犬の気管支狭窄とは
気管や気管支が狭くなってしまう状態です。
気管支狭窄とは、様々な原因によって気管や気管支が部分的に狭くなることを言います。
犬の気管支狭窄の症状とは
呼吸器症状が見られます。
気管・気管支が部分的に狭くなることで、咳や喘鳴音が認められるようになります。重度になりますと、開口呼吸、流涎過多、チアノーゼを伴う急性の呼吸困難が見られることもあります。
X線検査をおこなって診断しますが、気管虚脱との鑑別のためにCTやMRIなどによる検査をおこなうこともあります。X線透視検査をおこなうと、気管内不透過性の所見に移動性があるかどうかの確認が可能とされています。気管・気管支内異物であれば移動する可能性がありますが、気管・気管支内腫瘍は通常移動しません。
犬の気管支狭窄の原因とは
炎症や腫瘍
ケンネルコフなどの感染性の気管支炎や慢性気管支炎などが原因となり、気管・気管支の狭窄を引き起こすことがあります。
気管・気管支内の腫瘍などによって気管・気管支を圧迫することで気管支狭窄を引き起こすことがあります。
外傷の治癒後に傷跡が縮むことで気管・気管支を圧迫することもあります。
気管・気管支内異物
小さな異物を吸引し、気管内に迷入することによって急性の閉塞性呼吸困難や頑固な咳が見られることがあります。気管内異物には、種、歯、小石、小さな骨片、プラスティックなどの報告があります。気管内に迷入したより小さな植物性の異物(ノギなど)は気管支内まで移動して、慢性的な咳が見られます。植物のノギの吸引は中~大型犬の猟犬およびスポーツ犬で起こりやすいと言われています。また、気管気管支経路が直線的であるため、右の気管支経路に気管支内異物は起こりやすいとされています。異物の大きさに依存しますが、気管を閉塞して急死することもあります。
犬の気管支狭窄の好発品種について
以下の犬種で好発がみられます。
- アイリッシュセッター
- イングリッシュコッカースパニエル
- イングリッシュセッター
- ゴールデンレトリバー
- シェットランドシープドッグ
- ビーグル
- ブリタニー
- ボーダーコリー
- ラブラドールレトリバー
原因は多岐にわたるため、様々な犬種で起こり得ますが、アイリッシュセッター、イングリッシュセッター、ゴールデンレトリバー、ビーグル、ブリタニースパニエル、ラブラドールレトリバーなどの猟犬、イングリッシュコッカースパニエル、シェットランドシープドッグ、ジャックラッセルテリア、ボーダーコリー、ラブラドールレトリバーなどのスポーツ犬は注意が必要です。
犬の気管支狭窄の予防方法について
原因疾患の早期発見、早期治療をおこないます。
原因疾患の早期発見、早期治療をおこなうことが、気管支狭窄の予防につながる可能性があります。
犬の気管支狭窄の治療方法について
炎症や腫瘍
原因疾患に応じた治療をおこないますが、狭窄の原因によっては、根治が難しく、QOLの向上にとどまることもあります。
腫瘍が原因である場合、腫瘍を切除することで狭くなった気管・気管支を外科的に広げることができます。
気管支炎が原因である場合、抗菌薬、気管支拡張薬、鎮咳薬、抗炎症薬などの内服投与をおこないます。適度な温度と湿度を管理した状態で、運動を控え、安静にして興奮させないようにしましょう。気管や気管支における過剰な分泌物を取り除くために噴霧吸入をおこなう場合もあります。
肥満は胸壁コンプライアンの低下、呼吸仕事量の増加、横隔膜の圧迫を助長するため、適正な体重へ減少させることも重要です。
気管・気管支内異物
気管・気管支内異物の治療は、異物除去と二次的に発生する感染および炎症を抑えることが重要になります。異物除去には、症例への負担や合併症を考えると気管鏡下異物除去が第一選択となりますが、それで除去できなかった場合には、外科的処置を実施します。
気管・気管支内の異物を早期に除去することによって、予後は良好となります。