動物看護師の仕事
どうすれば動物看護師になれるの?
人間医療の看護師とは異なり、国家資格はありません。最近では認定試験が導入され、試験に合格すると「認定動物看護師」と呼ばれるようになります。動物病院によってはこの資格を持っていることが採用条件となっていることもありますが、資格がなくても採用している病院もあります。
動物看護師になると、どういうことができるの?
実は現在の法律では、動物医療に獣医師以外が加わることは想定されていません。つまり、獣医師の監視下であろうとなかろうと、獣医師以外のスタッフが診療行為を行なってはならないのです。しかしながら、獣医療ではどこまでの行為が診療範囲に含まれるのかという明確な規定がありません。そのため、病院によって動物看護師の職務内容が異なるというのが実情です。
実際の動物看護師の仕事の流れ
朝の出勤時間は動物病院の規模によって変わります。スタッフが複数いる病院では、シフト制にして過重労働にならないように配慮しています。早番シフトのスタッフは外来診療が始まる前に出勤して、入院動物のチェックや検査機械の準備を行います。入院動物の健康管理は動物看護師の重要な業務です。床替えといって便や尿の片付けをしながら動物の健康状態に問題がないかを確認します。床替えが終わると、その子達を獣医師が診察する補助を行います。血液検査やレントゲン検査の補助をしたり、必要に応じて糞便検査や尿検査を行います。そして食事の管理です。食事はその子その子によって必要量や食べさせるフードの種類が決まっているので、獣医師の確認を取りながら与え、食欲の有無を確認します。
外来診療が始まると、その間は受付業務、診療補助、会計業務が主な仕事になります。受付では患者さんがどのような用件で来院されたのか、また動物の状態に緊急性がないかどうかを確認します。急患の患者さんが来院された場合は、受付スタッフのその瞬間の判断が動物の生命を決定づけることもあります。そのためにも、日頃から病院内で急患対応の流れについてはしっかりと情報共有します。初診の患者さんがいらした場合は、診療時間など病院の案内をしてカルテ作成を行います。診察をスムーズに行うためにも、受付で的確に情報を聞き取ることはとても重要です。また、電話で問い合わせが来ることもあります。診療時間や価格についての問い合わせも多いですが、「今こんな状態だけど、どうすればいいか」という問い合わせもたくさん来ます。それらについては獣医師の確認を取って案内します。診察時は、病院によって診察室に看護師が常駐する場合と、必要に応じて補助に入る所があります。どちらの場合も、看護師は動物が診察台から落ちないように注意を払いながら、ペットオーナーと獣医師の間をつなぐ役割を果たします。また、採血や耳掃除、爪切り、肛門腺絞りなどの処置の時には動物の保定をします。診察が終わったら、会計の準備です。薬が処方されている場合には、薬の用法用量について説明します。薬を飲ませたことがないペットオーナーには、分かりやすく説明します。投薬ができないと治療にならないため、ペットオーナーの不安な気持ちを汲みながら具体的に説明することが大事です。最近ではペット保険に加入されているペットオーナーも多く、窓口清算をしている病院も増えています。その場合、レセプト処理も看護師の業務になります。保険適応・不適応の知識が必要になります。
薬剤の管理も重要な業務です。診療の合間や休診時間を利用して行います。在庫数や使用期限を確認して、不足分は発注を行います。
看護師が手術をすることはありませんが、その周辺の業務に携わります。まずは手術器具の準備です。基本的に手術器具は滅菌処理をして準備をしておきます。その時の手術によって必要な器具は変わるため、獣医師の確認を取って不備がないように準備します。また、手術中は看護師が麻酔管理を行うことがあります。ただし、これは看護師が判断して麻酔薬の調節をするのではなく、麻酔状態のチェックを行い、変化が見られた場合に獣医師に報告してその指示を受ける、という形になります。つまり心拍数や呼吸数、血圧、酸素飽和度などを確認して報告する、またその変化を瞬時に把握するという能力が必要になります。手術が終わると、手術器具の洗浄と滅菌処理を行います。手術後の動物の状態確認もこまめに行います。
外来診療が終了すると、後片付けや売上の確認を行います。そして入院動物の夜の管理を行い、1日の業務は終了します。
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