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飼い主と愛犬は本当に似てくるの?

愛玩動物飼養管理士
川久保真由美
[記事公開日]  [最終更新日]
犬は飼い主に似てくる、という話をよく耳にしますが、皆さんはどう思われますか?
実際になんとなく雰囲気が似ているような飼い主さんと犬を見掛けることがありますが、何故犬は飼い主さんに似てくるのでしょうか。
[ 目次 ]
飼い主と愛犬は本当に似てくるの?
犬を介して親しくしている人から、「御宅のワンちゃんはあなたになんとなく似ていますね」と言われたことはありませんか?
愛犬が自分に似ているなんて、なんだか嬉しくなってしまいそうな言葉ですが、本当に犬が飼い主に似てくるなんてことはあるのか知りたいですよね。
そこで、犬が飼い主さんに似てくるのだとしたら、それはどんなところなのかを調べてみました。

犬の性格が完成するまで

犬も私たち人間と同じで、同じ犬種や兄弟犬同士であっても性格の違いはあります。もちろん犬種特有の性質のようなものは似てくるのですが、ふとした時の対応や仕草などは個体差がかなり出てきます。
なぜその違いが出てくるのか、それには大きく分けて4つの理由がありました。

①生後二ヶ月までの飼育環境
犬の性格に大きく影響をもたらすとされている飼育期間は、生後二ヶ月までの時期だといいます。
子犬はこの時期に、犬にとってはとても大切となる「犬の社会化」を、母犬や共に育つ兄弟犬から学んでいきます。
この社会化が充分に行われる前に母犬から離されてしまった子犬は、異常なまでに臆病な性格になったり、その反対で切れやすく攻撃的な性格になったりすることがあります。
ただし、これはその後の生活のなかで改善していくことは十分可能です。

②親犬からの遺伝的要因
犬の被毛の色や骨格などは、親犬からの遺伝が大きく影響します。性格もそれと同様に、半分は親犬の持つ性格が遺伝すると言われています。
特に、服従・攻撃・衝動の3つの性質は、遺伝的要素が強く出る場合があり、攻撃性があまりにも強い犬は繁殖には使用しないブリーダーもいます。

③犬種特有の性格
犬は、犬種ごとに似通った性格になることが比較的多いです。
これはその犬が本来持っている性質が性格に反映された結果で、実は似ているのは性質であって性格ではないとも判断できます。
ただし、同じ犬種同士であればその性質は当然似ているので、育て方も似通ってくる可能性が高く、結果的に性格も似てきたことが犬種ごとに性格が似ていると判断されるようです。

④飼育環境や接し方
犬の性格が確立されるのには、遺伝的要因や犬種ごとの性質が大きく関係してくるのは事実ですが、結局のところ一番大きく関係してくるのは飼育環境や飼い主さんの接し方です。
その証拠に、虐待を受けて人に対して不信感を持ち、何をするにも攻撃的な性格だった犬が、保護された先でたっぷりと愛情を持って接していったことで、時間はかかったけれども穏やかな性格の犬になったという話はたくさんあります。
ただし、根付いてしまった根本の性格はなかなか変わることは正直ありません。それでも、飼い主さんや周りの人の接し方次第で、犬は違った内面を見せてくれるようになります。

無意識に自分に似ている犬を選ぶ人

犬は人にとってパートナーとなる存在ですから、大切なパートナーを選ぶ時には、無意識に自分と似ている犬を選んでしまう場合があります。
犬と人とのマッチング実験を行った心理学者の説では、長髪の人は長毛の犬を選び、体の大きな人は大型犬を選ぶ、そして目の色が自分と同じ犬に自然に引き付けられるとも言われています。
これは、自分と似ているものへの安心感や親近感が、無意識のうちにそうさせているからだとされています。

飼い主と愛犬は本当に似てくるの?

身近な人の性格が犬に影響を与えることもある

犬にとって一番身近で大好きな人は、やはり生活を共にしている飼い主さんでしょう。
犬は見ていないようで、人の行動や気配などをよく見て感じとっていると言われています。そのため、大好きな飼い主さんの行動を見続けているうちに自然と似てしまうことがあります。
例えば、常にテンションが高く賑やかな人の犬は同じように元気いっぱいの犬になり、言動が常に落ち着いている人の犬は、同じように物静かな犬に成長することが多いです。
さらに、ことある事にすぐに怒鳴り散らすような人の犬は、やはり同じようにすぐに吠えて攻撃的になることもあります。

犬から影響を受けることもある

犬が飼い主さんの影響を受けて性格が形成されることはよくありますが、その逆も時々見受けられます。特に犬が大好きな人ほど、この傾向は表れます。
例えば、運動が大好きで社交的な犬を飼った場合、飼い主さん自身はインドア派で内向的な性格であっても、大切な犬のために外に出て運動をさせてあげようと努力します。
その結果、今までは遭遇しなかった人に会い、犬を通して会話を交わすようになり、自然と犬を伴わない時でも社交的に振舞えるようになることもあります。
その逆のパターンもあり、のんびりと過ごすのが好きな犬を飼った場合、犬と一緒の時間を過ごすために自宅でゆっくり過ごす時間が増え、そのうちにあれだけ外出をするのが好きだったのに、家でゆっくり過ごす楽しみを見付けて外出をしなくなったということもあります。

まとめ

犬の性格について紹介をしてきました。
犬の性格は、元々持って産まれた性質や飼育環境によって変わってきますが、何よりも一番大きく影響を与えるのは、飼い主さんの接し方になります。
常に深い愛情を持って共に過ごしていれば、犬はその愛情をしっかりと受け止め、お互いが素晴らしいパートナーだと思えるようになっていきます。
そうなった結果が、おそらく周囲の人からは雰囲気や性格が似ていると表現されるのでしょう。

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