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猫の口内炎の原因と治療について

獣医師
高橋 渉
[記事公開日]  [最終更新日]
・猫の口内炎の原因
・猫の口内炎は症状
・猫の口内炎の治療
・猫の口内炎の予防
[ 目次 ]
猫の口内炎の原因と治療について
猫の口内炎は、犬などに多く見られる歯肉炎や歯周炎とは異なり、猫の歯周以外にも口の粘膜や舌といった口の中全体に発赤や潰瘍などが起こる病気です。多くは4歳以上の成猫から見られ、現在でも獣医師にとって治療困難な難治性の疾患です。猫に多いこの病気について解説します

猫の口内炎の原因

猫の口内炎の原因は、多くの研究によってさまざまな細菌やウイルスが関与している可能性や他にも自身の歯に免疫反応異常が見られている可能性などが挙げられているが確定はされていません。エイズや白血病ウイルスにより重篤化するケースもありますが実際に感染と症状が一定しないこともあります。ただし、腎機能障害、栄養不良、甲状腺疾患や有害な植物などによっても炎症が起こり、それらが口内炎と関連している可能性もあります。また多頭飼育の環境にいる子で発症が多いようです。

猫の口内炎の原因と治療について

猫の口内炎は症状

この病気の症状は口内炎の程度によって異なります。軽度から中等度だと口の中が敏感になることで口を触られるのを嫌がる、涎を垂らす、前肢が汚れるなどの症状が見られます。より重度になり強い痛みが起こると食欲不振や体重減少などの症状が見られます。また扁平上皮癌などの腫瘍性疾患の場合、同じような症状が見られかつ肉眼的には鑑別が困難な場合があるので注意が必要です。

猫の口内炎の治療

先に述べたように猫の口内炎は、原因が特定されておらず多くが難治性のため内科的な治療は対症療法になることが多く、最終的には痛みがコントロールできない場合外科的な治療になる可能性が高いです。また内科的治療のうちどの治療が効果的に作用するかは、治療の反応をみて選択する場合があります。

内科的治療
① 口腔内の衛生管理
歯垢歯石が多くない場合、クロルヘキシジンなどの消毒剤による清拭で炎症をある程度抑えることが期待できます。
・抗生剤、抗ウイルス剤
種々の抗生剤やインターフェロンなどの抗ウイルス剤が口内炎を起こす細菌、ウイルスに作用して炎症を抑えることが期待されます。しかし、その効果は多くの場合一時的なものとなります
② 鎮痛剤
痛みが強く食欲低下などがある場合、NSAIDsやオピオイドといわれる鎮痛剤の投与によって緩和できる可能性があります。
③ 抗炎症剤
内科療法において最も効果が期待できるものとしてステロイド剤の投与があります。しかし、長時間の使用は副作用の可能性を高めるため、使用する場合は副作用の確認を定期的にすべきです。また可能な限り投与量を減らし、副作用を起こりづらくするために他の内科療法を併用する必要があります。他の抗炎症剤としては、シクロスポリンの投与があるが同様に副作用の発現の可能性があり、また製剤による吸収率の違いあり注意が必要です。
④ その他
リゾチーム、ラクトフェリンなどの各種酵素が含まれたデンタルジェルの口腔内塗布が行われる場合もあるが効果は限定的である。

外科的治療
① 歯垢歯石の除去
歯周病を併発しており歯垢歯石が沈着している場合、麻酔下で超音波スケーラーといわれる機械を用いてそれを除去することにより歯への刺激を抑え、炎症を抑えることができます。また、ブラッシングなどにより歯垢の除去が可能になればより再発を遅らせることができる可能性があります。
② 抜歯
口内炎の治療において最も効果があり根本的な治療になる可能性があるのが外科的な抜歯です。この口内炎の治療においておこなう抜歯には、全臼歯抜歯と全顎抜歯という2つの方法があります。
・全臼歯抜歯
臼歯といわれる猫の奥歯を抜くことで60%程度の子に効果があり、そのうち数年かけて完治する場合や早いもので1~2カ月で口内炎が完治する場合もある。また、炎症が起こっている部位の抜歯のみでも効果があるとの報告もあり、手術を行う前に獣医師との十分な相談、検討が必要である。
・全顎抜歯
猫の歯をすべて抜くことで90~95%程度の子が改善する方法です。しかし、全ての歯を一度に抜くことは極めて身体へのダメージが強く、麻酔も長時間に及ぶことが多いため、多くの場合はまず全臼歯抜歯を行い、治療効果を見たうえで必要であれば行うことが推奨される。

上記の二つの手術を行った場合でも症状が残るもしくは改善が見られない場合もあり、最終的には内科療法を続けなければいけない場合もある。

猫の口内炎の予防

この病気は、確実な予防法が確立されてはおらず、そのため一般的な口腔内の衛生管理が予防になると考えます。また、多頭飼育の環境に多い事などからストレスや細菌、ウイルスの移しあいなども関わる可能性もあるためできる限り、多頭飼育の場合一人一人に十分なスペースを与えるなどストレスフリーな生活環境を心掛けてみてください。

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