療法食ってどんな食事なの?基本から与え方までを分かりやすく解説
療法食とは
療法食は、獣医師の指導のもと「特定の病気や健康状態にある犬猫に対して、病気の進行を遅らせたり、治療や症状の緩和を目的として与える特別なペットフード」です。そのため、病気に合わせた特殊な栄養バランスになっているのです。
たとえば、腎臓疾患用の療法食はリンやタンパク質を制限していますし、尿路結石症用のものはミネラルの含有量を調整しています。
病気の犬猫にとっては大変有益ですが、間違ったものを与えると病状を悪化させてしまうおそれがあります。また、健康な犬猫に与えるには栄養バランスが悪く、病気の原因になりかねません。そのため、獣医の診断と指導が前提になっているのです。
療法食には栄養基準がない
療法食は総合栄養食ではないので栄養に関する基準はありません。
ペットフードのメーカーは論文を参考にしたり、独自の研究結果に基づいて製造しています。同じ病気の療法食であれば、メーカーが違っても似たような栄養バランスになっていることが多いです。
ただし、病気に対する考え方などによって栄養バランスが異なる場合がありますので、体質や病状などにあわせて選ぶ必要があります。
療法食と機能性ペットフードの違い
機能性ペットフードとは、健康を維持していくことを目的としたペットフードです。「○○対応」「○○に配慮」などと書かれている総合栄養食のペットフードがそれにあたります。療法食とは異なり、病気の治療や症状の緩和を目的とはしていません。
機能性ペットフードも療法食ほどではありませんが、栄養バランスを極端に調整している場合があります。そういったフードの場合は、与え方に注意が必要です。
療法食を自己判断で与えるのは危険
病気の予防で療法食をあげている。
血液検査の数値が悪かったので療法食に切り替えた。
そんな飼い主さんが少なからずいると聞きますが、獣医師の指導を受けずに療法食を与えるのは大変危険です。
療法食は、病状はもちろんですが病気の進行状況、ほかの病気の有無、服用中の薬なども考慮して獣医師が決めます。また、給餌中は健康状態を注意深く観察しなければいけないものもあります。ですから、自己判断で与えてはいけないのです。
参考に、実際にあった危険な例をいくつかご紹介します。
・違う病気の療法食を長期間あげていた
・減量用の療法食をあげていたら栄養失調になった
・違う病気の療法食を買ってしまった
・病気予防の目的であげていたら、ほかの病気になった
・ほかの持病を悪化させてしまった
・やめるタイミングがわからず何年も食べさせてしまった
愛犬愛猫の健康を守るためにも、かならず獣医師の指導のもとで与えるようにしましょう。
療法食の与え方
療法食は与え方によっては逆効果になる場合があること、獣医師の指導が必要なことをお話してきました。ここでは、具体的にどんなことに注意し、どのように与えたらよいのかをご紹介していきます。
■療法食を与える際に注意すること
・必ず獣医師の診断、指導のもとで与える
・1歳未満や妊娠中の犬猫には与えない
・自己判断で与えたり、やめたりしない
・定期的に獣医師の診断をうける
・おやつなど療法食以外の食べものを与えない
■療法食への切り替え方
いきなり療法食へ切り替えることで食べなくなったり、下痢をしたりすることがあります。そんなときは、それまでのフードに療法食を少しずつ交ぜて1週間ほどかけて徐々に切り替えることをおすすめします。
ただし、獣医師からすぐに切り替えるように、といった指導があった場合は指示に従ってください。
■与える期間は獣医師と相談すること
療法食は総合栄養食のように、これだけを食べていれば健康を維持できるというものではありません。長期にわたって食べつづけると健康に悪影響をおよぼす可能性があります。そのため、ほとんどの療法食で推奨使用期間が設けられています。
また、逆に良くなったからといって、自己判断でやめるのもいけません。せっかく良くなっていた病気が悪化してしまったり、再発してしまう可能性があります。
■療法食を食べてくれないとき
急に新しいフードに変えると食べてくれないことがあります。とくに猫は、長年慣れ親しんだフードから切り替えると食べなくなるのはよくあることです。
そのような場合は次の方法を試してみてください。
なお、病気によっては禁止されていることもあると思いますので、事前に獣医師に相談するようにしてください。
・いままでのフードに混ぜる
・肉のゆで汁をかける
・好きな香りをつける(かつお節をまぶすなど)
・お湯でふやかす、人肌に温める
・ほかのメーカーのフードを試す
いざというときに困らないよう、日ごろからドライフードとウエットフードを与えたり、いろんな味に慣らしたりしておくことをおすすめします。
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