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猫の中毒の原因となる食べ物や植物、その症状と治療法について

動物看護士
宮井智美
[記事公開日]  [最終更新日]
最近では飼育頭数も増え、室内で飼われる猫が多くなってきました。しかし室内には猫にとって危険な中毒を引き起こす物質も身近にあるのが現状です。そこで今回の記事では猫は何によって中毒になるのか、またその際の症状や治療法についてまとめました。
[ 目次 ]
猫の中毒の原因となる食べ物や植物、その症状と治療法について

猫に中毒を引き起こす身近な食べ物

人間でも食中毒があるように、猫も食中毒に似た症状を引き起こすことがあります。しかし人間では普通に食べている食べ物でも、猫にとっては中度を引き起こしてしまうことがあるのです。では、どのような食べ物を与えると中毒を引き起こしてしまうのでしょうか?

まず代表的なものが玉ねぎです。犬でも中毒を引き起こす食べ物として広く知られています。玉ねぎだけでなく、ニラやニンニク、長ネギなども中毒を引き起こします。
注意していただきたいのが、玉ねぎなどをそのまま食した場合はもちろんですが、煮汁にも中毒になる物質が含まれます。そのため肉じゃがなどの肉を与えた場合も、玉ねぎのエキスを摂取することになるので中毒になることがあるのです。

次に、チョコレートも猫にとっては危険な食べ物になります。
チョコレートに含まれているカカオが中毒を引き起こすため、ホワイトチョコレートよりカカオ含有量の多いビターチョコレートやブラックチョコレートなどが特に危険です。そのためチョコレートだけでなく、カカオを使用しているココアなども中毒を引き起こす原因となってしまいます。
体重3㎏の猫であれば板チョコ2枚ほどで中毒を引き起こすと言われていますが、カカオ含有量が多いチョコレートの場合は板チョコ1枚ほどで致死量に達してしまうこともあります。また中毒を引き起こす量は体重や体格、また体質によって大きく変わってくるため、少しでもカカオが含まれている食べ物は与えないようにしましょう。

そして意外と知られていませんが、ブドウも猫に中毒をひき起こします。小柄な猫の場合、巨峰2粒でも命に関わる危険な状態になってしまうことがあるのです。
またブドウを乾燥させたレーズンも与えてはいけません。レーズンは乾燥させて中毒となる物質がギュッと濃縮されているため、少量でも猫にとっては危険になります。レーズンが入ったパンやお菓子などにも注意しましょう。

猫の中毒の原因となる食べ物や植物、その症状と治療法について

猫に中毒を引き起こす身近な植物

猫が中毒になってしまうものは、食べ物だけではありません。
部屋などに置いている観葉植物や、庭の花壇などの植物にも猫にとって危険になるものがあります。
玉ねぎなどと同様、球根からなる植物は猫が誤って食べてしまうと中毒を引き起こすことがあり、代表的なものですとスイセンやヒヤシンス、チューリップなどです。葉や花を食べるだけでは重篤な中毒に陥ることはありませんが、球根部分を食べると非常に危険です。
また、観葉植物として人気のポインセチアも猫に中毒を引き起こします。部屋にインテリアとして飾るのは控えたほうが良いでしょう。

猫の中毒の症状

猫が中毒を起こした際の症状は、何が原因で中毒に陥ったかによって大きく異なってきます。
玉ねぎや植物の中毒の場合、ネギに含まれる成分が体内の赤血球を破壊してしまいます。そのため溶血性貧血という状態になり、ふらつきや下痢嘔吐、粘膜の色が白くなるなどの症状が表れます。重症になると呼吸困難や血尿が出てしまい、早急に治療しないと死亡することもあるでしょう。

チョコレートを食べてしまった際にはチョコレートに含まれるテオブロミンという成分が不整脈や心不全、呼吸困難を引き起こします。心臓の症状は目に見えにくく、急激に病状が悪化し突然死の恐れもあるため早期の治療が重要です。

ブドウの中毒の場合は腎臓の機能障害が起こり、急性腎不全になってしまいます。初期では下痢や嘔吐、元気消失などの症状が表れますが、進行してくると重度の脱水や乏尿(尿が作られなくなってしまう事)など命に関わる場合があるため注意が必要です。

猫の中毒の治療法

猫の中毒が疑われた際には、主に内科療法での治療になります。呼吸困難を呈している場合などは酸素の充満した集中治療室で治療を行うこともあるでしょう。
症状に応じて点滴を行い、血液検査やレントゲンなどを確認しながら数日~数週間治療が必要です。
また中毒の原因となった物質が大量に胃の中に残っている場合は、体内に残った原因物質を除去し、状態の悪化を防ぐため胃洗浄や催吐処置を行うこともあります。中毒になる物質が体内に吸収される前に処置を行うことが出来れば、その日のうちに自宅に帰ることも出来るでしょう。

猫の中毒の予防

猫の中毒を予防するためには、飼い主が気を付けてあげなければなりません。中毒の原因となる物質を使った食べ物は、猫がいる部屋に置いたままにしないよう注意しましょう。レーズンパンなどは包装されていても破って食べてしまう危険があるため、棚にしまうなどの工夫をすることで防ぐことが出来ます。

また猫には草を食べて毛玉を吐き出すという習性があるため、中毒になる植物でなくても食べてしまう恐れがあります。消化不良の原因にもなりますので、観葉植物は猫がいる部屋には置かないようにしましょう。
猫が中毒にならないよう予防するためには、飼い主の工夫が必要不可欠です。
猫に辛い思いをさせないよう、常日頃から生活環境を整えてあげましょう。

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