ワクチンで予防できる犬パルボウイルス感染症ってどんな病気?
定期的なワクチンの接種によって予防している方も多いと思いますが、犬パルボウイルス感染症とはどんな病気なのか理解していますか?
漫然とワクチンを受け続けていませんか?
そこで本記事では、犬パルボウイルス感染症について詳しく解説していきます。
最後まで読んで頂き、感染症予防の意識を高めて頂ければと思います。
犬パルボウイルスに感染しやすい犬種や年齢
犬パルボウイルスは全ての犬に感染します。
その中でも、ドーベルマン・ピンシャー、ロットワイラー、ラブラドルレトリバー、イングリッシュ・スプリンガー・スパニエル、ピット・ブル・テリアでは感染しやすく、症状も重篤化しやすいと言われています。しかし、これの生物学的根拠は不明です。
また、犬パルボウイルスは免疫系の発達していない子犬や、免疫力の低下している老犬で感染しやすい傾向にあります。
犬パルボウイルスの感染経路
犬パルボウイルスは糞便中に多く排出され、これを介して経口感染します。
また、ウイルスは環境中で非常に安定で、数か月にわたって生存し、感染能を有することがわかっています。
靴などに付着し、室内外を問わずあらゆる環境に持ち込まれます。
犬パルボウイルス感染症の症状
犬パルボウイルス感染症の症状は、腸炎型と心筋炎型に分類されます。
・腸炎型
症状は、離乳期以降の全ての年齢で見られます。
発熱、元気消失、食欲不振といった全身症状の他に、嘔吐、下痢といった消化器症状が現れます。
下痢は次第に水様となり、最終的には出血性水様下痢となります。
激しい嘔吐や下痢によって脱水状態となり、特に子犬では低循環性ショックに陥ります。
また、腸粘膜が破壊されることによりそこから二次性の細菌感染が起こります。
それによって敗血症が引き起こされることもあります。
さらに妊娠犬では流産や死産を起こします。
・心筋炎型
3~8週齢の子犬に発生し、心筋炎を引き起こします。
症状としては、悪心、呼吸困難、虚脱、不整脈が突然現れます。
近年、この心筋炎型の発生は少なくなっています。
犬パルボウイルス感染症の診断
犬パルボウイルス感染症が疑われる症状があった場合、迅速に診断を行う必要があります。
・問診
混合ワクチンの接種歴を確認します。
症状によって犬パルボウイルス感染症が疑われ、かつワクチンの接種歴がない場合には注意が必要です。
・血液検査
ウイルスは骨髄やリンパ組織を破壊します。
消化器症状の後に起こる白血球の減少や、出血性下痢による貧血の進行を経時的に測定します。
・糞便検査
糞便中に含まれるウイルスを簡易キットにて検出します。
下痢の症状がある場合は、しっかり密封した上で便を持参することが必要になります。
犬パルボウイルス感染症の治療
現在、犬パルボウイルス感染症の特効薬は開発されていません。
対症療法、補助療法を行いながら、犬本人の免疫力に期待するしかありません。
・輸液療法
嘔吐や下痢によって失われた水分を補給し、脱水を防止します。
自由飲水できない状態でも、静脈からの水分補給が可能です。
・輸血
貧血の進行によって行うこともあります。
輸血の前には交差適合試験を行う必要があり、副作用も起こる可能性があることから慎重に行います。
・抗菌薬
傷害された腸粘膜からの細菌の二次感染を予防、コントロールします。
子犬の場合、フルオロキノロン系やテトラサイクリン系の抗菌薬の使用は避けます。
また、敗血症に陥っている場合は複数の抗菌薬を併用することもあります。
・制吐薬、止瀉薬
嘔吐、下痢がひどい場合は使用します。
症状を緩和させることで、病気に打ち勝つ体力を温存します。
・インターフェロン療法
ウイルスの増殖を抑制して、症状の重篤化を防止することができます。
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