猫の便が出ない…たかが便秘と侮っては危険かもしれません
そのため、なんらかの事情でそれが滞ってしまうと、体のあちこちに不調があらわれます。数日で改善すればいいのですが、それが何日にもわたって続いたり、いったん治ってもまたなることを繰り返したりしていると、猫の健康に深刻な影響を与えかねない病気が、実は便秘なのです。
そのため、なんらかの事情でそれが滞ってしまうと、体のあちこちに不調があらわれます。数日で改善すればいいのですが、それが何日にもわたって続いたり、いったん治ってもまたなることを繰り返したりしていると、猫の健康に深刻な影響を与えかねない病気が、実は便秘なのです。
便秘はどんな病気?
猫の便秘とは、排便回数が減ったり、排便時に強くいきむしぶりがみられるなどの症状を伴う、本来外に排出しなければならない便を、十分量快適に出すことができない状態のことをいいます。
そのため「何日しなければ便秘」と明確に定義はされていませんが、丸一日以上経ってから出された便が異常に硬かったり、臭いが異なっていたり、またその排便時の状態が苦痛を伴っているようであれば便秘症と判断されることがあります。
便秘が続いてしまうと、外に排出されず腸にとどまっている宿便に水分が吸収されてしまうため、ますます便は出しづらい状態に陥ってしまいます。特に猫はこの宿便が硬く塊を作ってしまうことがよくあります。
また便秘になっている便には各種病気の原因となる腸内細菌が増殖しやすく、硫化水素、アンモニアなどの有害なガスが発酵して貯留しやすくなります。そのためそれらが腸から体内に吸収されてしない、猫の体内の代謝を悪化させ、脱水や栄養状態を悪くする原因となることがあります。
便秘は何が原因なの?
猫の便秘の原因は大きく2つに分かれ、その中でもさらに細かく定義されています。
【器質的便秘】
猫の身体の構造の異常によって、便が出しづらい状態のことをいいます。多く見られるのが、交通事故や子猫の時のケガの後遺症、または先天的に異常なまでに、骨盤にある腸が通過する通り道が狭い症例です。
また高齢の猫では、背骨の変形によって背中から尾にかけての脊髄神経に圧迫が生じてしまい痛みが強いため、便秘になってしまうこともあります。
その他にも、骨盤や腸内に腫瘍が発生することによって便が通過できなくなることもあります。
【機能的便秘】
①痙攣性便秘
さまざまな体内の機能を調整する副交感神経の運動と反応の調節が低下してしまい、腸が強く収縮しすぎることによって、便が通りにくくなっておこる便秘です。硬く小さいコロコロした便が特徴です。
②弛緩性便秘
腸の緊張と運動性がなくなり、だらんと弛緩していることで便が送り出せず、溜まってきても便意が弱く、スムーズにいきんで出すことができずにおこる便秘です。腸に便がとどまる時間が長くなってしまうと、水分がなくなって便が硬くなるため余計に出しにくくなることがあります。
③直腸性便秘
自然な便意は、起きてから何かしらを食べたり飲んだりすることで胃腸が目覚めると起こります。また、便意は我慢していると15分くらいで消えてしまいます。
留守番が多く自発的に動くことが少ない猫や、トイレが合わず使うことを我慢する習慣がついてしまうと、便意の感じ方が鈍くなり、便意を催さなくなってきます。長い時間、腸に便がとどまっていると、水分がどんどん吸収されるので便は硬くなっていきます。するとさらに出しにくくなるため、便秘が慢性化してしまいます。
猫で報告される特発性巨大結腸症は明らかな原因は不明であるものの、これらの原因が複合して起こると考えられています。
便秘はどんな検査をするの?
猫が便秘になると、排便時間が長くなったり吐き気が見られ、同時に食欲も落ちてくるため、飼い主さんのお話と合わせてその原因を探ることになります。
①身体検査:体温や脈拍等の一般状態を確認後、腹部の触診を丁寧に行い、便で拡張している腸を探します。重度の肥満でない限りはこの触診で便の溜まっている部位の特定や、重症度をある程度診断することができます。
②腹部レントゲン検査:腸に貯留している宿便やガスの程度と。骨盤の大きさや変形等の評価を行います。
③血液検査:重度の便秘の場合は脱水や栄養状態の悪化が伴っているため、その評価を行います。
便秘はどんな治療をするの?
猫の便秘に対する治療は、必要に応じた対処を行いながら便秘を緩和し、最終的にはその基礎疾患を解決することになります。
①便の摘出
溜まりすぎている便を肛門から掻き出す処置であり、その場で便秘を解消することができる物理的な手段です。痩せている猫では、腹部から腸の走行に沿って押し出すことで排便が可能になることもあります。
慢性的な便秘であれば定期的にこの処置が必要になることもありますが、無理をすると肛門や腸を傷つけることになるため、経過を見ながら行うことが必要です。
②浣腸
便秘の状態に合わせた浣腸液を肛門から注入し、便を排出しやすくする処置であり、巨大になりすぎてしまった糞塊もある程度に柔らかくして排出することが可能になります。
③内科療法
上記2つなどの方法でその時の便秘を解消したあとの再発防止治療です。
下剤と食事療法が中心となりますが、便秘のタイプに応じた正しい治療を選択しないとかえって悪化を招くことがあるため、経過を注意深くみながらの調整が必要です、
④外科手術
その都度の処置や内科療法では対応しきれない便秘を解決するために行われます。
骨盤を広げる骨盤拡張手術、または機能を失ってしまった結腸を摘出する結腸亜全摘術が代表的です。
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