犬と飼い主さんの絆を深める「オキシトシン」見つめ合って触れ合って
犬と人は約2万年前からの友
犬と人の歴史は長く、いろいろな説がありますがだいたい2万年前から4万年前ほどから一緒に暮らしてきたと言われています。狩猟のおこぼれをもらう代わりに、犬は人や食料である穀物を守っていたのでしょう。
長い時間をかけ、犬と人はお互い欠かせない存在となっていきました。獲物を回収する犬やアナグマ猟に適した犬など、いろいろなシーンやシチュエーションに適した犬が生まれていき、現在は400種類を超える犬種ができたと考えられます。もちろんミックス犬もたくさんいて、1匹1匹の犬それぞれ個性や魅力があります。私たち伴侶として、いつもそばにいてくれるのは何よりのよろこびですね。
犬との触れ合いで心が癒される理由
犬と散歩しているとき、身体をなでているときなど犬を目が合うことがよくあります。私たちはこのとき「犬と心が通じ合っている」気がして、温かい気持ちになります。犬もどことなくうれしそうで、穏やかな表情をしている気がします。
嫌なことがあっても、犬と触れ合って温もりを感じているうちに気持ちが落ち着いてきたり、だんだんほっとしてきたりすることもあります。これは決して気のせいではなく、きちんと科学的根拠があります。
犬と見つめ合い触れ合うことで、犬にも人にもオキシトシンが分泌されることが、麻布大学獣医学部の菊水健史教授の研究によってわかりました。オキシトシンというホルモンが、犬と人の絆形成に欠かせない物質です。
別名「幸せホルモン」オキシトシンとは?
オキシトシンとは、どういったホルモンなのでしょうか?オキシトシンはメスの乳汁の分泌、子宮収縮の働きがあることで、もともと有名なホルモンでした。近年は母子の絆だけでなく、男女にかかわらず社会的な信頼関係やパートナー同士の絆にも大きく関わることがわかっています。
人との絆に関わり、不安やストレスを和らげる作用もあるため「絆ホルモン」「癒しホルモン」「幸せホルモン」と呼ばれることがあるのはこのためです。
犬と人という異なる動物間でも、見つめあって触れ合うことでオキシトシンが分泌されて絆が深まるのは不思議ですが、うれしい気持ちにもなりますね。
犬と視線で会話する
犬と人との関わりで欠かせないコミュニケーションに、「視線を交わす」ということがあります。人間の目は、白目と黒目がはっきりしています。そのため顔は前を向いていても、視線が窓の外を見ていれば、「窓の外に気になることがあるのだな」とわかります。
同じように犬も普段は黒目がちですが、白目とのコントラストが明確です。そのため、どこを見ているかがよくわかります。これは群れで狩りなどをする際、仲間同士どこを見ているかを把握する必要があるため黒目と白目が発達したと考えられています。
散歩に行きたいときは、リードと飼い主さんの顔を交互にみる、おいしいおやつの入った冷蔵庫をじっと見つめるなど、犬の視線に根負けした経験のある飼い主さんもいらっしゃるのではないでしょうか。
ちょっと実験をしてみましょう。おやつの入った箱と、何も入っていない箱を用意します。犬の前でおやつの入った箱を見たり、指を差したりしてみてください。多くの犬が、おやつの入った箱を見事当てることができると思います。もしできなくても犬それぞれの個性があるので、気にしないでください。
頭がいいと言われるチンパンジーには、人の視線や指差しがなかなか理解できないことがわかっています。犬と人だからこそ、視線での会話ができるのですね。
<おすすめ動画>
<関連記事>
犬も寝不足になるの?適正な睡眠時間とは犬は人よりもよく寝るイメージがありますが、犬の適切な睡眠時間は何時間になるのでしょうか? 犬の睡眠時間について紹介します。
<関連記事>
愛犬のサインに気づくためには?カーミングシグナルについて紹介普段の愛犬の何気ない行動は、実は愛犬からのサインかもしれません。犬が緊張したりするときに自分を落ち着かせるために行う行動を「カーミングシグナル」と呼びます。本記事はこちらのカーミングシグナルについて紹介します。
<関連記事>