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獣医師監修:愛犬の眼が白い?犬の白内障について知りたい!

獣医師
藤井 ちひろ
[記事公開日]  [最終更新日]
いつまでも可愛い愛犬、でもあるときお散歩友だちに「眼が白いよ、白内障じゃない?」と言われました。あわてて眼を見てみるとなんとなく白っぽいような気も…。
これって眼がみえなくなっているのでしょうか?
[ 目次 ]
獣医師監修:愛犬の眼が白い?犬の白内障について知りたい!
白内障という病気をきいたことはありますか?ヒトではとても有名な眼の病気の一つで、特に高齢者の患者が多いことで知られています。実は犬も白内障になってしまうことがあり、最悪視力を失ってしまうこともあります。
しかし白内障について知っておくことで、愛犬にずっと明るい世界を見せてあげることができるかもしれません。
少し長い内容ですが順を追って説明してあります、ぜひ読んでみてください。

白内障とは何のことでしょう?

白内障とは、様々な原因で眼の中にあるレンズの役割を果たす水晶体のタンパク質が変化し、濁ってしまうため視力が失われてしまう病気です。この変化は不可逆的、つまり元に戻ることはできない変化であり、よく生卵とゆで卵に例えられます(1度固くなってしまった卵をもとの状態にもどすことはできませんよね)。

なぜ白内障になるのでしょう?

数多くある白内障の原因は、次のようなものです。

○糖尿病などの全身性疾患(代謝性白内障)
○ジアゾキシドなどのある種類の薬の副作用(薬物性白内障)
○アルギニンなどの特定の栄養の不足(栄養性白内障)
○眼への外傷など水晶体への大きなダメージ(外傷性白内障)
○ぶどう膜炎など眼の炎症(続発性白内障)
○加齢(加齢性、老齢性白内障)
○特定の犬種や系統(遺伝性白内障)


ヒトの場合、白内障の原因の多くは加齢による老齢性白内障ですが、犬の場合は遺伝性白内障がよくみられます。遺伝性白内障はさまざまな犬種に多く発生することがわかっており、オーストラリアンシェパードではその遺伝子も特定されています。
加齢性白内障が何年もかけてゆっくり進行するのに対し、遺伝性白内障はまだシニアになる7歳前に発症し、その変化も驚くほど早くすすんでしまうことがわかっています。

獣医師監修:愛犬の眼が白い?犬の白内障について知りたい!

白内障になるとどんなことが起こるの?

本来は透明なレンズである水晶体は、その60%から70%が水分であり、残りの30%から40%がタンパク質、そのタンパク質は水溶性のものと不溶性の2種類で構成されます。
白内障になってしまう詳しい仕組みはまだはっきりしないところもありますが、先にあげたようないろいろな原因により、水晶体の水溶性タンパク質に変化が起きてしまった結果、不溶性のタンパク質が増えてその透明度が失われていくことが分かっています。
水晶体の透明度が失われていくのともに徐々に視力も失われ、またレンズが硬くなることで柔軟性がなくなり変化に対応しづらくなることで、様々な病気にかかりやすくなります。
水晶体の変化とともに視力も徐々に失われ、最終的には失明してしまうこともあります。

白内障はどうやって診断するの?

全ての病気の基本になりますが、まずは飼い主さんに愛犬の様子を問診し、どんな変化が見られているのか、痛みや違和感を感じていないかなどを確認します。
次に眼の状態を観察し、充血や目脂、涙等の異常がないか、眼の一番表面にあたる角膜に異常がないかを調べます。
その後さらに詳しく白内障の状態を知るため、散瞳させる効果のある点眼薬をつけて瞳孔を開かせます。一定時間置いた後、眼の奥を専用のライトで観察することにより、水晶体が濁っている場所やその範囲、透明度などにより白内障の状態をステージ毎に分類します。
また眼の中に炎症が起きていないか、他の眼の病気になっていないか、眼の圧力が上がっていないか、そして眼の中の神経に異常がないかなどを確認するため、超音波検査を行ったり眼圧測定を行うこともあります。

白内障はどうしたら治るの?

【確実なのは外科治療】
白内障で落ちてしまった視力を取り戻すために最も効果的な治療は、濁ってしまった水晶体を超音波で乳化・吸引し、代わりに人工レンズを入れる治療法、つまり外科手術です。
白内障の手術を行わずに視覚を回復することは難しく、また重度の白内障をそのまま放置すると合併症を発症しやすくなります。
若いうちに起こった白内障が時間が経つと水晶体が溶けてしまい、再び透明になることで視覚を取り戻すこともあります。しかしレンズの機能は失われているため光を感じるものの、ひどい視力障害が残り、犬にとっていい快適な状態とは言えません。
【コントロールをめざす内科治療】
非常に高齢の場合、他の病気のため手術が難しい場合、また、手術が適応ではない白内障の場合は、内科治療が選ばれることがあります。しかし内科による治療はあくまで白内障の初期から行うことでその進行を予防するものであり、状態が進んでしまった白内障やその視力の回復を可能にするものではありません。
点眼薬:水晶体の透明性を維持することにより、またタンパク質の変性を抑えることにより白内障の進行を防止します。
サプリメント:強い抗酸化作用により活性酸素の発生を抑え、水晶体のタンパク質の変性を予防します。

獣医師監修:愛犬の眼が白い?犬の白内障について知りたい!

やっぱり動物病院にいくべき?

愛犬の眼が白く見えたからといって、必ずしも白内障になってしまったというわけではありません。眼が白く見える病気は他にも数多くあり、その中には視力に異常がないものや特別な治療を必要としないものもあります。また白内障と診断されても、即手術ということでもありません。その時点での眼の状態を正確に診断し、最適な治療を選ぶため多くの検査が必要となります。
散歩中に電柱にぶつかる、夕方の散歩を喜ばなくなった、電気をつけないと部屋の中であまり動かない、また壁や家具によくぶつかるようになってしまった場合、視力が落ちている可能性があります。
大切な家族である愛犬が視力を失ってしまうのは大変辛いことです、また動物は自分で見えないことを訴えることはできません。飼い主さんご家族が早く気づいて、検査を受けさせてあげてくださいね。

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