意外と知られていない胆石症や胆泥の原因、症状、治療法について
あまり知られていない病気ですが、どのわんちゃんにも起こり得る病気です。
適切な治療や発見が遅くなってしまうと命にも関わってくる病気です。
実際に私の愛犬は去勢手術の術前検査で胆石が見つかりました。まだ、生後半年の時です。
しかし、きちんとした知識を持ち、正しい治療を行えば普通の日常を送ることができます。
ぜひみなさんにも胆石症や胆泥について知ってもらい、いざという時に愛犬の命を守ってあげられるようになっていただければと思います。
胆石症、胆泥とは?
胆石症や胆泥は胆のうという器官の病気です。
胆のうは脂肪などを分解する消化酵素である胆汁を分泌します。
なんらかの理由でこの胆汁が結晶化して塊になってしまうのが胆石症です。
また、胆石症になる前の段階で胆汁がドロドロになってしまいます。これが胆泥です。
胆汁は胆管を通って分泌されますが、ドロドロであったり固まってしまうと胆管が詰まってしまいます。
胆管が詰まってしまうと胆のう炎を引き起こしたり胆のうが破裂してしまうこともあり非常に危険です。
原因はなんなのか
原因は主に3つあると言われています。
1つ目は細菌などに感染することによって胆汁がうまく分泌できなくなってしまった場合です。
胆汁は分泌されると新たに新しい胆汁を作り出しますが、うまく分泌されなくなるとこの循環が滞ってしまいます。
2つ目はカルシウム塩が結晶化することによって胆汁が固まってしまう場合です。
3つ目は遺伝的に胆汁がドロドロになりやすい体質の場合です。
私の愛犬の場合はまだ若かったこともあり3つ目の遺伝的に胆石ができやすかったのではないかとの診断結果が出ました。
どんな症状が出るのか
私の愛犬は特に症状がなく急に見つかったのですが、万が一胆石が悪さをしていたらこれから紹介するような症状が出ることがあります。
脂肪などが分解しづらくなるので便の色が白っぽくなったり薄くなったりします。または、下痢をするようになります。
さらに進行してくると元気が無くなってきたり食欲がなくなってきて、嘔吐するようになります。
もっと進行すると体に黄疸が出始め、最終的には胆のうが破裂してしまいます。
黄疸は胆汁の中に含まれているビリルビンという黄色い色素が血液中に多く含まれることによって皮膚などが黄色く変色することを言います。胆石症では胆汁が分泌できずに胆のうに溜まってしまうので血液中のビリルビン量が増えます。これによって黄疸が出ると言われています。
どのような治療をするのか
まずは、胆石や胆泥ができてしまっているかエコーやレントゲンで確認します。
私の愛犬の場合、胆石はレントゲンにかなりはっきり写っていた印象です。
胆石や胆泥が確認できたら、治療法を問診などで決定していきます。
問診で日常生活にさほど異常が出ていないようであれば投薬と食事療法で経過観察を行います。
ただし、胆石や胆泥が治ったわけではないの日頃から様子を見ることが大切です。
処方される薬は胆管を拡張することによって詰まりにくくするスパカールというものと、胆汁の生成を促し胆泥などを流してくれるウルソデオキシコール酸です。
食事療法では食物繊維が多く、脂肪分の少ないものを与えるようにします。
基本的におやつ類は禁止になります。
胆石が胆管を塞いでしまっている場合や、胆のうが破裂しそうなくらいまで進行している場合には外科手術で胆のうを摘出することになります。
予防法はあるのか
予防法は日頃から食事管理をきちんと行うことや適度な運動が挙げられます。
おやつのあげすぎや人間が食べるような味の濃いものは与えてはいけません。
また、適度な運動を行い病気に負けない強い体づくりをすることが大切です。ただし、過剰な運動は犬へのストレスになりますので、あくまで犬の体力に合った運動を心がけてください。
治療費はどれくらいかかるのか
治療費は手術をするかしないかで大きく変わってきます。
・手術をしない場合
手術をしない場合には胆石や胆泥がどのような状況であるか確認するために腹部のエコー検査とレントゲンをします。そして、薬が1ヶ月分処方されたとすると1万5千円〜2万円ほどになります。
また、胆石をなくすことは難しいため継続した服薬と定期的な診察が必要です。だいたい2〜3ヶ月に一回診察を行います。
・手術をする場合
胆のうの摘出手術をする場合には20万円前後かかります。
症状が進行している場合や胆のうが破裂してしまう恐れがある場合には外科手術を行います。
また、摘出する以外にも胆のうの中を綺麗にする胆のう洗浄を行っている病院もあります。
病気の根本的な解決にはなりませんが、胆のうを残したまま胆石を取り除いたり、胆泥を洗い流すことができます。
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