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犬や猫と一緒に暮らす飼い主さんが春先に気をつけるべきこと

ペット飼育管理士
増田暢子
[記事公開日]  [最終更新日]
春先は自身の生活環境が変わり、ストレスが増える時期です。そのストレスは、そのまま一緒に暮らしている犬や猫にも伝わります。こういったストレスや春先特有の気候などが思わぬ体調不良につながります。どういった点に気をつけるべきなのかについてまとめました。
[ 目次 ]
犬や猫と一緒に暮らす飼い主さんが春先に気をつけるべきこと

春先は病気予防にストレス管理と注意すべきことがたくさん

3月から5月頃にかけての春先には、犬や猫の飼い主さんにとって注意すべきことがたくさんあります。それは病気予防に対してだったり、ストレス軽減に対してだったり、発情期に対してだったりと色々です。

この時期は、飼い主さんにとっても生活環境が変わることの多い時期なので、もしかすると自分のことだけで精一杯という状況かもしれません。しかし、飼い主さんが平常心でいられないということは、それが愛犬や愛猫にストレートに伝わってしまい、彼らをも不安にさせてしまいかねません。

こんな時期だからこそ、落ち着いて愛犬や愛猫を気遣い、お互いが健康で快適に暮らせるようにすることが大切なのではないでしょうか。

ストレス予防のために気をつけるべきこと

冒頭でも述べた通り、日本では、春先というのは飼い主さんの生活環境に変化が生じやすい時期です。進学、就職、異動等による生活の変化やそれらに伴って発生する引越しなどです。こういった変化は、飼い主さんにとってとてもストレスになることでしょう。

ストレスがかかると、ストレスホルモンと呼ばれるコルチゾールやアドレナリン、ノルアドレナリンなどのホルモンが分泌されます。コルチゾールは平常な時は糖やタンパク質、脂質の代謝などに関与している大切なホルモンですが、ストレスにより分泌量が多くなると、血糖値や血圧を上昇させます。これは、危機的な状況に立ち向かうために必要な反応なのですが、コルチゾールは免疫を抑制する作用もあるため、ストレスを受ける期間が長くなると感染症にかかりやすくなるというマイナス面も出てきます。また、高血糖や高血圧が続くことで糖尿病や心臓病悪化のリスクが高まります。

アドレナリンやノルアドレナリンは神経伝達物質で、交感神経を興奮した状態にするホルモンです。心臓の収縮力や心拍数を増やしたり、筋肉や臓器の血管を拡張させたり、血糖値を上昇させたり痛みを感じさせなくする一方、消化機能を抑制する作用があります。これらの作用により体を目の前の危機に集中できる状態に引き上げますが、この状態が長期に渡るとリラックスできなくなり、体調を崩してしまうことになってしまいます。

これらは飼い主さんだけの問題ではありません。一緒に暮らしている犬や猫は飼い主さんのストレスを感じ取り、そのまま自分のストレスとして感じてしまいます。そして、同じように体調を崩してしまうことになるのです。

生活に変化が生じた時は、いつも以上に愛犬や愛猫の様子を気遣い、少しでもストレスを軽減させられるように注意してあげましょう。特に引越しなどで新しい場所に移るような場合は、今まで慣れ親しんでいた物(寝床、タオル、おもちゃ、食器等)を、においを残したままの状態で引越し先に持ち込み、愛犬や愛猫の身近な環境において落ち着ける場所を作ってあげましょう。また、コミュニケーションを積極的にとったり、しっかりと運動をさせてあげたりということを心がけましょう。

ストレスだけに限りませんが、愛犬や愛猫の異変を早期に発見するためには、日頃からよく観察をし、下記のような症状や行動が見られた場合はかかりつけの動物病院に早めに相談することをおすすめします。
・元気がない
・食欲がない
・下痢や便秘をする
・脱毛する
・自分の体をしつこく舐めたり噛んだりする
・頻繁にあくびをする
・隠れていたり離れたところにいたりして単独になりたがる
・無駄に吠えたり攻撃的になったりする
・決められた場所で排泄できない 等

病気予防のために気をつけるべきこと

次に春先特有の、病気予防のために気をつけるべきことをご紹介します。

犬と一緒に暮らしている飼い主さんは、毎年春になると保健所から狂犬病予防注射の案内が届くはずです。犬の場合、法律で「犬の飼い主は毎年1回、4月1日から6月30日までに狂犬病予防注射を受けさせなければならない」と定められています。つまり犬の飼い主さんは、この時期は必ず狂犬病予防注射を受けさせなければなりません。

それと同様に、春先はフィラリアやノミ・ダニの予防対策を始める時期でもあります。たとえ完全室内飼いであったとしても、家の中に蚊やノミ・ダニを絶対に入れないということは不可能です。愛犬や愛猫の健康を守るためには、フィラリアやノミ・ダニの予防もしっかりと行うことが大切です。

さらに、春先から花粉の飛散が始まり、花粉症が始まります。花粉症は人だけの病気ではありません。犬や猫にもアレルギー症があり、その一環として花粉症やアレルギー性皮膚炎を発症するケースが少なくありません。花粉の飛散を止めることはできませんし、犬や猫にマスクをかけさせることもできませんが、飼い主さんがなるべく花粉を室内に持ち込まないようにする、空気清浄機を使用する、洋服を着せることで愛犬や愛猫の体に花粉が付着しないようにする等の対策をしてあげましょう。

また、意外かもしれませんが、春先は犬や猫の熱中症が増える時期でもあります。犬や猫は汗をかいて体温を調節することができないため、人と比べると遥かに暑さに弱いのです。しかも、被毛が夏毛に変わる換毛期が済む前は余計に暑さに弱い状態になります。しかも飼い主さんはまだ熱中症への警戒を始めていませんので、この時期の動物病院は、意外と熱中症による来院が増えるのです。まだ夏ではないからと油断せず、エアコンなどをうまく利用して、温度と湿度をしっかり管理してあげましょう。特に、湿度が高いと熱中症になりやすいので湿度管理は大切です。

発情期だから気をつけるべきこと

犬にとっても猫にとっても、春先は発情期のシーズンです。未去勢・未避妊の犬や猫の場合、発情すること自体がストレスになる場合もあります。また、外で暮らしている野良猫の発情が室内で暮らしている猫へのストレスになることも少なくありません。発情期は、特有の泣き声やにおいを出しますので、カーテンなどもうまく利用しながら、声やにおいを室内の愛犬・愛猫たちから遠ざけるようにしましょう。

また、未去勢の場合、オスはペアとなるメスを求めて脱走を図ったり、他の犬や猫を追い回したり攻撃したりといった行動を起こします。繁殖を望んでいない場合は、犬も猫も、去勢・避妊手術をすることをおすすめしますが、未去勢の場合は特にオスの行動に対していつも以上に注意を払うことが大切です。

また、犬も猫も、メスの発情はオスの発情を誘発します。未避妊のメスが発情期になった時も、散歩やドッグランへ連れ出すことは避けるようにしましょう。

飼い主さんにとっても変化の多い時期だからこそ気をつけてあげよう

春先は、飼い主さんにとっても変化が多く、ストレスの多い時期でしょう。それがそのまま愛犬や愛猫にも伝わってしまいます。また、人と犬や猫の体の作りの違いから、思いも掛けない病気になることもあります。

飼い主さんにとって忙しくストレスフルな時期だからこそ、一旦冷静になって愛犬や愛猫への心遣いをすることで、お互いに健康で快適な暮らしを続けられるようにしましょう。

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