猫の肥満細胞腫って何?気になる症状、治療、予後について解説‼
猫において皮膚腫瘍の中で二番目、腸管腫瘍で三番目に発生率が高いと言われています。
また皮膚だけではなく、脾臓や消化管にも発生することがあります。
他の腫瘍疾患と比較して耳なじみの薄い分、肥満細胞腫の症状などは想像しにくいのではないでしょうか。
猫の肥満細胞腫についての知識を深めることによって疾患の早期発見に繋げることができるかもしれません。
最後まで読んで頂き、猫の肥満細胞腫について理解していきましょう。
肥満細胞とは何なのか?
そもそも肥満細胞とは何なのでしょうか。
肥満細胞は、皮膚、血管、漿膜などを始めとした全身組織に分布する免疫細胞の一種です。
細胞質内にヒスタミンやロイコトリエンを含む特徴的な顆粒を持ち、それが体外からの異物進入時における即時型アレルギー反応を引き起こすことが知られています。
「肥満」と名が付けられていますが、脂肪組織とは関係ありません。
この肥満細胞が各所で無秩序に増殖する疾患を肥満細胞腫と言います。
肥満細胞腫が発生しやすい猫種
皮膚の肥満細胞腫においては、シャム猫での発生率が高いという報告があります。
また、雌雄による性差はなく、全ての年齢で発生する可能性があります。
さらに肥満細胞腫の好発部位としては、皮膚、腸管(特に小腸)、脾臓、肝臓があります。
猫の肥満細胞腫の症状
肥満細胞腫の発生する部位によって挙動が異なります。
・皮膚型肥満細胞腫
頭部と頸部に発生しやすい傾向があります。
多くは単発性ですが、複数個発生することもあります。
発生部に痒みや痛みを生じますが、初期の段階ではこれらの症状は少ないため、発見が遅れることもあります。
ピンク色の腫瘤で、周囲の脱毛とともに発見されることが多いです。大きさも数㎜から数㎝と幅があります。
・内蔵型肥満細胞腫
食欲不振、嘔吐、下痢などの消化器症状を示すことが多いです。
これら症状は、肥満細胞内顆粒中のヒスタミンなどの分泌による血行障害や胃酸分泌促進作用によるものもある一方、多くは腸管などに発生した腫瘍の物理的な圧迫によることが多いと考えられています。
また、脾臓に発生した場合は腹水の貯留が認められることもあります。
猫の肥満細胞腫の診断
複数の検査を組み合わせることで総合的に診断します。
・細胞診
発生した腫瘍に注射針を刺して異常細胞を採取します。そこから多数の肥満細胞が採取されることはそれだけで異常となります。
・画像検査
X線検査や超音波検査によって各種臓器の腫大や、腹水の有無などを確認します。
腹水が認められた場合は、その腹水中に肥満細胞が多数出現していないかも確認します。
・血液検査
肥満細胞腫が進行すると、末梢血中にも肥満細胞が出現することがあります。
今後の治療方針や全身状態の把握のために血液検査を行います。
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