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監修: 葛野 宗 獣医師
[記事公開日]  [最終更新日]
[ 目次 ]

犬の慢性鼻炎とは

慢性化した鼻炎を言います。

慢性鼻炎は、ウイルス、細菌、真菌による上部気道への感染症、嘔吐、逆流などによる二次的な感染症が引き起こされた結果、鼻粘膜の炎症が慢性化した状態のことを言います。

犬の慢性鼻炎の症状とは

原因となる疾患にもよりますが、主に鼻汁とくしゃみが見られます。

慢性鼻炎の主な症状は、鼻汁とくしゃみです。

リンパ球性形質細胞性鼻炎の主な症状は、鼻汁とくしゃみです。鼻粘膜は炎症によりうっ血や浮腫を生じ肥厚します。鼻腔内は狭くなり、鼻汁を排出できなくなります。鼻汁が貯留した鼻腔内に二次感染が生じ、鼻汁の粘性が高くなり黄色く変化します。鼻粘膜にはリンパ球や形質細胞が著しく集簇しているのが特徴です。

鼻腔内異物による鼻炎の主な症状は、鼻汁、くしゃみ、頭を振る、などです。著しい鼻出血はあまり認められません。

歯根膿瘍になってしまいますと、鼻汁や鼻出血が見られる、フードを食べにくそうにする、よだれが増える、くしゃみを頻繁にする、口臭が強くなる、眼の下が腫れる、歯がグラグラする、などの症状が見られます。

犬の慢性鼻炎の原因とは

慢性鼻炎の原因は多岐にわたります。

鼻炎は、ウイルス、細菌、真菌による上部気道への感染症、嘔吐、逆流などによる二次的な感染症が引き起こされた結果、鼻粘膜の炎症が慢性化し、鼻腔内に分泌物や膿が蓄積する疾患です。感染症の他には上顎の歯根膿瘍、鼻腔内腫瘍、外傷により鼻炎が蔓延化します。

慢性鼻炎の中でもアレルゲン物質、刺激物、免疫介在性などが原因となる慢性非感染性鼻炎をリンパ球性形質細胞性鼻炎と呼びます。

植物などの異物を鼻腔内に吸引することで鼻炎を引き起こすことがあります。最初はくしゃみによって鼻腔から異物を排出しようと生体は反応しますが、排出できないと異物周囲に炎症が波及し、鼻汁が貯留して徐々に粘性が高くなります。長期にわたり異物が鼻腔内に存在すると、周囲に肉芽組織が形成される可能性があります。

犬の慢性鼻炎の好発品種について

全犬種で好発します。

リンパ球性形質細胞性鼻炎は、ミニチュアダックスフンドでよく見られます。

慢性鼻炎の原因となる歯根膿瘍はどの犬種でも起こり得ます。とくに咬むのが好きな犬、顎の力が強い犬に起こりやすいと言えます。高齢の犬でよく見られます。

犬の慢性鼻炎の予防方法について

原因となる疾患によっては予防できる可能性があります。

慢性鼻炎の原因が歯根膿瘍や異物である場合は予防できる可能性があります。

その他の原因がある場合は、早期発見・早期治療が重要になります。

歯根膿瘍の原因の多くは破折であると言えますので、破折を起こさない生活を送りましょう。硬いものを犬に与えることで歯が綺麗になるわけではありませんので、硬過ぎるおもちゃを与えない、ケージを咬まないように教える、などの方法は歯根膿瘍の予防につながります。日頃からデンタルケアをおこなうことも歯根膿瘍の予防につながると言って良いでしょう。デンタルケアをおこない、口腔内の環境を整えることで細菌感染のリスクを軽減できる可能性があります。

犬の慢性鼻炎の治療方法について

感染に対する治療、原因となる疾患の治療をおこないます。

慢性鼻炎の治療は、その原因に対するものをおこないます。細菌感染に対しては、抗菌剤および粘液溶解剤、真菌感染に対しては、抗真菌薬を投与します。

リンパ球性形質細胞性鼻炎の治療は、副腎皮質ホルモン剤が中心となり、二次感染に対しては抗菌剤を用います。鼻水を排泄しやすくするために去痰剤を用いることもあります。

鼻腔内異物は根本的な治療は異物の摘出です。全身麻酔下で内視鏡下で肉眼的に確認しながら鉗子を用いて摘出を試みます。この方法で異物が摘出出来ない場合は、部位を予想して外科的摘出が必要になります。

歯根膿瘍の治療は、歯を温存するためには根管治療、外科的根管切除などの方法がありますが、抜歯が選択されるケースが多いと言えます。歯根周辺の化膿巣が大きい場合は抜歯が適応になります。抜歯後、必要に応じて抗生物質や消炎剤を投与します。

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