老犬の食事、どんなものを食べさせればいいの?
何歳からが「老犬」?
シニア犬、高齢犬とはよく聞くけれど、うちの子はまだ元気だし…衰えていないし…。毎日一緒にいるぶん、愛犬の老化はわかりにくいものです。また当然のことながら、老化にも個体差があります。
けれど、老化のきざしを見逃して病気にしてしまった、寿命を早めてしまった、ということのないように、老化の目安を知っておく必要があります。
一般的に、犬は人間でいうところの40歳~がシニア犬、60歳~が高齢犬と呼ばれます。
では犬の年齢でいうと何歳からがシニア犬、高齢犬なの?といいますと、
小型犬、中型犬…6歳からシニア犬、11歳から高齢犬
大型犬…5歳からシニア犬、8歳から高齢犬
という扱いになることが多いそうです。意外に早いと感じる方も多いのではないでしょうか。
犬の寿命はペットフードの進化や飼い主側の知識・技能の向上、医学の進歩により年々伸びてきています。犬全体としても寿命は延びていますが、特に人気の小型犬(トイプードルやパグ、柴犬など)は15年以上生きることも多いです。つまり、半分以上の期間を「老犬」として過ごすことになります。
愛犬により長く、幸せに生活してもらうためには年齢や体に合った環境、そして食事が必要不可欠です。
シニア犬の食事
シニア犬は人間でいうところの「中年期」です。
人間と同じように、消化機能や基礎代謝の低下、活動量の減少が徐々に見られます。
そこで食事は「低カロリー、低脂肪」のものに切り替えましょう。消化機能が衰えるため消化しやすいものを与えることも大切です。
シニア犬用ドッグフードは「小型犬・中型犬用」「大型犬用」などに分かれており、時には「ミニチュアダックスフンド用」など特定の犬種のために開発された商品もあります。各社からシニア犬用のドッグフードは複数販売されているため、愛犬に合ったフードをいろいろと試してみるのもいいかもしれません。
フードを切り替える際には必ず、今までのフードに混ぜながら少しずつ新しいフードの割合を高くしていきましょう。一気に新しいフードに切り替えると、そもそも口をつけなかったり、胃腸に負担をかける場合があります。
また食欲不振が見られる場合は、
1.食事の回数を増やす(量は今までと同じにし、1回→2回、2回→3回と小分けにして与える)
2.缶詰など、においの強いものを混ぜて与える
という方法があります。
この時期になると、運動機能の低下や関節・足腰の老化も見られます。
犬用コラーゲン・グルコサミン・コンドロイチンなどを配合したフードもあるため、愛犬の体調に合わせ適宜そういったフードを与えてもよいでしょう。
シニア犬期にケアをしっかりとすることで、高齢犬時にもより長く健康でいられる可能性が高くなります。愛犬のちょっとした変化を見逃さず、食事によって愛犬の健康をサポートしていきましょう。
高齢犬の食事
高齢犬は人間でいうと60歳以上です。
まず、高齢犬の食事で最も重要なことは「食べやすさ」です。
人間でも同じですが、高齢犬期になると適切なケアを心掛けていたとしても歯を失ったり、顎の力が弱ったり、足腰が衰えて体を支えられなくなったりと、老化が目に見えてきます。
また、食欲不振などを起こすことが多いのもこの時期です。食欲不振の場合の対処法はシニア犬期の食事とほぼ同じですが、頻度が高くなる可能性があるのでしっかり対処していきましょう。
そして一番怖いのが「餌の誤飲」です。
人間と同じで飲み込む力も衰えてきているため、大きな固形物を与えてしまうと喉に詰まらせ、死亡の原因となることも珍しくありません。高齢犬期にはとにかく「食べやすさ」を重視した食事メニューを考えていきましょう。
では具体的にはどういったフードを与えればいいのかをご紹介していきます。
1.高齢犬用ドライフードを与える
こちらも各メーカーから発売されています。高齢犬用ではなく、「〇歳以上用」などと書いてあることも多いです。こちらは高齢犬のための栄養バランスを考え作られているため、できれば高齢犬用フードへ切り替えていきましょう。もし食べにくそうにしていたり、歯が少なくなっていたり、そもそも12、3歳を越えている…という場合は、必ずフードは水でふやかして与えましょう。柔らかくすれば食べやすいですし、噛まずに飲み込めますし、誤飲による心配も少しは防げます。ふやかし具合は、与えるフードを指先でぎゅっとつぶしてつぶれるくらいならOKです。また、フードをふやかすことによって水分の摂取も同時に行うことができます。夏などは水の代わりにペット用のスポーツドリンクでふやかすと、効率的に水分を摂取できます。
2.高齢犬用ドライフードと缶詰を混ぜて与える
缶詰も各社から高齢犬用が販売されています。ドライフードだけでは食欲不振で食べてくれない…という場合に有効な方法です。ドライフードを水にふやかすだけでも匂いは強くなるのですが、やはり缶詰は犬にとって食欲をそそるいい匂いがするようです。高齢犬用ドライフードふやかし+缶詰という形で与えてみましょう。缶詰を今まで常食にしていたのでなければ、食いつく可能性が高いです。
3.介護用フード、スープを与える
犬専用の介護用フードもあります。人間の離乳食のようなもので、缶詰の水分をもっと多くしてどろどろにしたような感じです。介護用のスープもあります。どちらかといえば寝たきりで流動食しか食べられない子向けですが、栄養価が高いため、量を食べられない子のためにこのスープでドライフードや缶詰をふやかすという使い方もできます。こちらのフードは消化にいいため、高齢犬だけではなく病気療養中の子にもおすすめです。
4.手作りフードを与える
どうしても食欲がない…というときに一時的に有効な方法です。ヨーグルト(無糖のもの)にペースト状にしたバナナやサツマイモを混ぜて与えます(まだ固形物が食べられる子向けです)。匂いが強いため、反応してくれる子が多く消化にもいいです。常食には向きませんが、一度胃が動けば食欲が出てくる子も多いので、「フードを食べるきっかけ」や「おやつ」としての利用ができます。
犬の流動食
高齢犬となり、自分で食べる気力がなくなったら、もしくは、病気のときなどに必要となるのが「流動食」です。基本的には、寝たきりになったとしてもアシストして体を起こすなどして、自分で食べる気力があるうちは上記のような柔らかくした食事を与えるのが基本です。
けれど「食べられなくなったとき」に必要になるのが流動食です。
流動食は市販の犬用介護食、流動食を利用してもかまいませんし、手作りしてもかまいません。
手作りの場合はドライフードや缶詰に水を足し、ミキサーにかけてどろどろにします。
それをシリンジ(針のない注射器のようなもの)で犬の口内にゆっくりと流し込みますが、態勢ややり方が悪いとむせてしまったり、吐いてしまったり、ときには誤飲により体調を崩してしまったりします。
流動食を食べさせる際には、かかりつけの獣医師の指導の下行うようにしましょう。
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