犬との距離感は大丈夫ですか?「かまうとき」「かまわないとき」
できるだけたくさん遊んであげたい。
でも、好きだからこそ「かまってあげる時間」のときと同じくらい「かまわない時間」も大切です。
可愛がることはいいことですが、かまいすぎて愛犬にストレスを与えているかもしれません。
あなたと愛犬との距離感は大丈夫ですか?
そばいてあげたい。
触っていたい。
愛犬を愛情深く育てることは大切ですよね。
かまってあげる時間が少なくて、犬との距離感が遠すぎるのは問題ですし、距離感が近いすぎることも良いことばかりではありません。適切な距離感を保つことは、お互いが快適に生活をする上で必要なことです。
適切な距離感とは、どういうことをいうのでしょうか?
「かまってあげるとき」と、あえて「かまわないとき」についてもご紹介します。
■体の距離と心の距離
距離といっても「物理的な体の距離」と「気持ち的な心の距離」があります。
大好きな愛犬が相手であれば、どちらも近い存在になりたいと思いますよね。
人間でも犬でも、仲よくするためには心の距離感のほうが大切ですが、自分だけがそう思っているのでは寂しいですよね。いい関係を保つためには、自分だけでなく愛犬にも「心が通じあっている」と思ってもらうことが大切です。
■パーソナルスペースって?
「パーソナルスペース」という言葉を知っていますか?
パーソナルスペース、パーソナルエリア、個体距離、対人距離などと呼ばれており、「他人に近づかれると不快に感じる空間」のことを言います。
他人に侵害されたくない空間は、犬にとっての縄張りのようなものです。
例えば人間の場合、基本的なパーソナルスペースの範囲は、自分の両手を前後左右に伸ばしたぐらいの円形サイズだと言われています。手先が触れるところには居て欲しくないと言うことになりますね。
しかし、基本的というところがポイントで、実際は関係性によって大きく異なります。
人と人とのパーソナルスペースの距離には種類があります。
・恋人や赤ちゃんなどとの距離 ⇒ 密接距離
「0cm〜45cm」
・友人や親しい人などの距離 ⇒ 個体距離
「45cm〜120cm」
・ビジネスに適している距離 ⇒ 社会距離
「120cm〜360cm」
・複数人が見渡せる距離 ⇒ 公衆距離
「それ以上」
関係性が近い人や親しい相手ほどパーソナルスペースは狭くなり、基本的なパーソナルスペースの範囲より近づいても不快には感じません。
しかし、例え家族であっても、仕事で一緒にいる時間が長い人でも、好感を持っていない相手に対してはパーソナルスペースが広くなると言われています。
■犬にもパーソナルスペースは存在するの?
人間だけでなく、動物も同じようにパーソナルスペースがあります。もちろん犬たちにもパーソナルスペースは存在します。
動物にとってパーソナルスペースは「自分の命を守ること」につながる大切なポイントです。そのため、犬はパーソナルスペースに対して人間より繊細に感じているといえます。
例えば、
・寝ているときに誰かが近づいてきたら、その場から移動する。
・頭をさわろうとしたら、サッと人の手を避ける。
・子供の声がすると、ゲージに入る。
・知らない人がくると、あとずさりしながら吠える。
・気づくと、飼い主さんに体の一部をつけている。
・出かけて帰ってくると、はしゃいで離れない。
・遊んで欲しいときに、視界にはいってくる。
など、パーソナルスペースに侵入されると、危機感や嫌悪感から距離を保とうとしたり、逆に飼い主のパーソナルスペースに入ろうとしたりします。
このような行動から、犬にもパーソナルスペースがあると言うことがわかります。
■こんなときは「かまってあげよう」
■外出して帰ってきたとき
飼い主さんが帰ってきてとても嬉しい気持ちでいっぱいです。お留守番の時間が長かったり、いい子で待っていたあとは、ぜひ触ってあげたり話しかけてあげましょう。
■鼻や手でさわってくるとき
犬の鼻や手を飼い主さんの手や体にツンツンと当ててきたりしませんか?「遊んで~」のサインです。少し遠慮しながら「自分を気にして欲しいな」という気持ちです。
■こちらを見ながらお腹を見せる
「さわってさわって」のサインです。目線もしっかりと合ってしまったときは、笑顔でなでてあげてくださいね。信頼してくれている証でもありますので、可愛い甘えにつき合ってあげましょう。
■お尻をあげる体勢をとってニコニコしている
犬が上半身は地面につけてお尻をあげた状態のポーズを「プレイバウ」といいます。「一緒に遊びたいな」と思っているときに見せる体勢です。おもちゃを投げたり、引っぱりっこなどで遊んであげるのもいいですね。
※注意※
体調が悪いときに、プレイバウに似た姿勢をとることがあります。表情や尻尾をみて体調不良も疑いましょう。
■手や足をひたすら舐めている
イライラしていたり寂しく思っていたり、ストレスを感じているときにする仕草です。声をかけてあげたり、触ってあげたりすると舐めるのをやめることが多いです。
ルーティーンで、寝る前などに手足を舐める犬もいます。犬自身はウトウトしながらくつろいでいるので、触ると怒ることがあります。一過性の場合は声をかける程度にして、あとはそっとしてあげましょう。
■あえて「かまわないようにしよう」
■寝ているとき
犬は聴覚が優れているうえに防衛本能が高いため、熟睡する時間は少ないといわれています。野生で暮らしていたときの名残で、寝ているときに敵が来てもすぐに動けるように浅い眠りが多いのです。
ぐっすり寝ているときに飼い主さんが触ったり話しかけたりしてしまうと、せっかくの少ない熟睡タイムの邪魔をしてしまいます。
可愛い寝顔をみて触りたくなってしまう気持ちはわかりますが、愛犬の疲労がたまってしまう可能性があるので、そっとしておいてあげましょう。
■1人で遊んでいるとき
おもちゃであそんだり、おやつをたべていたり、1人で夢中になっているときは、そのままにしてあげましょう。
同じ部屋にいてもかまってあげられないときがありますし、お留守番のときにも1人で遊ぶことができるとストレスがたまりにくいです。
■欲求吠えをしているとき
反応せず無視をすることも、ときには必要です。
無視をするという躾は、罰という意味ではありません。ここでの無視は犬に寂しい思いをさせることではなく「そんなことをしてもムダだよ」と教えてあげることが目的です。可愛いからと言って、ワガママには応じないようにすることも大切です。
※注意※
あまりに長い時間無視を続けてしまうと、犬はなぜ無視をされているのかがわからなくなってしまいます。 長い時間をかけて作ってきた信頼関係が台無しにならないように、やめさせたい問題行動が止まったら普通モードに戻りましょう。
■犬だけでなく飼い主さんにも影響が
距離感が近すぎることで、影響があるのは犬だけではありません。実は飼い主さんの生活にも影響が出てしまう可能性があります。
「愛犬と一緒に居たい。愛犬と離れたくない。」という気持ちが大きくなりすぎると、社会から孤立する恐れがあります。
「犬は家族」という言葉どおり、私たちにとって身近になった犬たちですが、大切にしすぎるがゆえに起こる問題として取り上げられています。
思い当たる人も多いと思いますが、「愛犬と一緒に過ごしたいから早く帰りたい。」という気持ちから、今まで大切にしていた人からのお誘いや仕事に関係する集まりを断ったり、友達からの連絡に対応しなかったり、ということが増えたりしていませんか?
もちろん、犬を飼っていないときと同じ行動をとり続けることは無理ですし、それはそれで問題です。しかし、この考え方がエスカレートしてしまうと、人との関係性が崩れていき社会とのかかわりをなくしてしまいます。
お恥ずかしいことに私自身もときどき、「愛犬と自分だけで良い」と思うときがあります。しかし、その考えかたは、人にとっても犬にとっても良いことなのかは疑問です。
「自分も同じかも」と感じたひとは、依存しすぎないように愛犬との距離を見つめ直してみるのもいいと思います。お互いに程よい距離でストレスなく過ごせるようにしたいですね。
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