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猫の耳ダニ症について

獣医師
永井秀明
[記事公開日]  [最終更新日]
猫とダニと言うと最近新聞報道等で、ダニが媒介して人間に被害を及ぼす感染症があり、死亡例も報告されました。とても怖い出来事ですが、そのダニはマダニで耳ダニではありません。今回は猫の耳ダニ症についての、説明や治療について紹介します。
[ 目次 ]
猫の耳ダニ症について
猫の耳ダニ症とは猫の耳に住み着くダニが起こす病気です。耳ダニが猫に感染すると耳が痒くなり特徴的な耳垢が出る等の症状が出ます。

猫の耳ダニは犬や猫の耳に寄生するダニ

猫の耳ダニは主に外耳道の表面にダニ(ミミヒゼンダニ)が、寄生する事によって発症します。耳の中にダニが寄生すると、炎症を起こします。耳ダニは母親から生まれる時に感染する母子感染と、野良猫等の他の猫から感染する場合があり、この2つの感染ルートによります。耳ダニは猫から猫へ渡り歩いて寄生する、感染力の強い感染症なので注意が必要です。

猫の耳ダニ症について

猫の耳垢と耳ダニの関係

猫の耳垢とは、耳のアポクリン汗線から分泌された蛋白質と、皮脂線から出された脂肪が混ざり、古くなりはがれた皮脂と出来た物です。猫によってはこの耳垢が多かったり、ほとんど出ない猫もいます。猫は普通に生活していれば耳垢を自然に外に排泄します。健康な猫の耳垢は薄茶色で臭いはほとんどしません。耳ダニに感染した猫の耳垢は、耳ダニの死骸等で黒くなっていて臭いがします。このような黒くて臭いがする耳垢なら、耳ダニが感染して耳ダニ症の可能性が高いと思った方がいいでしょう。

耳ダニ症の確定診断について

耳ダニ症と確定診断するには耳ダニに感染しているのか調べる必要があります。耳ダニに感染していのか調べるのは、感染している可能性の高い猫の耳垢を調べます。調べる方法は、まず耳垢をスライドガラスの上にのせ、耳垢溶解液で良く解かします。その上にカバーグラスををかけて耳垢を薄く延ばして顕微鏡で見ます。耳垢の中に耳ダニの成虫体又は虫卵を捜します。。成虫体か虫卵のどちらか一方だけでも検出されたら、耳ダニに感染していると診断され駆除の対象となります。

耳ダニは人に被害を及ぼすのか

耳ダニは人に寄生することはありません。ただ猫の多頭飼育している場合に耳ダニに感染すると、感染力が強いので耳ダニが大発生したりしたら、家の人たちが耳ダニに刺されて皮膚に炎症を起こしたりする被害が起こる場合があります。耳ダニは自然に居なくなる事はありませんので、感染したら確実に駆除しなくてはなりません。

耳ダニ症の治療方法は

まず始めに耳道内にある耳垢を清掃して、耳垢をきれいに除去します。それをやる理由は、耳垢は耳ダニが生息する為には必要で、耳垢は耳ダニにとってエサとなっている為です。耳垢をきれいにすると耳ダニは繁殖出来なくなるので、耳垢の清掃は治療する上でとても重要です。耳垢の清掃のやり方は耳道内にイヤークリーナーを入れます。このイヤークリーナーですが、動物病院で使用しているペット用イヤークリーナー(オーツイヤークリーナー、エピオティック、ノルバサン等)を使用する事をお薦めします。ペット用のイヤークリーナーは猫の耳の中に入れると良く耳垢が溶解されて、猫自身が首を良く振るだけで耳垢を外に出す事が出来る様に作られています。野良猫や綿棒を入れられない猫には、ペット用のイヤークリーナーは価格は高いのですが、治療はしやすくなります。耳垢を清掃して除去出来たら、耳ダニの駆除を行います。

耳ダニの駆除薬について

耳ダニの駆除には日本で唯一耳ダニ(ミミヒゼンダニ)の駆除薬として認可を受けている、レボリューション6%を使用します。レボリューション6%はセラメクチン製剤で、効能・効果は、犬糸状虫の寄生予防、ノミ成虫の駆除、ノミ卵の孵化阻害及び殺幼虫作用によるノミ寄生予防、ミミヒゼンダニの駆除、回虫の駆除です。使用あたって体重制限はなく、小さい子猫でも使用できますが、年齢制限が6週齢以上となっています。規格は2.5kg未満:1ピペット0.25mlと2.5kg以上7.5kg未満:1ピペット0.75mlの2規格あります。レボリューションの正しい投与方法は、1.首の後ろで肩甲骨の前方に投与します。2.被毛をしっかりかき分けて皮膚を出します。3.ピペットの先を皮膚に直接つけたまま1ケ所でしぼります。そうすると皮膚にすばやく浸透し全身への効果があります。4.全量使い切りタイプ。すべて出し切ったら投与終了です。一箱に3ピペット入っていて、1ケ月に1ピペットで寄生虫の駆除・予防が出来ます。だいたい3ピペット3ケ月間使用すればミミヒゼンダニは、駆除出来ると思います。現在はレボリューションプラスと言う、新しいシリーズが発売されました。これは従来発売されていたレボリューション6%のセラメクチンにサロラネルを加えて、こう虫の駆除、マダニの駆除の効果が追加されました。体重制限は1.3kg以上で、年齢制限は8週齢となっている為、レボリューションプラスはレボリューション6%より子猫には使いづらいと思います。規格は2.5kg未満1ピペット0.25ml、2.5kg以上5.0kg未満1ピペット0.5ml、5.0kg以上10.0kg未満1ピペット1.0mlの3規格があります。ただ、一箱6ピペット入りなので、ピペットの数が多い分価格は高くなっています。

猫の耳ダニ症の予防方法はあるのか

まず、飼い猫の生活している所の環境は清潔にして置く事です。特にカーペットやじゅうたんの中は、耳ダニの住みかになりやすいので、掃除機等で清潔に保ちましょう。それから飼い猫を外に出さない様にしましょう。外に飼い猫が出ると、野良猫等の他の猫に接触して、耳ダニが感染する可能性があります。その場合は外に出る飼い猫にはレボリューションを予防として使用する必要があります。また現在、フロントラインシリーズの新しい薬として、ブロードラインが発売されました。これはフィプロニル製剤で、ノミ・マダニ・フィラリア予防・お腹の虫を1剤でカバー出来る駆除剤です。ミミヒゼンダニの駆除で認可はとっていませんが、リボリューションと同じ系統の薬なので、メーカーは駆除効果はあると言っています。ただ、レボリューションほどの駆除効果はないので、耳ダニの予防として使用するのに適しているとメーカーは言っています。レボリューションを予防で使用するのに抵抗がある方は、1剤で猫の寄生虫のほとんどを予防駆除出来るブロードラインを予防で長期に使用することをお薦めします。

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