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犬の膀胱炎について知りましょう

獣医師
藤井ちひろ
[記事公開日]  [最終更新日]
猫ちゃんで有名なおしっこのトラブル、実はわんちゃんにも多いということをご存知ですか?とくに、感染による膀胱の炎症はわんちゃんが多く、8頭に1頭は一生のうちに一度は経験する病気とも報告されています。
おしっこがうまく出ない、もれてしまう、出すときに痛みをともなう・・・こんなトラブルはわんちゃんの身体だけでなく精神的にも大きなストレスになります。また、そんな愛犬をみるのはかわいそうでたまらなくなるはずです。
ぜひこの病気のことを知って予防を心がけてあげましょう。
[ 目次 ]
犬の膀胱炎について知りましょう
膀胱炎は、さまざまな原因により、尿をためて排尿を調節するための臓器である袋のような臓器、膀胱、の内側の壁である粘膜に炎症が起こり、その結果尿に関連したトラブルが起きる病気です。
尿の色やニオイ、または排尿するとき愛犬の様子がおかしいことで気づかれることが多く、尿検査やエコー検査、レントゲン検査などで正常な尿の中にはいないはずの細菌や炎症細胞、結晶が多く出現することで診断されます。

いつもよりおしっこに時間がかかる、いつもより何回も多くおしっこをする、おしっこの色がオレンジや赤、きついニオイがするなどは要注意です!

膀胱炎の種類は?

〈散発(単純)性細菌性膀胱炎〉
:初めて、または年に1~2回程度の、細菌感染症による膀胱炎をさします。

〈反復性細菌性膀胱炎〉
:2回目以降の膀胱炎が年に3回以上または半年ごとに繰り返すような状態をさします。

〈無症候性細菌尿〉
:尿検査の結果では細菌が検出されるものの、他の膀胱炎で見られるような症状がない膀胱炎をさします。

〈無菌性出血性膀胱炎〉
:感染が原因ではなく、ある種の薬物の影響により膀胱の粘膜上皮が細胞障害を起こすことで起きる、出血を伴う膀胱炎です。

膀胱炎の診断や種類の鑑別は、愛犬の症状はもちろん以下のような検査でおこなわれます。

〈尿検査〉:なるべく汚れが入り込まない状態で採ることが望ましいため、場合によっては尿カテーテルまたは下腹部の皮膚越しに膀胱から直接尿を抜く膀胱穿刺が行われます。尿サンプルは血液やタンパク質、炎症細胞の存在を確認し、細菌尿であることがわかれば培養検査に進むこともあります。これは菌の種類によっては数日かかることがあります。

〈エコー検査〉:膀胱の粘膜上皮の状態や内容物を超音波の反射で確認する検査です。また膀胱だけでなくやその周囲にある前立腺(オスのみ)、子宮(メスのみ)、腸やその付属リンパ節の状態も一緒に確認することで、その後の治療方針に役立てます。

〈レントゲン検査〉:エコー検査は大変優れたものですが、硬い骨で囲まれた骨盤の中は診ることができず、また一部分ごとに見るため全体を見渡すには向いていません。レントゲンを撮ることで、膀胱内外の異常やその周りの状態を、一度に広く確認することができます。

〈血液検査〉:膀胱炎が膀胱だけの問題ではなく、全身の病気の一部として表れている可能性もあります。そのため、一般的な血液検査やそれに加えてホルモン値の測定や炎症の程度を調べることもあります。

犬の膀胱炎について知りましょう

膀胱炎の原因は?

細菌性膀胱炎の主な原因は、尿の出口である会陰部、生殖器、または肛門やその周囲の皮膚から、表面に存在する細菌が尿道を伝って膀胱に感染することです。

そのため、陰部と肛門が近く、尿道の短いメスに発症が多く見られます。オスの場合は、膀胱近くにある前立腺がホルモンの分泌が異常をとなることで炎症をおこす、前立腺炎が膀胱炎につながることが多くあります。

それ以外にも、各種のホルモン疾患、腎臓機能不全、過度の肥満、膀胱の腫瘍(良性悪性ともに)、尿路結石症、そして各種の薬物の影響が膀胱炎の原因として考えられます。

膀胱炎の治療は?

原因によって大きく異なります。

細菌性膀胱炎のみだった場合、その原因となっている細菌を減らすための抗生物質の投与が行われます。抗生物質の種類が合っていた場合は2日程度で症状に改善がみられます。
あまり改善がなかったり、薬が合わず吐いてしまったり下痢をしてしまう場合は、消化薬を併用するか薬の変更を行うこともあります。

細菌感染以外の原因がある場合は、その原因である病気の治療も行います。その病気に合った薬の投与や体質の改善(減量や食餌の変更)、必要であれば手術によりその原因を取り除くことも考えられます。

薬物の影響が原因である場合、その副作用を軽減する薬を併用したり可能であれば原因薬物の減量を検討します。

犬の膀胱炎について知りましょう

膀胱炎はとうやって予防する?

①水分をしっかり取らせる
愛犬の一日に必要な水分量をご存知ですか?
年齢や状態によって異なるため一概には言えませんが、ドライフードを主食としているほとんどのわんちゃんは十分な水分を実はとっていないことが多いのです。

動物病院に行った際には、愛犬に必要な水分量を確認し、普段の量で不足していないか確かめてみましょう。

②排尿回数を確保する
室内にいるわんちゃんは、散歩の時しかおしっこをする習慣がないこもいるかもしれません。でも散歩を一日2回、排尿も2回しかしないというのは尿トラブルのリスクがかなり高めです。

時間は短くて構わないので、散歩の回数を増やしたり、お庭やお家の中でもトイレの習慣をつけることで、かなりの予防効果が期待できます。もちろん、トイレは清潔に保ってあげないと使ってくれないですよ。

③陰部の清潔をたもつ
うんちのあとで肛門周りをきれいにする習慣があるわんちゃんは多いのですが、陰部はどうでしょう。
オスもメスもどうしても尿が周りの皮膚についてしまっていることがあります。毎回である必要はありませんが、定期的に確認し、汚れがあるようなら洗い流したり、清潔でやわらかいものでそっとふきとってあげてください。

膀胱炎は原因がさまざまであるため、完全に予防することは難しいかもしれません。
しかし繰り返すことの多い病気でもあるため、心がけることが大切ですよ。

まとめ

膀胱炎は身近でそして再発しやすい病気です。
日ごろからできるケアを心がけ、そしてもし気になる症状が見られたらなるべく早く治療を開始し、治療を最後まで行なってあげましょう。

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