原因や予防を解説!中型犬が気を付けるべき「前十字靭帯断裂」とは?
愛玩動物飼養管理士
古川諭香
[記事公開日] [最終更新日]
今回は、前十字靭帯断裂とはどんな病気なのかを詳しくご説明していきますので、ぜひ予防法も含めながらチェックしてみてくださいね。
[ 目次 ]
「前十字靭帯断裂」とは?
前十字靭帯にはそもそも、後肢の膝関節の動きを制限し、膝を伸びすぎないようにしてくれる働きがあります。
そのため、前十字靭帯が断裂してしまうと、膝関節が正常な位置からずれ、日常生活に支障をきたすのです。
主な症状としては運動を嫌がったり、歩くときにクリック音が聞こえたりします。
症状が現れたほうの足をかばうため、ケンケンをしながら歩くこともあります。
また、座ったときに後肢を投げ出したり、関節に腫れが見られたりすることもあるでしょう。
この病気は7~10歳頃に発症しやすく、最初は靭帯の部分断裂から始まります。
部分断裂の段階では犬自身も特に気にした様子を見せないため、早期発見も難しいでしょう。
しかし、部分断裂が見られてから数ヶ月以内に完全断裂が起こる可能性が高いとされています。
靭帯が完全断裂してしまうと、犬も痛みを感じるようになり、歩けなくなってしまうでしょう。
こうした症状は2~3日もすれば落ち着き、足を付いて歩けるまで回復しますが、ふんばることができないため、不自由な思いをさせてしまいます。
また、回復に向かっているからといって、そのまま放置してしまうと「変形性関節症」を患う可能性も高くなるでしょう。
そして、前十字靭帯が突然断裂した急性断裂の場合は、体重が軽い子だと数日で痛みも減退し、通常通り歩けるようになることも多いとされていますが、慢性化してしまう可能性もあるので油断は禁物です。
原因は?
前十字靭帯断裂の主な原因は、老化による靭帯の構造の変化や肥満だといわれています。
肥満体型の犬や靭帯が弱くなっている老犬は、常に膝関節に負担がかかっている状態なので、軽い運動をしただけでも靭帯が切れてしまうことがあるのです。
また、膝のお皿(膝蓋骨)が外れることで起こる「膝蓋骨脱臼」によって膝関節が不安定な状態であるときも、前十字靭帯断を招きやすいでしょう。
なお、交通事故や激しいダッシュを繰り返すことも前十字靭帯断裂の原因になるといわれています。
治療法は?
体重が重い中型犬は抗炎症剤などによる内科的治療では、症状をコントロールすることが難しく、「骨関節炎」を併発してしまう可能性もあるため、なるべく早く外科的治療を行うことが大切です。
前十字靭帯断裂の手術法は術式だけで100種類以上あるといわれていますが、最もポピュラーなのは、切れた靭帯の代わりにナイロン糸を使って関節を補強する方法です。
また、近年では膝の骨を削って角度を調節し、膝関節を補強する手術法も登場しているので、飼い犬の年齢なども考慮しながら納得できる治療法を選んでいきましょう。
予防法は?
前十字靭帯断裂を防ぐには、愛犬を肥満体型にさせないことも大切です。
肥満になると、関節にかかる負担が大きくなってしまったり、ダイエットをさせるのが難しかったりします。
だからこそ、毎日の食事量を調節したり、運動をしっかりと行ったりして適正体重を維持していきましょう。
また、この病気はコーギーやビーグル、柴犬などがかかりやすいとされています。
ですから、こうした犬種を飼われている方は定期的に検診を受け、早期発見・早期治療ができるようにしていきましょう。
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