猫の皮膚病「ホットスポット」について
ホットスポットの症状
猫のホットスポットは別名「急性湿疹」や「化膿性外傷性皮膚炎」などと呼ばれ、皮膚が部分的に炎症を起こした状態となります。
ホットスポットには痒みがあるためしきりに舐めたり、爪で引っ掻いたり、病変部位を擦りつけたりします。そのため掻き壊してしまうことも多く、適当な治療を行わないと爪痕によってどんどん炎症がひどくなってしまいます。
また、ホットスポットの部分には脱毛が起こります。皮膚自体は問題ない場合もありますが、炎症がひどい場合は膿や血液で固まってしまうこともあるでしょう。しかし痛みがあることから人間が触ることを嫌うため、病変部を見ようとするときには怒って引っ掻いてくることもあり注意が必要です。
ホットスポットの原因
猫がホットスポットを発症してしまうのには様々な原因が考えられます。代表的な原因をいくつかご紹介しましょう。
まず一つ目の原因が衛生面です。梅雨時期などはどうしても湿気が多く、被毛の下が蒸れてしまい細菌がどんどん繁殖し、ホットスポットを引き起こしてしまいます。
猫は毛づくろいを行うために自身の唾液を付けてグルーミングを行いますが、この時期はその唾液から細菌感染してしまうことも多くあるでしょう。特に被毛の多い長毛種は梅雨時期から夏場はなりやすく悪化しやすい傾向にあります。
また被毛の手入れを怠り毛玉が出来てしまった際もホットスポットになってしまうことがあります。毛玉の根元の皮膚の通気性が悪くなってしまい、皮膚が引っ張られてしまうことによって炎症が起こってしまうのです。
二つ目の原因はアレルギーです。猫の中には生まれつきの体質でアトピーや食物アレルギーなどのアレルギー体質の猫がいます。そのような猫はアレルギー体質ではない猫に比べるとよりホットスポットが出来やすくなっていると言えるでしょう。
またアレルギー体質でなくとも、ノミやダニに寄生されアレルギーを引き起こしてしまうことがあります。アレルギーで皮膚が炎症を起こしていると皮膚のバリア機能が弱くなってしまうので、ホットスポットになりやすくなってしまうのです。
三つ目の原因は外傷です。外出する猫や外で飼育されている猫はどうしても怪我をすることが多くなります。怪我をすると猫は怪我の部分を舐めて治そうとしますが、そこから唾液を介して細菌が入りこんでしまうことからホットスポットが引き起こされてしまいます。
怪我が治りかけてかさぶたが取れてしまった時なども炎症を引き起こす原因となり、しっかりと治療を行わないと繰り返し皮膚病になってしまうこともあるでしょう。
また室内のみで飼育している猫でも、爪のひっかき傷や同居猫同士の喧嘩など、ほんの小さな傷でもホットスポットを引き起こしてしまうことがありますので注意が必要です。
ホットスポットの治療法
ホットスポットは主に塗り薬で治療します。
まずさらに細菌感染を起こさないように患部の周りの毛をバリカンで刈ります。
そして傷口の状態によって薬用シャンプーで洗浄したり、消毒を行ったりした後に化膿止めの抗生物質を塗布するのです。傷口の炎症がひどい場合には副腎皮質ホルモン(ステロイド)を使用することもあるでしょう。
また、かゆみがひどい場合などは同時に上記薬剤の内服薬も投与し、体内外から治療を行うこともあります。猫が痒みのために傷口を舐めたり引っ掻いたりしてしまう場合には傷口を保護するためにエリザベスカラーを装着し、患部を保護します。
皮膚を保護するため洋服を着せることも出来るのですが、猫は洋服を嫌がってしまうことも多いものです。服による保護を希望される場合には皮膚病の猫専用の皮膚保護服という体に密着するようなものを使用すると良いでしょう。
ホットスポットは非常に再発率が高い皮膚病です。そのため治療は必ず最後までしっかりと行い、途中で良くなったと思って飼い主判断で治療を終了することは絶対にやめましょう。
ホットスポットの予防法
ホットスポットは繰り返すことの多い病気です。そのため一回かかってしまったら常に注意深く皮膚を観察してあげましょう。
ホットスポットを予防するためには、何より皮膚を清潔に保つことが重要です。
長毛種であれば被毛の通気性を良くするためにサマーカットにトリミングを行ったり、毛玉が出来ぬよう毎日欠かさずブラッシングを行ってあげたりすると良いでしょう。
またシャンプーなどを行った後はどうしても被毛の下に湿気が残りやすく蒸れてしまうので、しっかりと乾かすようにしましょう。
アレルギー体質の猫であれば、アレルギーを引き起こさないようにすることも大事です。
何がアレルゲンになっているのかを検査をし、アレルギーを引き起こさない生活を心がけましょう。
そしてノミやダニの予防をしっかりと行うことも大切です。
春から秋にかけては室内でもノミやダニが繁殖してしまうことがあるため、動物病院の処方薬で確実に予防するようにしましょう。
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