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監修: 葛野 宗 獣医師
[記事公開日]  [最終更新日]
[ 目次 ]

犬の誤嚥性(吸引性)肺炎とは

唾液や食べ物、あるいは咽頭液や胃液などを吸引することで生じる肺炎です。

誤嚥性肺炎とは、唾液や食べ物、あるいは咽頭液や胃液などを吸引することで生じる肺炎のことを言います。しかしながら、誤嚥をしたからといって必ずしも感染性肺炎を発症するわけではありません。健常な気道には多様な免疫機能が備わっており、もし気道内に唾液や食べ物を吸引したとしても、咳反射とともにそれらを排除します。また、リンパや気管支上皮線毛の働きにより感染が容易に成立しないよう生体を防御機構を備えています。

犬の誤嚥性(吸引性)肺炎の症状とは

呼吸器症状が見られます。

誤嚥性肺炎の臨床症状としましては、頻呼吸、呼吸困難、努力呼吸などの一般的な呼吸器症状が認められます。これに加えて、発熱が見られることがあります。胸部聴診では、クラックル(水泡音、捻髪音)などが聴取されます。
しかしながら、これらの症状は誤嚥性肺炎に特異的な症状ではないため、身体検査に異常所見がないからといって誤嚥性肺炎を否定できるわけではありません。

X線検査は誤嚥性肺炎の診断のゴールドスタンダードとされており、3方向から胸部X線を撮影することがより理想的であるとされています。しかしながら、呼吸状態の悪い動物の体位変換にはリスクが伴います。

犬の誤嚥性(吸引性)肺炎の原因とは

唾液、食べ物、咽頭液、胃液などの吸引が原因となります。

誤嚥性肺炎は、唾液や食べ物、あるいは咽頭液や胃液などを吸引することで発症しますが、誤嚥をしたからといって必ずしも感染性肺炎を発症するわけではありません。
誤嚥性肺炎の発症には各症例でリスク因子が存在しており、食道疾患、喉頭疾患などの上部気道疾患、嘔吐や吐出、多量の流涎の既往、意識障害や全身麻酔、口腔内環境の悪化、強制給与(チューブフィーディング)などが挙げられます。
臨床的には、とくにリスク因子をもつ犬において、加齢などによる防御機構の低下や嚥下反射、咳反射の低下による不顕性誤嚥も多く遭遇します。また、基礎疾患や投薬により免疫抑制状態にある動物は、誤嚥性肺炎が重症化する可能性が高いと考えられます。

誤嚥が原因で肺炎が生じているかどうかを確定するのは現実的に難しく、そのほとんどは症状発症前後の状況も含めた総合的な判断での診断となります。

犬の誤嚥性(吸引性)肺炎の好発品種について

以下の犬種で好発がみられます。

短頭種では、上気道閉塞から誤嚥しやすいことが考えられています。フレンチブルドッグに関しては、約4~5倍リスクが高かったと報告されています。

犬の誤嚥性(吸引性)肺炎の予防方法について

原因疾患の治療と早期発見・早期治療をおこないます。

誤嚥性肺炎は様々な原因疾患によって引き起こされます。上部気道疾患、嘔吐や吐出などは早期に治療することで誤嚥性肺炎の予防につながる可能性があります。

また、誤嚥性肺炎の早期発見、早期治療も重要になります。

犬の誤嚥性(吸引性)肺炎の治療方法について

酸素療法、輸液療法、抗菌薬の投与が治療の中心となります。

本来であれば原因菌の同定をしてから狭域スペクトルの抗菌薬投与を実施するのが理想的ですが、早急な治療開始が必要であることが多いため、広域スペクトルの抗菌薬で治療を開始することが多いです。通常、抗菌薬は少なくとも2~4週間は投与します。

酸素化の不良は全ての臓器に悪影響を及ぼすことに加え、努力呼吸により呼吸筋疲労が蓄積すれば、さらなる呼吸状態の悪化と動物の苦痛につながります。これにより酸素化が不良な動物ではもちろんのこと、頻呼吸などの努力呼吸が認められる動物に対しても必ず酸素投与を実施すべきであるとされています。酸素療法をおこなっても低酸素や低換気が持続する、呼吸筋疲労が疑われる、意識レベルが低下するなど、自発呼吸での管理が難しいことが予想される場合は人工呼吸管理を考慮します。

食欲不振や持続する努力呼吸などの結果、潜在的に循環血液量が減少している症例では輸液療法が必要となります。水和により、粘稠分泌物の溶解や気道粘液の除去が可能となります。しかしながら、肺の血管透過性が亢進している状態での輸液は、間質への水分漏出を引き起こす可能性があるため注意が必要になります。

予後

誤嚥性肺炎の犬の予後は、一般的に支持療法のみで良好であることが多く、約80%が生存退院したという報告があります。予後は主に誤嚥性肺炎に至った背景や基礎疾患、障害を受けている肺葉の数に左右されると考えられています。誤嚥のタイミングから早期に治療を開始し、炎症を食い止めることが出来れば予後を改善することも可能となります。

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