犬の肛門腺って絞った方がいいの?病気のリスクや絞り方について
犬の肛門腺とは
犬の肛門腺は、スカンクが強烈な臭いを放つ臭腺と同じ器官です。スカンクほどの強い臭いはありませんが、それでも便や尿とはまた違った独特の臭いを放ちます。
肛門腺の形状はさらっとした液体状だったり、固形だったり、ヨーグルト状だったりと様々です。また、肛門腺が溜まる頻度も個体差が大きくなります。
肛門腺は肛門の左右1カ所ずつにあり、通常は排便時に少しずつ排出される仕組みです。犬は便に肛門腺の臭いを付けることによって縄張りの主張をしたり、肛門に付いた臭いを嗅ぐことによってコミュニケーションを図ったりしているのです。
しかしペットとして改良されてきた犬、特に大型犬よりも小型犬は自力で肛門腺を絞る能力が弱くなってきてしまっており、飼い主が肛門腺を絞ってあげなければならないことが多くなってきました。
肛門腺が溜まってくると、犬はお尻を頻繁に舐める仕草をしたり、お尻を床に擦りつけたりします。分泌物が溜まる頻度は個体差がありますが、大体3週間~1か月ほどが目安です。
肛門腺の絞りかた
定期的にトリミングに行っている犬であれば、その際にペットショップで絞ってもらうのが良いでしょう。動物病院の健診の際に絞ってもらうことも出来ます。
しかしコツを掴んでしまえば、簡単に自宅で絞ることが出来ます。
犬の肛門腺は、肛門に向かって右下と左下、時計に例えると4時と8時の方向にあります。そこに溜まっている分泌液を絞るのですが、最初はなかなか肛門嚢(肛門腺が溜まっている袋)を探し出すのが難しいでしょう。
肛門嚢が探しにくい時は、犬の尻尾を持ち上げると肛門がせり出してくるため探しやすくなります。その際、強く持ち上げると尻尾の脱臼などの危険もあるため、尻尾を持ち上げる際は引っ張るのではなく優しく根元を持つようにしましょう。
肛門嚢が触れたら、親指とその他4本の指で優しく掴みゆっくりと肛門に向けて絞り出します。上手に絞ることが出来れば、肛門横にある穴から肛門腺が分泌されます。2~3回繰り返して行うことで、肛門嚢に溜まった肛門腺をほとんど絞り出すことが出来るでしょう。
しかし、前述しましたが肛門腺の分泌液は強い臭いを放ちます。服などに1滴でも付いてしまうと、なかなか臭いを取ることはできません。
そのため肛門腺を自宅で絞る際はティッシュで肛門を覆うようにし、ペットに使用できる消臭スプレーなどを用意しておくと良いでしょう。シャンプーの際に一緒に行ってしまうもの効率的です。
病気のリスク
犬が肛門腺を上手に分泌することが出来ず、飼い主も絞ってあげなかった場合はどんどん分泌物が肛門嚢の中に溜まっていってしまいます。するといくつかの病気になるリスクが高くなってしまいます。
肛門腺を絞らないことによって起こる可能性がある病気の代表的なものをご紹介しましょう。
・肛門嚢炎
その名の通り、肛門腺が溜まる肛門嚢が炎症を起こしてしまう病気です。
肛門腺が溜まりすぎることのほかにも、肛門周囲に外傷があったり、下痢や軟便などで肛門周囲が汚れていたりすることによって細菌感染を起こしてしまいます。
肛門嚢炎になると肛門部分を気にするようになり、お尻を頻繁に舐める、尻尾を追いかける仕草をする、肛門を地面に擦り付けるなどの症状が見られるようになります。
そのまま放置してしまうと最悪の場合肛門嚢が破裂してしまう事があるため、早期での発見・治療がとても大事です。
大型犬よりチワワやトイプードルなどの小型犬に多い傾向がありますが、肥満の大型犬は肛門腺を自力で絞り出すことが難しく、分泌物の量も多いため肛門嚢炎のリスクが高くなってしまいます。
大型犬だからと言って油断せず、散歩の排便時などに肛門腺がしっかり出ているかどうか注意して見てあげましょう。
・肛門周囲腺炎
肛門周囲腺炎は肛門嚢炎とよく似てはいますが、肛門嚢ではなく肛門周囲腺というところが細菌感染を起こすことによって発症します。
多くは下痢や外傷などから発症しますが、肛門嚢炎によって肛門がただれてしまう事で引き起こされることもあり、肛門嚢炎と肛門周囲腺炎が同時に発症してしまう事もあるでしょう。
肛門周囲腺炎になると肛門嚢炎と同じようにお尻を気にする仕草をするほか、強いかゆみを伴います。そのため頻繁に肛門周囲を床に擦りつけたり噛んだりしているうちに、どんどん細菌感染が悪化してしまう恐れがあるのです。
また肛門周囲がただれてしまい痛みを伴うようになると、下半身を触ると急に攻撃的になったり、排泄を我慢してしまったりする場合もあります。
排泄をしないと便秘や膀胱炎などを併発するリスクも高まってしまうため、肛門を気にするような仕草を見せたらすぐに肛門腺が溜まっていないか、その周囲に炎症はないかを確認してあげましょう。
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