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猫に寄生する内部寄生虫って?種類と症状・予防法を知っておこう!

動物看護士
宮井 智美
[記事公開日]  [最終更新日]
近年は猫を室内で飼育する方が多くなり、飼い猫が寄生虫に感染することは少なくなってきました。しかし散歩のときや飼い主の靴の裏の土からなど、身近なところに寄生虫に感染する危険はあるのです。そこで今回は猫に寄生する内部寄生虫の種類や症状、予防法などをそれぞれご紹介します。
[ 目次 ]
猫に寄生する内部寄生虫って?種類と症状・予防法を知っておこう!

猫の内部寄生虫って?

猫に寄生する寄生虫は、外部寄生虫と内部寄生虫に分類されます。

外部寄生虫とは猫の皮膚や粘膜に寄生する寄生虫で、主なものにネコノミ・マダニ・耳ダニ・シラミなどがあります。

外部寄生虫は主に皮膚や粘膜に炎症を起こし、かゆみや痛みなどを伴います。しかし中には血液を吸われることで貧血を引き起こし、命の危険を伴うものまであるのです。

一方、内部寄生虫とは猫の体内に寄生する寄生虫で、主に腸などの消化管に寄生します。
猫の内部寄生虫には種類が多く、中には人間に感染するものもいるため注意が必要です。

それでは猫の代表的な内部寄生虫をお伝えしましょう。

猫回虫

・感染経路
猫回虫は猫に一般的にみられる内部寄生虫です。
野良猫や外出自由の飼い猫など、現在でも多くの猫に寄生しています。

猫回虫は便中に排出された虫卵を直接飲み込む(経口感染)他に、母猫の胎盤や乳汁を通しても感染するため、子猫にも多く寄生が見られます。

・症状
成猫に感染した場合の多くは無症状です。
しかし幼猫に感染した場合は腹部の膨張や発育不良が見られます。食べても猫回虫に栄養を取られてしまうため痩せていってしまうのです。

また大量寄生の場合には下痢や嘔吐などの消化器症状と共に虫体を排出することもあるでしょう。
そして猫回虫はズーノーシスと呼ばれ、人間にも寄生する危険があります。

人間に寄生した回虫は成体になる事は出来ないのですが、幼虫のまま体内を移行し「幼虫移行症」と呼ばれる様々な障害を引き起こす事があるため、注意が必要です。

・予防法
母子感染の可能性があるため、新しく猫を迎え入れた際は必ず検便・駆虫を行いましょう。

また野良猫や外に出る猫は定期的に駆虫薬を使用することも大切です。駆虫薬は首元にたらすタイプや飲み薬、食べるおやつタイプなど様々なものがありますので獣医と相談しながら行っていくと良いでしょう。

猫に寄生する内部寄生虫って?種類と症状・予防法を知っておこう!

瓜実条虫

・感染経路
瓜実条虫はネコノミの中に幼虫で寄生しています。そのネコノミをグルーミングの際に飲み込むことによって猫が感染します。

・症状
瓜実条虫に寄生された猫の多くは無症状ですが、大量に寄生されると消化器症状(下痢・嘔吐など)を呈することもあります。

しかし瓜実条虫は片節と呼ばれる虫体の一部を腸管内で引き離し、排便時などに排出します。
この排出時に肛門付近に痒みを伴うため、しきりにお尻を舐めたりこすったりして、気にするそぶりが見られることが多いでしょう。

またこの片節は乾燥すると小さくなるため、猫が使用しているベッドなどに白い胡麻のようなものが落ちていることで異変に気が付く飼い主さんも多くいます。

瓜実条虫も人間に感染することがあるズーノーシスです。

・予防法
ネコノミを通して感染する寄生虫なので、何よりもネコノミに寄生されないようスポット剤や経口薬などを使用し、定期的に予防薬を使用しましょう。

またブラッシングやシャンプーなどで被毛を清潔に保つことも有効です。

猫鉤虫

・感染経路
感染猫の便中に排出される虫卵からの経口感染の他、便の中で幼虫になった猫鉤虫が猫の粘膜や皮膚から侵入し感染する経皮感染を引き起こします。

また母猫の胎盤や乳汁からも感染するため、母子感染も起こります。

・症状
猫鉤虫は小腸の粘膜に咬みつき吸血するため、多く寄生されると腹痛や貧血を引き起こします。

また下痢や血便などの消化器症状も引き起こし、幼猫の場合は脱水状態で命の危険を伴うこともあるでしょう。

・予防法
猫鉤虫の予防法は猫回虫と同様です。新しく猫を迎え入れた際はもちろん、外に出る猫は定期的に検便・駆虫を行いましょう。それにより同居猫などに感染させるリスクも抑えることが出来ます。

マンソン裂頭条虫

・感染経路
マンソン裂頭条虫はヘビやカエル、ネズミや鳥の体内に寄生しており、それらを猫が捕食することで感染します。

ヘビやカエルなどが多く生息する地域の猫には一般的にみられる寄生虫です。

・症状
マンソン裂頭条虫は成虫になると体調2mを超えることもありますが、その多くは無症状です。

しかしマンソン裂頭条虫が体内で成長すると嘔吐や下痢などの消化器症状が発生し、きしめんのような平たい成虫の片節が嘔吐物の中に混ざっていることもあります。

・予防法
ヘビやカエルなどを捕食しないことが何より大事な予防になるため、室外には出さないことが何よりの予防法となります。

またベランダや玄関などにカエルが入り込むこともあるため、室内飼いをしていても定期的に検便を行うようにしましょう。

またマンソン裂頭条虫は非常にしつこい寄生虫で、駆虫するのに時間がかかることも多くあります。一度検便で虫卵が確認出来なくなってもまだ寄生されていることがあるため、長期間にわたる駆虫と検便が必要です。

コクシジウム症

・感染経路
コクシジウム症は非常に小さいコクシジウムの原虫が小腸などの細胞に寄生し、オーシスト(原虫の卵のようなもの)を便中に排出します。このオーシストを猫が経口摂取することでコクシジウム症に感染します。

また、オーシストを経口摂取したネズミなどを猫が捕食することによっても感染することがあります。

・症状
コクシジウム症は一般的には無症状で経過していきます。

しかし体力のない幼猫や免疫力の低下した猫などでは貧血や血便を引き起こし、衰弱や脱水状態に陥ることもあります。

・予防法
コクシジウムは駆虫後も長い期間(2~3週間)体内に生存するため、感染した際には長期的に駆虫薬を投与する必要があります。

またコクシジウムに感染した猫の排便中のオーシストは時間の経過とともに感染力が強まるため、排便後はすぐに片付け処理しましょう。

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