犬が1日に必要な水分量は?飲みすぎや飲まないときに考えられる原因
また、犬が1日に必要な水分量や飲水量を知っていますか?
適切な水分量と飲水量は犬の大きさや環境によって差がありますし、体調によっても水を飲む量は変わります。大切な愛犬のためにも、必要な水の量を把握しておきたいですね。
犬が1日に必要な水分量の計算方法や飲水量の量り方、犬が水を飲まないときや逆に飲みすぎているときに考えられる原因や対策についてをご紹介します。
新鮮な水が大切だということはわかっていても、「犬が1日に必要な水分量」や「犬の1日の飲水量」を考えながら与えている人は、多くはないような気がします。
ちゃんと飲んでくれているのか? 飲水量は足りているのか? 飲みすぎていないか? などを判断するためには、まず「犬が1日に必要な水分量」や「適切な1日の飲水量」を知っておくことが大切です。
目安を知ることで改善点や工夫点が見つかったり、病気のサインを見つけることができるかもしれません。
犬にとっての水分の役割や1日に必要な水分量の計算方法や飲水量の量り方についてご紹介します。
また、犬が水を飲まないときや逆に飲みすぎているときに考えられる原因と、その対策についてもあわせてご紹介します。
■犬にとっての水分の必要性と役割
動物の体を構成する成分は全体重の約70%が水分といわれており、私たちも犬にとっても、体内で重要な役割を担っています。
水分は「尿や便、汗や唾液、呼吸」などで絶えず失っているため、常に補給する必要があります。
犬にとって体の水分には役割があり、水分が失われてしまうとこの働きに支障が出てしまいます。
●汗や呼気で体の熱を放出したり、水を飲んで血液を循環させたりする体温調節の役割
●体の成長や維持に必要な栄養素などを体全体に運ぶ役割
●毒となる老廃物を運搬して体から排泄する役割
■犬が1日に必要な水分量の計算方法
犬が1日に必要な水分量は、いろいろな考え方や計算方法があります。
数値に幅があり「どれが正しいんだろう?」と悩む人も多いようです。
だいたい下記の方法で計算していると思いますので、参考にしてください。
また、どの計算方法でも体重が基本になりますので、まずは愛犬の今の体重をしっかり理解しておきましょう。
4種類の計算方法と犬の体重が「5kgの場合」と「10kgの場合」をそれぞれご紹介します。
①環境省発行のガイドラン
・5kgの犬の必要水分量 「370ml」
・10kgの犬の必要水分量 「630ml」
②「体重(kg)x0.05~0.07」の計算式
・5kgの犬の必要水分量は「250ml~350ml」
・10kgの犬の必要水分量は「500ml~700ml」
③「体重(kg)の0.75乗×132ml」の計算式
・5kgの犬の必要水分量は「441ml」
・10kgの犬の必要水分量は「742ml」
④「1日のエネルギー要求量と同じ水分量」の計算式
・5kgの犬の必要水分量は「421ml」
・10kgの犬の必要水分量は「708ml」
(環境省発行のガイドランの図)
■犬が1日に必要な飲水量は?
計算式による水分量とは「1日に必要な水分量」のため、実際に犬が飲む水の適切量のことではありません。
普段食べている食事によって、大きく左右されます。
ドライフードやウェットフード、手作り食や療法食によって、食事から摂取できる水分量が違うためです。
例えば、ウェットフードは水分含有量が75%程度です。そのため、ドライフードを食べている犬より、必要な飲水量が減ります。ドライフードでもふやかしてから与えている場合は、食事のときに水分も自然に摂取しているため、飲水量は減ります。
また、気温や季節によっても飲む水の量は当然変わります。体温が上がりにくく代謝の少ない冬場は飲水量が少なくなりますし、夏場の場合は飲水量が増えます。私たちと同じですね。
●1日に必要な飲水量の計算式は
「犬の体重1kg × 20〜90ml」です。
(※犬に与えているフードによって変わってきます)
私はドライフードもウェットフードも手作り食も与えています。
平均的な飲水量の中央値くらいだということと、計算がしやすいため「犬の体重×50ml」で計算しています。
■愛犬が飲んでいる飲水量を確認しておこう
愛犬が毎日どれくらい水を飲んでいるか把握するために、水を量りながら与えてみてください。
水を計量カップなどで量ってから給水場におきます。水を交換するときには、残った水を計量カップで量り、最初に与えた量から残った量を引けば実際に飲んだ量がわかります。
この方法を繰り返し、1日分(24時間)を合計すると愛犬の飲水量が量れます。
お天気や行動によっても変化がありますので、可能であれば3日間ほど量ってみるといいと思います。
少し手間がかかりますが、一度量っておけば自分も安心できますし、病院にお世話に成る際にも獣医師さんに説明することができとても役に立ちます。
一般には、1日(24時間)で、体重1kgあたり100mlを超える飲水量の場合は、異常と判断されます。
■犬の飲水量が少ないときに考えられること
≪ 元気だけど水を飲まないとき ≫
●水分が足りている
ウェットタイプのフードや手作りフードだったり、水分量の多いおやつ、野菜や果物などを与えていて「すでに水分が足りている」ときは水をあまり飲まないことがあります。
このような場合は心配は要りません。
●水を飲む環境に問題がある
時間がたってしまって水が新鮮ではない場合や、容器やその周りが汚れていたり、なにかの臭いがついてしまっていて、「水は飲みたいけれどこれは飲みたくない」と思っているのかもしれません。
また、犬種によってはマズルの長さや形状に違いがあり、「鼻と口の位置」また「食器の深さや高さ」が原因で水が飲みづらいという場合があります。
このような場合は改善点を考え、給水器本体を取りかえたり置く場所や高さを調節したり、水を取りかえる回数を増やしたりする、などの工夫してみてください。
≪ 元気がなく水を飲まないとき ≫
●ケガをしている
脊髄や足などに問題があり「水を飲もうとすると痛い」という場合は、水を飲まなくなることがあります。
足にケガをしていたりヘルニアを患っていたりすると、水を飲むときの前かがみの姿勢はつらく、飲みたいけれど痛みのほうが気になっているのかもしれません。
水を飲みたがっているけれど飲まないときや飲めないとき、歩き方が不自然な場合は原因を確認してあげてください。また、負担がかからないように場所や位置を調整してあげることも大切です。
●口腔トラブルがある
歯がグラグラしていたり、歯周病や口内炎などがあり口腔内にトラブルがおきていると、水を飲むときに痛みを感じます。このため、口に中にモノを入れたがらず水を飲まないことがあります。
歯肉が腫れていたり、口腔内がただれていたり、口臭がしたり、口や顔をひっかいたり、といった症状がでていたら、早めに動物病院で治療するようにしましょう。
●加齢によるもの
水を飲む量は年齢が関係することもあります。
高齢になると代謝そのものが低くなったり、動くことが苦手になったり、喉の渇きに鈍感になってしまったり、と水を飲む機会が減ることがあります。
●飲水量が少ない場合に疑われる病気
・ジステンパー
・犬パルボウイルス感染症
・犬伝染性肝炎
・ケンネルコフ
・コロナウイルス性腸炎
・レプトスピラ症
・泌尿器、腎臓、肝臓の病気
・中毒
・がん
など
■犬の飲水量が多いときに考えられること
少なくても心配ですが、飲む量が多いというのもさまざまな原因が考えられます。
犬が水をたくさん飲む理由は、喉が渇いているだけとは限りません。
体の状態やストレス、服薬によるものなどによっても飲水量に変化がでますので、注意深く観察しましょう。
●脱水症状
暑い時期に多いのが、脱水症状による飲水量の増加です。私たちと同じように暑いときは水分をたくさんとりたいと感じます。お散歩のあとや遊びのあとは水をたくさん飲むようになります。
●食事による多飲
食事をウェットフードからドライフードに変更した際は、水を飲む量が増えることがあります。
また、塩分が多く含まれている食事を与えた場合も水を飲む量が増えます。
●ストレス
お留守番の時間が急に増えたり、お散歩に行かれない日が続いたり、環境が変わったり。大きなストレスを感じている場合にも水を飲む量が増える場合があります。
●服薬の影響
治療に使われるお薬の中には、尿の量が増えるものもあります。服薬の影響から必然的に飲水量も増えるということが起こります。
病院でお薬をもらう際には、どのような副作用があるのかを事前に確認しておくと安心です。
●飲水量が多すぎる場合に疑われる病気
・腎臓病
・膀胱炎
・糖尿病
・子宮蓄膿症
・尿崩症
・クッシング症候群
・肝臓の病気
など
■まとめ
1日に必要な水分量や飲水量はひとつの目安です。
季節によっても異なりますし、運動量や環境によっても異なります。あまり細かい数字に縛られる必要はありません。
実際には、仔犬の頃から水を多く飲む犬や、普段から飲水量が少ない犬もいます。
水分摂取量を気にすることよりも「いつもとの違い」に気づくことのほうが大切です。
ただ、必要とされる水分量や普段の愛犬の飲水量を理解しておくことで、異変に気づきやすくなります。
急に水を飲む量が増えた場合も、急に水を飲まなくなった場合にも、病気が潜んでいる可能性があります。どちらの場合でも、飲み水の量や飲みかたに変化を感じたら、早めに動物病院を受診してください。
早期発見は愛犬の命を守ることにつながります。
愛犬に美味しい水を飲んでもらえるように、水を飲む場所の環境を整えたり、新鮮な水を絶やさないようにしてあげたいですね。
★飼い主の皆さんと大切なワンちゃんが、1日でも1分でも、長く一緒に過ごせますように★
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