トイプードルに多い病気!?犬の糖尿病について詳しく解説
最近は糖尿病で来院するトイプードルの頭数が増えています。
トイプードルの飼育頭数が増えているのが、一番の要因ではありますが、犬種として糖尿病になりやすい一面があることを飼い主さまには知っておいていただきたいです。
人の糖尿病と犬の糖尿病は、似ているところもあれば、全く違う面も存在します。
犬の糖尿病についての正しい知識と、注意するべき点、予防について詳しく解説します。
最近、お水を飲む量が増えてきた?暑いからかしら?と思った時には要注意です。
そして、トイプードルと糖尿病の関係性について理解し、どんな症状があったら危険なのか、検査や治療についても把握しておくことが大切です。
糖尿病にならないように予防や対策を知って、後悔することのないように正しい生活をしましょう。
犬の糖尿病とは
膵臓にある、ランゲルハンス島のβ細胞からインスリンが出なくなる病気です。
インスリンは、体の中で唯一、血糖値を下げる働きを持っています。
そのインスリンが足りなくなることによって、血糖値を下げることができずに高血糖状態が続いてしまうところは、人の糖尿病と同じです。
犬の糖尿病が人のものと違う点は、発見された時には殆どインスリン分泌が無くなっている点です。
そのため、人と違って内服薬の治療の選択肢はなく、毎日の注射によってインスリンを体に入れることが大切な治療となります。
トイプードルは糖尿病になりやすいのか?
トイプードルだから必ずしも糖尿病になってしまうわけではありません。
しかし、高脂血症になりやすい犬種であること、そしてとても賢い犬種なため、食餌が乱れがちなのは事実です。
トイプードルは避妊去勢手術をしていない場合は特に、食餌にあまり興味の無い性格であることが多いです。
その場合、いつものドッグフードを食べないと、飼い主さまが心配になり、より美味しいご飯やオヤツをあげてしまうことがあります。
すると賢いトイプードルは、『ドッグフードを食べないと、もっと美味しいものが出てくるぞ!』と学習付けされてしまうのです。
そして、結果的に『あまり食べてくれないです。』というわりに、太ったトイプードルに成長してしまいます。
これは賢いトイプードルと、心の優しい飼い主さまがセットになってしまった場合に多くみられるケースです。
こんな症状があったら要注意
犬の糖尿病の症状として多いのは何よりも、水を多く飲むようになる、というものです。
通常よりも沢山の水を飲んで、沢山のオシッコをします。
また、食欲不振、膀胱炎、吐き気、体重減少という主訴から糖尿病がみつかることもあります。
犬の糖尿病の原因と検査、そして治療費
大体の犬は、膵臓のインスリン分泌が枯渇することによって、糖尿病が発生します。
インスリンが枯渇する原因には、以下のものが挙げられます。
①肥満
②ストレス
③膵炎
④発情周期の黄体期(つまり避妊手術をしていない)
⑤ホルモン異常
全て、インスリンの効果が出にくくなってしまう作用を持っています。
インスリンを沢山出しても、効果が出ずに血糖値が下がらず、さらに膵臓に負担がかかり、ついにはインスリンが出なくなってしまいます。
糖尿病が疑われた場合は、血液検査、尿検査、エコー検査が一般的に実施されます。
各種検査で、糖尿病を引き起こしている引き金(基礎疾患)を探すことが大切です。
治療は、糖尿病の重症度と基礎疾患によって変化します。
治療の初期には、入院が必須でしょう。
高くなりすぎた血糖値を、静脈内点滴でゆっくりと下げていくことから始まります。
糖尿病性のケトアシドーシスになっている、と獣医に言われた場合には、命に係わるほどの重症です。
人と同様に、治療の柱は食餌の管理とインスリンの注射です。
インスリンの種類と量が決定する、そして食欲がしっかりと戻ることが退院の目安です。
初期の入院治療の費用では、目安として1週間で10-20万円かかるとお伝えしています。
これは、糖尿病の重症度と病院の価格設定によって、大きく変化するので、あくまでも目安とお考えください。
犬を糖尿病にしないために
トイプードルだけでなく、犬は避妊手術をしていないと、糖尿病のリスクが高くなります。
妊娠を希望しない場合には避妊手術を受けるようにしましょう。
膵臓に負担をかけないような食生活をするために、肥満に気を付け、炭水化物や脂肪分をあげるのは控えるようにしましょう。
できれば血糖値の上がりにくい繊維質の多い体重減量用のドッグフードを選ぶことをお勧めします。
生まれつきインスリンが出ないタイプの糖尿病も存在しますが、それはごくごく稀です。
まとめ
トイプードルは賢く、毛も抜けず、匂いも無く、可愛らしい犬種です。
他の犬種と比較しても、攻撃性が出ることは少なく、飼いやすいと言えるでしょう。
ただ高脂血症や膵炎、それに伴う糖尿病にはなりやすい傾向にあります。
特に、食餌としてドッグフードを食べない、オヤツしか食べない、人の食事ばかり食べるという犬は、膵炎と糖尿病になりやすくなります。
また、そうなると食餌療法が実施できずに、治療が難航することもしばしばです。
子犬の頃から、トイプードルが食べないからと言って、心配からオヤツや人のご飯を与えるのは止めましょう。
既に肥満傾向にある場合は、運動で痩せようとはせずに、食餌を体重減量用の治療食に変更することをお勧めします。
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