獣医師インタビュー vol. 024
犬と猫の心臓の病気について
「未病」の状態で
進行を防ぐことが重要。
進行を防ぐことが重要。
厚木キジュ動物病院 | 難波 勝則 獣医師
難波 勝則 獣医師
厚木キジュ動物病院 院長
日本大学獣医内科学教室大学院研究員(循環器科)
中西結合獣医臨床研究会 理事
日本動物福祉協会会員
日本大学獣医内科学教室大学院研究員(循環器科)
中西結合獣医臨床研究会 理事
日本動物福祉協会会員
-ワンちゃんネコちゃんの心臓病について教えてください。
近年、ペットが人間の伴侶として暮らすことが増加し、それに伴い飼い主様の知識やそれを得る機会も増加しています。飼い主様が意識していただいているせいもありワンちゃん、ネコちゃんの平均寿命は年々増加している一方、ペットの高齢化に伴い様々な病気が増加しています。心臓病も増加傾向にあります。現在、心臓病は犬ではガンに続いて2番目、猫ではガン、腎泌尿器疾患に続いて3番目に多い疾患です。
ある疫学調査では、全ての犬の10~15%が何らかの心臓疾患に罹患しており、その95%が後天性の心臓疾患で、特に10歳以上の犬においては30%以上、さらに小型犬であった場合50%以上が心臓疾患であるというデータも得られています。
一言で心臓病といってもその原因は様々であり、小型・中型犬では慢性弁膜疾患(その70%が僧帽弁閉鎖不全症)、大型犬では拡張型心筋症、猫では肥大型心筋症が多い傾向にあります。
ある疫学調査では、全ての犬の10~15%が何らかの心臓疾患に罹患しており、その95%が後天性の心臓疾患で、特に10歳以上の犬においては30%以上、さらに小型犬であった場合50%以上が心臓疾患であるというデータも得られています。
一言で心臓病といってもその原因は様々であり、小型・中型犬では慢性弁膜疾患(その70%が僧帽弁閉鎖不全症)、大型犬では拡張型心筋症、猫では肥大型心筋症が多い傾向にあります。
-心臓病の症状について教えてください。
慢性弁膜症や心筋症に代表される心臓疾患は、しばしば重症化し呼吸困難になるまで気が付きにくい病気です。毎日接している家族は動物の異常にすぐに気が付くはずと思われるかもしれませんが、運動時間や活動性の低下などゆっくりの変化には毎日見ているからこそ気が付きにくいものです。また、動物の心臓は、1回の収縮で不足であれば、心臓をもっと動かしてたくさん血液を流そうとし、心臓の鼓動を今までより速くして、血液を送るポンプの回数を増やそうとします。
心臓が一生懸命働くことによって、全身には今までと同じくらいの量の血液が循環することになります。つまり、心臓が必死に働いているお陰で体の他の部分には影響が出ないわけです。このような心臓の頑張りもあり家族から「症状がみられない」のです。結果「咳が出る」や「はぁはぁ口を開けて呼吸する」状態まで気が付けないことが多いのです。
心臓が一生懸命働くことによって、全身には今までと同じくらいの量の血液が循環することになります。つまり、心臓が必死に働いているお陰で体の他の部分には影響が出ないわけです。このような心臓の頑張りもあり家族から「症状がみられない」のです。結果「咳が出る」や「はぁはぁ口を開けて呼吸する」状態まで気が付けないことが多いのです。
-心臓病の治療について教えてください。
心臓にどのくらい負担がかかっているか?薬を飲ませる必要があるかは聴診やレントゲン検査だけでは不十分で超音波検査を適切に行える動物病院でちゃんと調べてもらうことが必要です。大事な家族に不必要な薬は与えたくないものです。愛犬やその家族のためにもしっかり検査をした上で治療をするかを判断してください。
心臓病治療の現状をみると、慢性弁膜疾患において現在、内科治療としてACVIMガイドラインが示されていますが、心臓拡大がみられるステージB1の症例では経過観察が推奨されています。過去の文献においてもステージB1の症例に対する投薬は正当化されておらず、心拡大が進んだステージB2後期からのピモベンダン投与が推奨されるのみです。
慢性弁膜症において近年、外科的な治療が行われてきており根治可能な唯一の治療法として注目されているが、非常に高額な治療のため多くの場合、内科療法に頼らざるを得ないのが現状です。心筋症においても心拡大を起こす早期のケアでエビデンスのある治療法は示されておらず発症させないケアが求められています。
心臓病治療の現状をみると、慢性弁膜疾患において現在、内科治療としてACVIMガイドラインが示されていますが、心臓拡大がみられるステージB1の症例では経過観察が推奨されています。過去の文献においてもステージB1の症例に対する投薬は正当化されておらず、心拡大が進んだステージB2後期からのピモベンダン投与が推奨されるのみです。
慢性弁膜症において近年、外科的な治療が行われてきており根治可能な唯一の治療法として注目されているが、非常に高額な治療のため多くの場合、内科療法に頼らざるを得ないのが現状です。心筋症においても心拡大を起こす早期のケアでエビデンスのある治療法は示されておらず発症させないケアが求められています。
-「毎日健心 コエンザイムQ10&フランス海岸松」についてご意見をお聞かせください。
どんなに良いものでも量が多かったり嗜好性が悪いと人間と違って受け付けてもらいづらいものとなってしまいます。「毎日健心 コエンザイムQ10&フランス海岸松」はミルク味の粉末タイプとなっており、ペットが好む風味となっています。また粉末タイプなので水やリキッドタイプのフードにも溶かしやすく、毎日与える場合でもストレスなく、美味しく与えることができるのが特徴です。
配合されている、還元型コエンザイムQ10、フランス海岸松、ルンブルクス、L-カルニチン、L-シトルリン、タウリン抽出物、ゴマエキスが心臓によい成分なのはいうまでもありませんが、中医療(漢方医療)的な観点からお話をさせていただくと、ルンブルクスはミミズから抽出されています。ミミズは古来より「地龍」として治療薬に珍重されてきました。効能は「胸痺」の治療いわゆる狭心症や心筋梗塞、高血圧の改善、血行促進、利尿作用という循環器への効能の他、消炎鎮痛、殺菌、糖尿病の改善など年を取った生物にとってあたかも万能薬のように対応しています。
フランス海岸松樹皮の有効成分はピクノジェノールといわれる成分ですが松の節を用いた漢方薬に松節というものがあります。松節は古来より「瘀血」の改善に用いられています。これは筋肉のポンプ作用、血管運動の促進により滞った血液を循環させる作用を示しており循環改善効果、消炎鎮痛作用を発揮します。
また優れた抗酸化作用が知られており、ガンに用いることもあるほどです。胡麻も古来より漢方薬として重宝されており「滋養肝腎・補益精血」といわれる滋養強壮を目的に使用されています。
-ありがとうございます。最後に、愛犬愛猫家の皆様へ向けてのメッセージをお願いいたします。
現在のところ弁膜症や心筋症などいわゆる心臓病に対する早期治療の有効な内服薬はありません。このことは日頃から心臓病にならないように気を付ける必要があることと、心雑音や心筋異常が発見されてもそれ以上症状を進ませない、いわゆる「未病」の状態で進行を防ぐことが重要であることを示します。日頃からペットの身体によい習慣を行いたいものです。
心臓病の子と上手に暮らすためにどのようなことに気を付けるべきかをご紹介します。
<過度な塩分摂取を避ける>
犬では人間のように過剰な塩分摂取によって高血圧になったりということは起こらないのですが塩分により体に水が溜まりやすくなってしまいます。特に肺水腫になったことがある子やなりそうなくらい悪化している子では要注意です。
<体重を落とさない>
肥満が心臓病になりやすいということは広く知られていますが、心臓病になってしまった子に関してはダイエットは厳禁です。心臓病になってから体重が減少した子より体重増加した子の方が明らかに長生きであるという研究結果があります。
<タンパク質の摂取を心がける>
心臓は筋肉の塊でできています。心臓が頑張っている今の状態を助けるためになるべく良質なタンパク質の摂取を心がけましょう。
<散歩に出かける>
よく「心臓病の子は散歩しないで」とアドバイスを受けることが多いようですが、最近では適度な運動は心臓病に良いことがわかっています。人間でも適度な運動が推奨されています。
適度な運動とは「散歩に行きたい意志」があり「はぁはぁいわない程度」が適切だと考えられます。
<自宅で安静時呼吸数を数える>
これは1分間で何回呼吸しているかを測ることで病院では決してわからない普段の状態を知るため重要であると同時にご家族にしかできない検査です。安静時呼吸数30回を超えると心臓の負担が大きく40回を超えると肺水腫の危険があるため強心薬のスプレーやすぐに病院に連れて行くなど素早い対応が必要であるといえます。週に何回か動物が寝ているときやリラックスしているときの呼吸数を記録してください。治療の大きな助けになります。
動物の心臓病治療は数年で大きく進んでおり、またこの先も大きく変わって行く兆しがみられます。心臓病は一生付き合って行く病気となってしまうことが多いため、安心して相談ができ、何かあったときに適切な対応ができる病院を見つけておきましょう。
心臓病の子と上手に暮らすためにどのようなことに気を付けるべきかをご紹介します。
<過度な塩分摂取を避ける>
犬では人間のように過剰な塩分摂取によって高血圧になったりということは起こらないのですが塩分により体に水が溜まりやすくなってしまいます。特に肺水腫になったことがある子やなりそうなくらい悪化している子では要注意です。
<体重を落とさない>
肥満が心臓病になりやすいということは広く知られていますが、心臓病になってしまった子に関してはダイエットは厳禁です。心臓病になってから体重が減少した子より体重増加した子の方が明らかに長生きであるという研究結果があります。
<タンパク質の摂取を心がける>
心臓は筋肉の塊でできています。心臓が頑張っている今の状態を助けるためになるべく良質なタンパク質の摂取を心がけましょう。
<散歩に出かける>
よく「心臓病の子は散歩しないで」とアドバイスを受けることが多いようですが、最近では適度な運動は心臓病に良いことがわかっています。人間でも適度な運動が推奨されています。
適度な運動とは「散歩に行きたい意志」があり「はぁはぁいわない程度」が適切だと考えられます。
<自宅で安静時呼吸数を数える>
これは1分間で何回呼吸しているかを測ることで病院では決してわからない普段の状態を知るため重要であると同時にご家族にしかできない検査です。安静時呼吸数30回を超えると心臓の負担が大きく40回を超えると肺水腫の危険があるため強心薬のスプレーやすぐに病院に連れて行くなど素早い対応が必要であるといえます。週に何回か動物が寝ているときやリラックスしているときの呼吸数を記録してください。治療の大きな助けになります。
動物の心臓病治療は数年で大きく進んでおり、またこの先も大きく変わって行く兆しがみられます。心臓病は一生付き合って行く病気となってしまうことが多いため、安心して相談ができ、何かあったときに適切な対応ができる病院を見つけておきましょう。
厚木キジュ動物病院
難波 勝則 獣医師
難波 勝則 獣医師
※以上の記事は、獣医師個人の感想であり効果・効能を示すものではありません。