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監修: 葛野 宗 獣医師
[記事公開日]  [最終更新日]
[ 目次 ]

犬の気胸とは

胸腔内に空気やガスが貯留した状態です。

気胸とは、胸腔内に空気やガスが貯留した状態です。この状態は空気やガスが胸壁損傷部位を通じて胸腔内に移動する場合、呼吸器損傷部位から空気やガスが胸腔内に移動する場合、食道壁損傷によって消化管内ガスが胸腔内に移動することによって発生します。

犬の気胸の症状とは

呼吸器症状、原因疾患に伴う症状が見られます。

気胸による臨床症状としましては、呼吸器症状と原因疾患に伴う症状が見られます。
呼吸器症状としましては、頻呼吸、努力呼吸、浅速呼吸、咳、胸幅拡張、犬座姿勢、チアノーゼ、呼吸音低下などが挙げられます。
重度の気胸症例では、胸腔内圧上昇による静脈還流低下および閉塞性ショックによる循環不全症状が認められる可能性があります。
閉塞性ショックによる臨床症状としましては、意識障害、蒼白粘膜、頻脈、脈圧低下、抹消体温低下、などが見られます。
外傷性気胸の場合は、気胸だけではなく血胸、肺挫傷、心筋挫傷、肋骨骨折、横隔膜ヘルニアが併発していたり、他臓器・部位の障害による臨床症状が認められる可能性があります。

犬の気胸の原因とは

外傷性気胸、医原性気胸、自然気胸があります。

犬の気胸においてもっともよく見られる原因は外傷性のものです。過去の研究において、胸部外傷を呈した犬の約50%で気胸が認められたと報告されています。

医原性気胸の原因としましては、気管支鏡検査、気管挿管時の気管穿孔、陽圧人工呼吸管理下における肺の過膨張、肺穿刺、などが挙げられます。

自然気胸は、外傷性や医原性の原因以外で呼吸器や食道から空気やガスが胸腔内に漏出することで気胸が発生する状態をさします。自然気胸の原因としましては、気腫性肺嚢胞、肺腫瘍、犬糸状虫症、感染性肺炎(細菌性、真菌性、ウイルス性)、肺膿瘍、寄生虫症(肺吸虫、肺虫、条虫)、異物移動などが挙げられます。自然気胸の原因としてもっとも発生頻度が高いと考えられているのは気腫性肺嚢胞であり、大型犬で多く見られます。その中でもシベリアンハスキーにおける発生頻度が高いと考えられています。

 

 

犬の気胸の好発品種について

全犬種で好発します。

気胸の原因は多岐に渡るため、あらゆる犬種で発生すると言えます。
気腫性肺嚢胞を原因とする自然気胸は、シベリアンハスキーで多く見られるとされています。

犬の気胸の予防方法について

原因疾患の予防、早期発見、早期治療をおこないます。

原因疾患の中には犬糸状虫も挙げられます。定期的な予防薬を投与し予防しましょう。
また、感染性肺炎や寄生虫症などの疾患は早期発見、早期治療をおこなうことが、気胸の予防につながると言えます。

犬の気胸の治療方法について

初期蘇生治療、原因疾患の治療をおこないます。

気胸の初期治療は症例の呼吸や循環動態が安定しているかどうかで変わります。重度の呼吸器症状が見られる場合は、蘇生治療を実施します。蘇生治療には、酸素供給(酸素フローバイ法、酸素マスク法など)を実施します。
また、気胸が診断された時点で胸腔穿刺を実施し、胸腔内圧減圧を実施します。気胸は原因疾患によっては一度の胸腔穿刺で治癒することもありますが、多くの場合は一定期間持続的な空気やガスの胸腔内への漏出が発生します。胸腔穿刺を間欠的に実施することで状態を維持できることもできますが、胸腔穿刺を頻繁に実施することは合併症を引き起こす可能性が高くなります。そのため、24時間に複数回胸腔穿刺を実施する必要がある場合や継続的な空気漏出が確認された場合は、胸腔ドレーンを実施することが推奨されています。

初期蘇生治療によって安定化が達成された後は、原因疾患の診断および治療を実施します。気腫性肺嚢胞、肺腫瘍、食道裂孔、異物移動などが原因で気胸が発生している場合は外科療法が必要となります。
外傷による開放性気胸は、胸壁損傷部位の閉鎖、肺損傷有無の判断、胸腔内洗浄を目的とした外科療法が必要となります。逆に、外傷による閉塞性気胸は、ほとんどの場合で外科療法を必要としません。

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