早期発見が大切!大型犬を苦しめる「股関節形成不全」と「骨軟骨症」とは?
愛玩動物飼養管理士
古川諭香
[記事公開日] [最終更新日]
そこで気になるのが「股関節形成不全」と「骨軟骨症」という病気です。
今回は、大型犬がかかりやすいこの2つの病気の症状や治療法をご紹介していきますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
[ 目次 ]
「股関節形成不全」とは?
股関節形成不全は股関節の発育がうまくいかず、成長にしたがって股関節が変形したり、炎症が見られたりするようになる病気です。
この病気は遺伝的な要因も大きく、運動量の多い大型犬がかかりやすいとされています。
発症時期は生後4~12ヶ月頃が多いとされていますが、中には2~3歳になるまで発症しない子もいるので、油断は禁物です。
発症すると、うさぎ跳びのような動きを見せるようになったり、階段の昇り降りを嫌がったりするでしょう。
後肢に痛みが生じるので運動したくなったり、起き上がれなくなったりもします。
かかりやすい犬種は?
股関節形成不全にかかりやすいのは、ジャーマン・シェパード・ドッグ、ゴールデン・レトリーバー、ラブラドール・レトリーバー、ロットワイヤー、ニューファウンドランド、グレート・ピレニーズ、バーニーズ、マウンテンドッグ、セントバーナードです。
治療法は?
治療法としては運動制限や鎮痛剤を使用した保存的内科治療と、手術による外科的治療があります。
症状によっては、保存的内科治療だけで病気とうまく付き合っていけるようになることもあります。
対して、外科的治療は保存的内科治療で思うような効果が得られなかったときに有効です。
手術法としては「三点骨盤骨切り術」「股関節全置換術」「大腿骨頭切除」などが行われ、どれも予後は明るいことが多いとされています。
「骨軟骨症」とは?
大型犬がかかりやすい関節疾患として、もうひとつ知っておきたいのが「骨軟骨症」という病気です。
骨軟骨症は関節内の軟骨部分が正常に骨化しないために起こります。
この病気は成長期に発症する可能性が高く、5~10ヶ月頃に肩関節や肘関節、膝関節、飛節(人間でいうかかと部分)に現れることが多いとされています。
また、症状は左右両側に発症するといわれていますが、中には片側にだけ症状が現れる場合もあります。
原因は?
骨軟骨症はビタミンDの合成不足や栄養バランスの偏り、リンの過剰摂取、寄生虫が主な原因だといわれています。
しかし、中には「先天性酵素欠損症」によって代謝異常に陥っていたり、消化器官に疾患を抱えているため栄養の吸収が不足したりして起こる場合もあります。
治療法は?
治療は症状に合わせて、運動制限や鎮痛剤を使った保存的内科治療や手術による外科的治療が行われます。
外科的治療は、早期発見できたときに有効な場合が多いでしょう、
また、カルシウム剤やビタミン剤を投与し、経過観察を行うのもよいとされています。
予防法は?
骨軟骨症を引き起こさないためには、普段与えているフードをもう一度確認してみましょう。
強い骨を作るためにはカルシウムだけでなく、良質なたんぱく質やビタミンDも大切になってきます。
だからこそ、栄養バランスのとれたフードを与えたり、サプリメントをプラスしたりして、愛犬の健康を内側から守っていきましょう。
また、日頃から散歩や運動をしっかりと行い、筋肉を鍛えておくことも病気の予防に繋がります。
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