腎障害を起こすこともあります。
-膀胱炎というのは一般的にはどのような症状で、原因として考えられるものはどのようなことでしょうか
膀胱炎の症状
・おしっこの色が赤い(血尿)
・頻尿、出きるまでに時間がかかる
・排尿時に痛みを伴う
・おしっこが出ていない
などの異変がみられます。
原因としては、細菌感染や尿道結石、ストレスによる出血、まれに膀胱内腫瘍があります。
細菌感染は主として外陰部から雑菌が侵入することにより起こるため、オスの子と比較して尿道の短いメスの子に多くみられます。
また、結石は膀胱の内側の粘膜から剥がれ落ちた細胞が核となり、その周りにカルシウム、マグネシウム、リンといったミネラル成分が付着することで結晶になります。その結石が膀胱内を動き回り、粘膜を傷つけ出血が起きます。放置してしまうと膀胱壁の厚みが増し、慢性膀胱炎となり治療の反応が悪くなるケースにまで進展することもあります。尿のpH環境は結石出現に大きく影響しており、その種類もいくつか種類があります。
-膀胱炎と結石がつくられることには密接な関連性があることがわかりました。それらについては、どのような治療が必要なのでしょうか
まずは尿検査をおこない、異常物(赤血球、白血球、細菌、結石など)の混入の有無を調べます。細菌感染には抗生物質の服用、結石は食事療法で徐々に溶かしていく方法とそもそも食事療法不適応の結石が見つかったら外科的に摘出するほか手段はありません。
-泌尿器系の異変がみられた場合には早急に病院へご相談したほうがいいことがわかりました。犬猫用サプリメント「毎日腎活 活性炭&ウラジロガシ」について、ご意見をお聞かせください
腎臓には様々な役割があり、腎臓の機能が低下すると、病態は複雑です。治療ではそれぞれを検査などで評価していきますが、すべてを投薬でサポートするのは難しいため、複合的にケアできるサプリメントを取り入れることはとても有効だと思います。
「毎日腎活 活性炭&ウラジロガシ」には腎臓を多角的にサポートしてくれる成分がいくつも配合されています。腎不全になると老廃物などを排泄する腎臓の機能が低下し、体内に毒素が残りやすい状態になっています。毒素が体内へ吸収される前に「ヤシ殻活性炭」や「キトサン」が毒素を未然に吸着し、便と一緒に体外へ排泄してくれます。これにより腎不全による尿毒症などを未然にケアすることが期待できます。
尿毒症症状の改善に伴い全身状態が向上し、その結果として血液検査の数値の改善、具体的にはBUN(尿素窒素)やCRE(クレアチニン)の数値低下が期待できます。

ナトリウム、カリウム、リンなどのミネラルバランスの乱れも体調悪化の大きな要因となります。ナトリウムを吸着する「アルギン酸ナトリム」、リンの吸収を抑える「未焼成カルシウム」が体内のバランスを整えます。
腎不全の治療では進行を遅らせるための低タンパク・低ナトリウムの療法食が推奨されますが、療法食を食べてくれない場合にも、いつもの食べなれたごはんに「毎日腎活 活性炭&ウラジロガシ」プラスすることで、タンパク質の吸収率を低下させ、ナトリウムの排泄を促します。
腎臓は造血に大きな役割を持っています。腎臓の障害に伴うさまざまな合併症の中でも深刻なのが貧血です。「葉酸」は妊婦さんが飲むサプリメント成分でも有名ですが、緑茶やブロッコリーなどの緑の葉の野菜に多く含まれる栄養素で、血液を作る働きがあり、貧血改善の効果が期待できます。
「ビタミンB6」は脳内伝達物質を作る上で必要なアミノ酸をタンパク質から分解して作るなど、タンパク質の代謝に欠かせないビタミンで、脳内伝達物質をコントロールすることにより血圧を下げ、貧血を予防することが期待できます。
腎障害の悪化要因の一つに動脈硬化があります。動脈硬化を起こす要因の一つに高コレステロール血症などの脂質異常が挙げられます。人でも健康診断などで指摘され、コレステロール値を気にする方も多いかと思いますが、これは犬も猫も同じで、食事などを気を付けることで対応しますが、なかなかコントロールの難しいものでもあります。
「ヤシ殻活性炭」は胆汁酸を吸着します。胆汁酸を吸着し排泄を増加させることで血液に含まれるコレステロールを低下させます。
「ビタミンB6」の血管拡張作用により血液の流れを正常な流れに戻し、高血圧症・動脈硬化を防ぐ効果を期待できます。急性腎不全を起こさない為にも下部尿路疾患、特に下部尿路結石の予防はとても重要です。
下部尿路疾患(代表的に下部尿路結石)を発症すると、トイレに行っても尿が出なかったり、排尿時に痛みが出て鳴いたり、血尿や頻尿などの症状が表れます。下部尿路結石で尿道が詰まり、おしっこが排泄できなくなる状態が続くと急性腎不全になって尿毒症を引き起こす危険もあります。「ウラジロガシ(ブナ由来)」には殺菌効果・抗菌・抗炎症作用に加え血管弛緩作用の働きが期待できるタンニンが多く含まれていて、タンニンの血管弛緩作用によって腎静脈を収縮させ腎や尿管にできた胆石や腎臓結石を溶かす効果が期待できます。また、殺菌効果・抗菌・抗炎症作用により尿毒症を緩和し利尿作用を高めて膀胱炎による排泄障害の予防としても期待できます。
腎臓は再生しない臓器です。腎臓障害による腎不全はもちろん、加齢による腎機能低下は避けられません。シニア期を迎えたら、腎臓を守るという意味でも食事に気を付けたり、サプリメントの活用は健康寿命を延ばすという意味でも価値のある事だと考えています。
-ありがとうございます。最後に、愛犬愛猫家の皆様へ向けてのメッセージをお願いいたします。
泌尿器系はひとつなぎの器官であり、どこにも関連性があります。良いこともそうでないことも常に互いに影響しあっています。だからこそおうちでできるケアをしながら健康維持に努めてもらえたらいいなと思います。
獣医師箱崎動物病院
箱崎 文彦 獣医師
※以上の記事は、獣医師個人の感想であり効果・効能を示すものではありません。
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