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監修: 葛野 宗 獣医師
[記事公開日]  [最終更新日]
[ 目次 ]

犬の短頭種気道症候群とは

短頭種に見られる呼吸器疾患です。

フレンチブルドッグ、イングリッシュブルドッグ、パグなどの短頭種に見られる気道の解剖学的な異常による呼吸器症状のことを短頭種気道症候群と呼びます。短頭種は人気の高い犬種ですので、よく見られる疾患と言えます。

犬の短頭種気道症候群の症状とは

いびき、努力呼吸などの症状が見られます。

短頭種気道症候群は、鼻から喉までの上部気道の閉塞が特徴とされています。上部気道の閉塞から、スターター音と呼ばれるいびきのような呼吸音が見られ、吸気努力と呼ばれる息を吸いにくい状態が見られるようになります。換気が難しくなってしまうことから、高体温もよく見られます。パンティングと呼ばれる開口呼吸が見られている時は、すぐに処置が必要です。

短頭種気道症候群では、誤嚥性肺炎を起こしてしまうこともあります。パグよりもフレンチブルドッグ、イングリッシュブルドッグで発生率が高いとされています。

短頭種気道症候群の症状は5段階で分類される場合もあります。①無症状、②軽度のいびき、軽度の吸気努力、③中等度のいびき、中等度の吸気努力、④重度のいびき、努力呼吸、運動不耐性、⑤チアノーゼ、呼吸停止を引き起こし死に至る、となります。

犬の短頭種気道症候群の原因とは

短頭種特有の気道の解剖学的な異常が原因です。

短頭種気道症候群とは、短頭種特有の気道の解剖学的な異常の総称のことです。外鼻孔狭窄、軟口蓋過長、喉頭虚脱、咽頭虚脱、気管低形成、気管虚脱、などが挙げられます。

外鼻孔狭窄とは、鼻の穴が狭い状態のことです。
軟口蓋は喉の奥の蓋の役割をしています。軟口蓋過長とは、軟口蓋が長くなっている状態のことです。
喉頭虚脱とは、喉の奥の軟膜が突出した喉頭小嚢などが原因となり気道を狭くしている状態です。
咽頭虚脱とは、軟口蓋の逸脱などにより息を吸う際に喉の形状が保てていない状態です。
気管低形成とは、先天的に気管が細い状態です。
気管虚脱とは、気管が弱くなってしまい息を吸う際に気管が狭くなってしまいます。
これらの原因で空気の通りが悪くなり、呼吸器症状を引き起こします。

また、短頭種は、短頭種以外の犬種に比べて動脈血の二酸化炭素分圧が高く、酸素分圧が低いという報告があります。

犬の短頭種気道症候群の好発品種について

以下の犬種で好発がみられます。

パグ、ブルドック、フレンチ・ブルドック、ボストン・テリアなどの短頭種が好発犬種です。

犬の短頭種気道症候群の予防方法について

肥満にさせないようにしましょう。

短頭種気道症候群を悪化させる要因として肥満が挙げられます。肥満であることは、鼻の穴や喉を狭くします。栄養管理をおこない肥満にさせないことは、短頭種気道症候群の予防につながると言えます。
また、室温が高くなってしまいますと、短頭種気道症候群を悪化させます。エアコンなどで冷却して高体温にならないようにしてあげましょう。

犬の短頭種気道症候群の治療方法について

外科的療法をおこなう場合があります。

まずは、肥満の防止、室温管理、パンティングが見られた際の酸素投与をおこないます。それでも悪化してしまう場合は、外科的療法が選択される場合があります。

外鼻孔狭窄が見られる場合、鼻の穴を拡げてあげる手術をおこないます。
軟口蓋過長が見られる場合、軟口蓋の長い部分を切除します。軟口蓋過長は、単独よりも他の要因と合わせて症状が見られる場合が多いため、軟口蓋の切除のみでは症状が改善されないこともあります。
喉頭虚脱の場合、喉頭小嚢を切除します。

外科的療法をおこなった場合、予後は良いという報告があります。

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