老犬の介護と向き合うには?介護のしかた、心構えとは?
動物看護士
安田明日香
[記事公開日] [最終更新日]
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介護が必要になるのはいつから?
昔は動物医療も今ほど発達していなかったため寿命が短く、老犬になる前に病気で亡くなってしまう場合が多かったそうです。現在は動物医療の発達により、10歳、15歳を過ぎても元気に過ごせる犬も多くいます。寿命が長くなった反面、自力での生活が難しくなっても生きていられるため介護が必要となるようになりました。
犬が高齢になるとみられる変化は様々ですが、足腰が弱くなり自力での歩行が困難になったり、寝ている時間が増えたり、食事がうまく食べられずこぼすようになったり、老化が進めば、認知症になり夜鳴きや徘徊をする場合もあります。こうした変化が少しでもみられたら介護が必要となります。
介護の仕方は?
愛犬の介護が必要となったらどうすればいいのでしょうか。老化の初期症状で多くみられるものが四肢の脚力低下です。以前は元気よく走り回っていたのに歩き方がゆっくりになったり、なかなか立ち上がれなくなったり、脚を引きずるようになったりします。こうした症状が出始めると歩行の介助が必要となります。歩くときに体を支えてあげたり、タオルなどで後肢を吊るようにして支えながら散歩したり、また最近は歩行介助用のハーネスが販売されているので、より介助がしやすくなっています。
老犬になると食事の介助が必要になってくることが多いです。食事内容もシニア用のドックフードへ切り替えが必要であり、時には手作り食を与えたほうが良い時もあります。また、器を床に置いて食べさせる姿勢は老犬には負担が大きいため、台を使用し器を高い位置にしてあげて負担を少なくしてあげる工夫が必要になります。寝たきりで自力で食べることが出来なくなった時には、スプーンなどを使って食べさせたり強制給餌を行ったりする場合があります。
老化が進行していくと寝たきりになって動けなくなってきます。そうすると心配なのが「床ずれ」と「排泄」です。床ずれは長時間同じ方向を床にして寝ていると、皮膚が炎症を起こしてしまうので、こまめに床になる方向を変えてあげなければなりません。また、ふかふかのクッションの上で寝かせてあげたり、ウォーターベットや床ずれ防止用のドーナッツクッションなどを使用したりすれば、愛犬も快適い過ごせますね。寝たきりなので排泄は今までのようにはできません。おしっこのタイミングが分かれば起こしてトイレに連れてってあげることもできますが、なかなかタイミングをつかめず失敗してしまう事もあるため、おむつを履かせてあげるのも一つの方法です。おむつを使用すれば、皮膚や被毛が排泄物で汚れることを防ぐことができ、飼い主の掃除の負担も少なくなります。
こうした介護グッズをうまく使用して介護をすることで愛犬も飼い主も負担が軽くなり、快適に老後生活を送ることができるのではないでしょうか。
老犬との向き合い方
長い時間を共に過ごし深い絆で結ばれている愛犬も、月日が流れれば人間の何倍ものスピードで年をとり老犬になっていきます。今までは普通にできていたことができなくなり、飼い主としては悲しいような寂しいような気持ちになりますよね。またトイレを失敗してしまった時にはイライラすることもあるかもしれません。しかし、それは当たり前の変化であり受け入れるべき変化だと思っています。老化という変化を「なぜできない」と怒ったり叱ったりせず、今の愛犬の姿をそのまま受け入れてあげる努力をするべきではないでしょうか。そうすれば飼い主の心にもゆとりが生まれ、老犬の介護生活ともうまく向き合っていけるのではないしょうか。
老犬を介護するということは想像以上に大変なことだと思います。お散歩の介助から食事の介助、小型犬ならば抱っこしたり移動させたりする負担も比較的軽いですが、ラブラドールレトリバーやゴールデンレトリバーなどの大型犬になると、移動させるだけでも大変で一人では行えないことも多いです。今まで長い時間を一緒に過ごしてきた愛犬だから最後まで介護も完璧にしてあげたい、という想いがあるかと思いますが、自分ひとりで介護を完璧に行うのは非常に大変だというのが現実ではないでしょうか。私は介護をしていくうえで必要なものは「協力」だと思っています。例えば家族で分担を決めて介護をしたり、時には動物病院に相談して力を貸してもらったりすることも大切です。
最近では老犬ホームや動物介護士が多く活躍しています。自宅では介護が難しい場合や、介護の仕方が分からない、また介護に疲れてしまった時などに頼ってみるのも良いかもしれません。自宅で最期まで看取るという事だけが全てではなく、飼い主が無理をしすぎず心にゆとりのもてる状態で介護が続けられることが大切です。介護は明確な終わりの時期が見えないため、気長に向き合っていかなければなりません。自分だけで抱え込まずに、まわりに協力してもらいながら介護をしていきましょう。
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