知っていますか?本当は怖い狂犬病の話。
動物看護士
久保田舞
[記事公開日] [最終更新日]
発症すると死亡率はほぼ100%と言われています。
現在日本では発生していませんが、決して珍しい病気ではなく、日本と南極を除くすべての地域で発生が確認されています。
では狂犬病とはどのような病気なのか詳しく解説していきたいと思います。
[ 目次 ]
狂犬病とは?
狂犬病は狂犬病ウイルスに感染した動物に咬まれることによって感染します。
感染し発症するとほぼ100%死亡する大変怖い病気です。第4類感染症全数把握疾患であり、診断した医師は直ちに保健所に届け出なければならない程重大な疾患です。
狂犬病と聞くと犬に咬まれて移る病気というイメージが強いと思いますが、実は犬だけではなく哺乳類なら他の動物も感染する可能性がある人畜共通感染症です。人間との距離が近く咬まれる可能性が1番高い動物として犬というイメージがついてしまったのです。
日本では撲滅されて現在は発生がありません。ということは、以前は日本でも発生していたということです。
症状は?
・潜伏期間
潜伏期間(感染してから発症するまでの期間)は1~3ヶ月といわれています。この期間は体のどこを咬まれたか、ウイルスがどのくらい体内に侵入したかで変わってくると考えられています。
発症するまでは咬まれた傷の症状のみで、痛み、しびれ、感覚麻痺、感覚異常などがあります。
・初期症状
最初は発熱、悪寒、頭痛、筋肉痛、疲労感、倦怠感、食欲不振、悪心、嘔吐、咽頭痛、空咳など、一見風邪やインフルエンザに似たような症状が現れます。この症状が数日~1週間程続きます。
・進行症状
進行すると、運動過多、興奮、錯乱、幻覚、攻撃性など脳炎の症状が現れます。
さらに進行すると、恐水症(水を飲もうとすると激しい喉の痙攣を起こす)、恐風症(わずかな風も刺激になり痙攣等を起こす)、嚥下困難、全身痙攣、不整脈などが起こり、最終的には昏睡状態から呼吸停止します。
原因は?
狂犬病ウイルスは感染した動物の唾液に含まれるため、感染した動物に咬まれたり、引っ掻かれたり、体に傷があるときにその動物の唾液に接触することで感染します。
侵入したウイルスは筋肉などで増殖し、神経細胞を通って脳にまで達します。
診断方法は?
初期の狂犬病の診断は病歴や症状によって行われます。狂犬病の発生地域で動物に咬まれていないか、典型的な狂犬病の症状がないかということを調べます。
次に角膜、皮膚、唾液などを用いてウイルス検査、狂犬病ウイルスに対する抗体検査などが行われますが、発症前に診断をすることは極めて困難です。
検査結果を待つ余裕はなく、病歴や症状によって疑いがあれば直ちに治療することが重要と言われています。
治療はどのように行う?
基本的に発症すれば治療法はないと言われています。もし狂犬病の感染の疑いがある動物に咬まれたら、傷口を石鹸と水でよく洗い、速やかに医療機関を受診します。
発症前にできるだけ早く暴露後ワクチンを接種します。
しかし、暴露後ワクチンがあるから咬まれても大丈夫というわけではありません。
暴露後ワクチンは複数回接種する必要があり、副反応が強い物もあります。そして、国内ではほぼ入手不可能です。
予防はできる?
日本では発生がない病気ですので、危険性を認識していない人か多いのが現状です。
まずは危険性をしっかり理解して、海外に出かけた時にむやみに犬や動物に触らないことが重要です。
やむをえず危険な地域に出かける場合は、必要に応じて暴露前ワクチンを接種します。
どの地域がどのくらい危険なのかは厚生労働省のホームページに発生状況が掲載されていますので、確認してから渡航することも大事なことです。
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