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原因別!犬の震えへの対策

獣医師
西岡優子
[記事公開日]  [最終更新日]
この記事では、犬の震えの対策について、原因別に解説します。
[ 目次 ]
原因別!犬の震えへの対策
犬も人間同様に、寒い時にはブルブルと小刻みに体の震えが起きます。
今回は、犬の震えの対策について、原因別に解説します。

犬の震えの原因とは?

犬の震えには以下のように生理的な震えと、病気が原因の震えがあります。
①寒さが原因の震え
寒さによる震えは、「シバリング」という生理的な現象で、全身の筋肉を細かく動かすことで熱を発生させ、体温を維持する生理的な震えです。
特に、体温調節が苦手な子犬や高齢犬、チワワなどの超小型犬でこの震えがよく見られます。

②ストレスや恐怖、不安からの震え
犬も人間と同じで、ストレスや恐怖、不安を感じると、自律神経系のバランスが崩れて震えが起きることがあるのです。
この震えは、雷や花火など大きな音がした場合や、病院など苦手な場所に行く場合などに見られます。

③興奮による震え
一方、犬は人間と違い、嬉しいや楽しいなどのポジティブな感情の時にも震えが起きるのです。
例えば、飼い主さんが帰宅すると、犬が尻尾を振りながら身震いする様子を見たことはないでしょうか?
これは、ポジティブな感情が高まって興奮することにより、自律神経が乱れ、震えが起きています。

④加齢による筋力低下からの震え
犬も年齢を重ねると、徐々に筋肉が落ちていくのです。その影響により、足腰の踏ん張りがきかなくなり、小刻みに震えるようになります。

⑤飼い主さんにかまってほしくて震える
まれですが、飼い主さんにかまってほしくて、震える仕草をする犬もいるのです。
特に、学習能力の高い犬では、過去に震えた時に飼い主さんが心配して、かまってくれた嬉しい経験を覚えており、震える仕草をして飼い主さんの気を引こうとすることがあります。

⑥脳障害による震え
てんかんや脳炎、脳腫瘍、水頭症といった脳自体に異常のある病気では、その軽い症状として、あるいは痙攣の前兆として、震えが見られることがあります。

⑦代謝や排泄をする臓器の機能障害による震え
肝臓や腎臓など、体の中の老廃物を代謝・排泄する臓器がきちんと機能できなくなると、体に毒素が蓄積し、痙攣などの神経症状が起きるのです。
震えは、そういった痙攣などの神経症状の前兆として見られることがあります。
代表的な病気としては、肝硬変や慢性腎臓病などです。

⑧中毒や低血糖による震え
犬は、中毒や低血糖によっても震えが現れます。犬で低血糖になる病気は、副腎皮質機能低下症や肝臓腫瘍、重度感染症、インスリノーマなどです。
ただ、体の小さい子犬では、食欲不振や嘔吐、下痢が続いただけでも低血糖症を起こすおそれがあります。
また、糖尿病の犬では、自宅でインスリン注射を行っている場合に、インスリンの過剰投与によって低血糖状態に陥るケースも多いです。

⑨ホルモンバランスの崩れによる震え
高齢犬では筋肉量の減少だけではなく、ホルモンのバランスの崩れにより、甲状腺機能低下症、クッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)といった病気になりやすく、これらの病気でも震えの症状が現れます。

⑩痛みによる震え
犬は痛みを感じていると、小刻みに震えることがあります。痛みが原因の場合は、動きたがらない、抱き上げようとするとキャンと鳴くといった症状も一緒に見られることが多いです。

原因別!犬の震えへの対策

原因別の震えへの対策について

次に、原因別の震え対策について見ていきましょう。

①寒さ
寒さが原因の場合は、エアコンなどで室温を暖かく保つようにしましょう。また、お散歩などの外出時には、洋服を着せてあげるなどの防寒対策が大切です。

②恐怖心や警戒心、ストレス
恐怖心や警戒心、ストレスによる震えに対しては、その原因を取り除くことで、気持ちが落ち着き震えが治まることがあります。
ただ、なかには震えが治っても、食欲不振や、嘔吐や下痢などの症状が出てくることもあるので注意しましょう。
予防としては、散歩コースを変更するなど原因を避けたり、原因に慣れさせることが効果的です。

③ポジティブな感情からの興奮
ポジティブな感情からの興奮による震えに対しては、気持ちが落ち着くとほぼ治まります。

④加齢による筋力低下
高齢犬が運動によって再びしっかりした筋肉を付けるのは難しいため、改善策はありません。
ただ、場合によっては犬がケガをしないよう、排便時などの力む時には身体を支えるなどの介助が必要になることもあります。

⑤飼い主さんにかまってほしい場合
かまってほしいための震えは、犬が意識的にやっているため、飼い主さんが見ていないとわかると震えは止まるでしょう。

⑥脳障害
脳障害による震えに対しては、震えに続いて痙攣が起こる可能性があります。
そのため、犬が体をぶつけてケガをしないように、周囲をクッションのようなやわらかいもので囲ってあげるようにしましょう。
そして、痙攣が落ち着いたら、速やかに病院を受診することが大切です。

⑦代謝や排泄をする臓器の機能障害
肝臓や腎臓の障害の場合には、早急に病院を受診するようにしましょう。

⑧中毒や低血糖
中毒からの震えに対しては、一刻も早く病院を受診してください。
低血糖が疑われる場合には、砂糖水を飲ませたり、できるだけ早く糖分を与えるようにしましょう。
ただ、震えがある場合はうまく飲み込めないため、誤嚥してしまわないよう細心の注意が必要です。
もし、応急処置で落ち着いたとしても、すぐにまた低血糖状態に陥る恐れがあるため、必ず病院を受診しましょう。

⑨ホルモンの病気
高齢犬に震えが見られると、「年齢によるものだろう」と自己判断してしまう飼い主さんもいらっしゃるのではないでしょうか?
ホルモンの病気であれば、薬を飲むことで震えが改善する可能性があるため、自己判断はせずに、かかりつけの獣医師さんに一度相談するようにしましょう。

⑩痛み
愛犬が痛みによって震えていると、むやみに触ると防御反応から、飼い主さんであってもかみ付いてしまうおそれがあります。
そのため、犬の体にあまり触れずに、キャリーに入れ、早目に病院を受診をするようにしましょう。

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