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犬の低タンパク症について

獣医師
福吉春希
[記事公開日]  [最終更新日]
犬の低タンパク症で頭を悩ませる方が多いと思います。
内服から食事療法まで少しでも参考になればと思います。
[ 目次 ]
犬の低タンパク症について
一口に犬の低タンパク症といっても 原因は様々です。
まずはしっかりと原因を特定して 適切な治療を開始して行くことかが重要です。

低タンパク症とは?原因は?

低タンパク症は十二指腸や腎臓などからタンパクが漏れる、あるいは肝臓での蛋白合成がされていないなど原因は様々です。
原因として
1.重度の膵炎による十二指腸の炎症 それに伴い蛋白が漏出してしまう。
2.リンパ管拡張症による蛋白漏出
3.肝硬変などによる蛋白合成不足
4.門脈血栓などによる蛋白の漏出
5.食物アレルギーによる蛋白の漏出
6.腎臓からの蛋白漏出
などがあげられます。

犬の低タンパク症について

臨床症状

臨床症状としては腹水、胸水、血栓症、下痢、嘔吐などの消化器症状などが現れます。
他にも食欲や元気の消失など一般的なコンディションにも問題が出てきます。

犬の低タンパク症について

検査と鑑別

低タンパクの検査としては、血液検査、超音波検査、尿検査などにより診断が可能です。
また、腫瘍性病変やリンパ管拡張症を判別するため CT検査や内視鏡検査が有用とされています。
まずは、どこからの蛋白漏出なのかそれを見極めることが重要とされています。

犬の低タンパク症について

治療

消化器から蛋白が漏出している場合 まず選択されるのはステロイドだと思います。
ただ、上記の通りしっかりと鑑別して からステロイドを使用しないと他の疾患 たとえばリンパ腫のような疾患がマスクされてしまうので注意が必要です。
ステロイドでも低タンパクが改善しない場合は免疫抑制剤を使います。代表的なものとしてシクロスポリン、ミコフェノール酸モフェチル、タクロリムス、レフルノミドなとがあげられます。
腹水や胸水がたまってしまう場合は利尿剤を併用してもらいます。フロセミドやスピロノラクトンなどですが、フロセミドはカリウムも排泄してしまうため低カリウム症に注意が必要です。
アルブミンが低値を示す場合、血栓症にも配慮しなくてはいけなく クロピドグレルやアスピリンなどを処方して対応してください。

犬の低タンパク症について

食事療法

前述の通り 内服による治療も重要ですが、近年 研究が進み食事療法のみでも効果を示す患者が多いとも言われています。全ての低タンパク患者に検査を行うと費用的に厳しい方も多いのが現状です。
ウルトラローファット食療法を試してからでも遅くないかもしれません。
具体的にはジャガイモと鳥のササミあるいは白米とササミのみという超低脂肪食です。
ステロイドなどが効かず手詰まりな患者では逆にウルトラローファット食にて改善する例も見られています。
あるいは、低脂肪の療法食なども効果としては高いと考えられます。

犬の低タンパク症について

まとめ

低タンパクは大きく症状が出るため見落とされるケースが多いです。
腹水や胸水がたまりだし、気付いた時にはかなりの浮腫を伴っていることも少なくありません。
下痢や食欲の低下など 細かなことを見落とさず しっかりとした診断と治療を受ければ改善していく可能性の高い疾患と言えますので是非 この記事を参考にしていただければと思います。

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